【噂の新店】「御料理 茅乃舎 京都分店」

関西初の「茅乃舎」のレストラン

今年6月、祇園町南側に「京都祇園 茅乃舎」が誕生。1893年創業の醤油蔵を原点とする「久原本家」が展開する食品ブランド「茅乃舎」が、福岡で培われただし文化を京都、ひいては関西にも広めたいという思いから、新たに構えたフラッグシップショップだ。窓格子など町家のデザインを取り入れた外観が祇園の街並みに融合している。内観は隈研吾氏が監修、中でも天井のデザインが印象的で、1階には穏やかに輝く金色の天井、2階には雲をイメージさせる優しい天井が広がっている。

祇園町南側にあり、周囲に溶け込んだ外観
 

門上さん

内覧会に呼ばれて初訪問。隈研吾さん監修の建築で、天井の揺らぎは素敵な演出です。

1階では、だしや調味料の他、器や日常の食を彩る道具も販売。鰹節がひらひらと削られて落ちる演出も必見だ。2階はレストラン「御料理 茅乃舎 京都分店」。1、2階の建物全体でだし文化を体感できる空間となっている。

1階ではだしや調味料、器を販売。土産に最適な、京都限定のアイテムも揃う。だしの試飲もあり
2階のレストラン。大きなカウンター席のほかにテーブル席も

「御料理 茅乃舎 京都分店」は茅乃舎の総本山でもある福岡にあるレストラン「御料理 茅乃舎」初の分店として、昼と夜で表情を変えるレストランだ。料理長は、祇園で30年フレンチレストランを営んできた経歴を持つ前川純一さん。「基本のだしは、福岡の味をそのまま持ち込むのではなく、あごだしの強さを抑え、利尻昆布を合わせるなど、京都らしさを加味しています」と話す。

前川純一料理長(右)と厨房のスタッフの方々

いただけるお料理はこちら!

昼は「和牛と葱のだし炊きうどん」や「豚の玉寄せうどん」、「甘きつねうどん」などだしを存分に味わえるうどんがメニューに並ぶ。だしはとろみのある葛引きに変更可能だ。夜は、福岡本店の名物「十穀鍋」を京都らしくアレンジした「京 十穀鍋」や「十穀 発酵鍋」など鍋料理を味わえる。

まずは、昼の「和牛と葱のだし炊きうどん」から。うどんは京都の製麺所に国産小麦の細め平打ちを特別にオーダー。京都らしいやわらかさを持ちながら、基本のだしとの相性を追求している。ほんのり甘辛く炊いた丹波牛リブロースと細切れ肉、九条ネギと甘きつねをトッピングした満足度の高い一杯だ。大きな朱塗りの蓋つきで供される、インパクトのあるビジュアルも格別。

うどんとは思えない、インパクトのあるビジュアル
「和牛と葱のだし炊きうどん」1,900円
 

門上さん

2回目は、昼時にうかがいました。蓋には筆文字で書かれたカードがあり、それは持ち帰り自由。蓋を開けると迫力とともに香りを感じ、自然と食欲をそそります。まず、だしだけ飲むと濃厚と感じますが、麺や具材と混じると的確なバランスとなります。

昼はご飯ものもスタンバイ。「京はいからごはん」は宇治茶を使った茶飯に塩昆布と青菜を混ぜ込み、海苔、温泉卵、揚げ玉、ショウガ、九条ネギ、じゃこをトッピング。「卵かけ御飯専用醤油」で仕上げる。具材が盛りだくさんで、一口ごとに食感が異なるのが楽しい。

「京はいからごはん」600円

夜の鍋料理からは、京都祇園限定の「十穀 発酵鍋」。鶏ガラだしをベースに、昆布、干し海老、干ししいたけ、なつめを合わせただしは、薬膳のような味わい。ごまと腐乳を使った発酵ごまだれと、大徳寺納豆と豆鼓を米油でコンフィした発酵大豆だれの2種類のたれで楽しめる。丹波牛ロース、きおん川勝の白菜漬、ゴボウ、しめじ、九条ネギなど、京都の食材が鍋を彩る。

「十穀 発酵鍋(牛)」10,000円(1人前)。「豚」は7,500円。前菜やご飯などのついたコースもあり
2種類の発酵たれで味変を楽しめる

だしの魅力を五感で味わえる

福岡にある「御料理 茅乃舎」の料理と京都の素材が出会い、だしの地域性や奥行きが楽しめる料理の数々。「まずは『茅乃舎』を知ってもらうことからはじめ、ファンを増やしていきたい」と話す前川料理長。今後はだしのワークショップや食育イベントも展開予定とのこと。だしの魅力を五感で体験しに、ぜひ訪れてみて。

祇園町南側にできたニュースポット。昼は行列ができるほどの人気ぶりだ
 

門上さん

プレゼンテーションが見事。食べる期待感を高めてくれます。1階の鰹節削り機を見た後、食べるときにスタッフが削りたての鰹節をプラスしてくれるので、テンションが上がること間違いなし! 京都限定のだしが味わえるのもうれしい。

教えてくれた人

門上武司
1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会理事長補佐、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「食べる仕事 門上武司」「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)、「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、など。年間外食は1,000食に及ぶ。

※価格は税・サービス料込。

文:木佐貫久代
撮影:福森公博