【第3週のカレーとスパイス】スペシャルコースが2,980円! 百名店出身店主によるビリヤニ&カレーの新店が誕生「インドカレーSORA」

食べログ アジア・エスニック TOKYO 百名店」に何度も選出されている「カーン・ケバブ・ビリヤニ」。その名の通りケバブ(インド亜大陸のグリル料理)と昨今ではカレーマニア以外の層にもファンを増やしているビリヤニが看板メニューの大人気店です。そちらで長年腕を振るった方が独立し、西早稲田エリアのカレー激戦区に2025年6月14日「インドカレーSORA」をオープンさせました。

2025年6月14日にオープンした「インドカレーSORA」

早稲田通り沿いのわかりやすい場所ですが、以前からさまざまなカレー店、あるいはカレー専門でなくともカレーがメニューにあるお店が入れ替わり立ち替わりオープンするも残念ながら長続きせず閉店してしまっていた店舗の居抜き。前店舗はうどんのお店だったのですが、その内装を活かしたカウンターのみの明るくシンプルな店内は一人でも気軽に入りやすい雰囲気となっています。

店内の様子

ビリヤニにするか、カレーにするか、焼き物も食べたい。悩んでいるとそのすべてを楽しめる「スペシャルSORAコース」2,980円の存在に気づき、そちらにしました。

「スペシャルSORAコース」のカレー3種&主食と、ハーフビリヤニ

焼き物3種はお店のお任せですが、カレー3種の内容と主食、ハーフビリヤニの具材、ドリンクを自分で選べるコースです。

コースはパパドとラッシーからスタート

まずはパパドとバナナラッシーから。生バナナの食感が残ったラッシーはヘルシーなおいしさです。

写真左上から、マライティッカ、フィッシュティッカ、タンドリーチキン

続いて焼き物。この日はタンドリーチキン、マライティッカ、フィッシュティッカの3種。マライティッカとはヨーグルトや生クリームなどに漬け込んだ骨なしチキンをタンドールで焼いたもの。フィッシュティッカはタンドリーチキンの魚版と言えばわかりやすいでしょうか。どれも程よくジューシーでリッチなテイスト。お酒と合わせても良さそうな前菜です。

選べるカレー3種は(写真左から)ビーフマサラ、ほうれん草チキン、ミックスシーフードをチョイス

メインのカレーはビーフマサラ、ほうれん草チキン、ミックスシーフードを選択。こちらのお店はマトンのメニューがなく、かわりにビーフのメニューがあるというのが個性的。インドでは牛が神様なので牛肉を食べないのでは? と思う方もいるかもしれませんが、宗教によっては牛肉を食べる人も少なからずいて、特に南インドのケララ州では牛肉を使った名物料理もあるくらいです。

カシア香るビーフマサラはマトンマサラの牛肉版でスモーキーなテイスト、ほうれん草チキンはほうれん草ペーストの存在感がしっかりあり、ミックスシーフードもイカやエビの火入れが程よく、それぞれベクトルの違う味で、どれもレベルが高いのが流石。ふっくらと焼き上がったナンともよく合います。

コースでは看板メニューのビリヤニをハーフサイズで楽しめます

看板メニューのビリヤニもビーフにしました。こちらもカーン・ケバブ・ビリヤニを思わせるルックスでありテイスト。ふわっとパラッと仕上がったバスマティライスにハーフサイズでもゴロゴロと入った牛肉が満足度を高めてくれます。

コースにはデザートも付きます

デザートはナッツのアイスクリーム。カレーの後のアイスクリームは幸せな気持ちにさせてくれます。

かなり多量で2.5人前くらいはあろうかと感じるボリュームでしたが、どれも現地の高級ホテルレストランの味に近い方向性でインド料理慣れしていない人にもわかりやすいおいしさだと言えるでしょう。マニアにとってはビーフのアイテムが充実しているところが他になかなか無いので面白いと感じられるお店。この量で3,000円を切るのはかなりお得だと言えます。

個人的な感覚ですが、今までこちらの場所に入っていたさまざまなカレー関係のお店と比べても頭一つ抜けたレベルの高さ。今度こそ長続きしてほしいですし、それができるレベルの高さだと思うので、あとは近隣の方々が気づいてくれることを待つのみです。

【第4週のカレーとスパイス】「オイシイカレー(通称)」

2025年8月27日に移転オープンした「オイシイカレー(通称)」

カレー激戦区・下北沢においても特に人気店である「オイシイカレー(通称)」が、同下北沢エリアに、2025年8月27日、移転オープンしました。(通称)というのは、元々店名を持たないお店なのですが看板にあるオイシイカレーの文字からそれが店名だと広まってしまったものの、やはり今も店名は持っていないことから(通称)なのです。

まるでラーメン店のような内装

隠れ家的だった前店舗よりはわかりやすい場所となり、これまで以上にラーメン店を思わせる内装となったのはオイシイカレー(通称)らしい遊び心と言えるでしょう。

こちらのお店は前身のお店から遊び心ある創作カレーのみならず、本格派の王道カレーもどちらもおいしいのが素晴らしいです。

メニューもラーメン店を彷彿とさせます

メニューは時期によって変わっていくのですが、辛いポークカレー、仔羊と香草の「二種盛り」1,400円に、壁に貼り付けてあるメニューから「うずら玉子のマサラウフマヨ」200円も加えていただきました。

辛いポークカレーと仔羊と香草の「二種盛り」

辛いポークカレーは南インド・アーンドラ地方の料理にヒントを得たオリジナル。程よいスパイス感とオイル感。ご飯がすすむおいしさです。仔羊と香草は北インド料理をベースにローズマリーやタイムなど、インド料理で使われることがあまりないハーブを使用しているのがこちらのお店らしい個性。どちらのカレーもオーセンティックなインド料理を基礎としながらも、そこに独自性が加わって王道カレーでありつつもここにしかないおいしさとなっているのが素晴らしいです。

「うずら玉子のマサラウフマヨ」

ウフマヨはマサラマヨネーズのほのかな酸味と濃厚なコクが楽しく、満足度を上げてくれるトッピング。これのみでカレーと言っても差し支えない存在感です。

これだけで終わってはこちらのお店の魅力を語るには足りません。創作カレーからは鯵の冷や汁モイリー、冷やし鶏醤油カレーの「二種盛り」1,350円を注文。

鯵の冷や汁モイリーと冷やし鶏醤油カレーの「二種盛り」

ここ数年酷暑の夏となっていることもあり、よく見かけるようになった冷やしカレーですが、個人的にはそれほど好みません。温かい方がもっとおいしいだろうと思うものが多いからです。しかしこちらの冷やしカレーはそんな僕にも冷たいからこそおいしいと太鼓判を押せるもの。ラーメンの作り方をカレーに生かした、言わばラーメン系カレーを前身のお店の時代から得意としているシェフならではの鶏醤油カレー。そしてミーンモイリーという南インドの魚カレーを元にミョウガなどを加えて和の要素でまとめた冷や汁モイリー。どちらもオンリーワンの絶品です。

※冷やしカレーは夏季限定メニューのため記事公開時には終売している可能性があります

卓上サービスのキュウリのお漬物と紅生姜のチャトニ

どちらのカレーも卓上サービスのキュウリのお漬物、紅生姜のチャトニを途中から加えると個性ある味変となり、どちらも南インド料理に和の要素を加えた他にないオリジナル薬味となっているのも忘れてはいけません。

漬物とチャトニを加えるとまた違った味わいが楽しめます

創作カレーにおいては大阪と比べると一歩遅れを取っている東京ですが、東京ならではの創作カレーを作り、大阪に負けないレベルでさまざまな楽しいメニューを展開し続けてくれているオイシイカレー(通称)。週末は行列ができるほど人気ですが、平日は比較的入りやすいことも少なからずあって狙い目。いずれにしても並んででも食べる価値のあるカレーですよ。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格はすべて税込です

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部

撮影:カレーおじさん