【第3週のカレーとスパイス】カフェ感覚で本格ダルバートが食べられる! 新大久保に注目のネパール料理店が誕生「POKHARA (ポカラ)」

新大久保と言えば一般的にはコリアンタウンとして有名ですが、カレー好きの間では“リトルカトマンドゥ”と呼ばれネパール料理の激戦区としても有名であることは本連載でも幾度となくお伝えしてきました。そんな新大久保らしい新店舗が2024年10月29日にオープンしました。その名は「POKHARA」。

店名はネパール中部にある都市名に由来する

ポカラとはネパール中部にある都市名でカトマンドゥに次ぐ人口の多い街。つまりこちらもネパール料理店ではあるのですが、新大久保エリアの他のお店とは色々な部分が違うのです。

カフェとレストランのいいとこ取りな雰囲気の店内

最も顕著なのは向かいにある韓国系カフェ「ROZI coffee」の姉妹店であること。そして食事メニューがダルバートのみであること。さらにはROZI coffeeのコーヒーも飲めて、逆にROZI coffeeではPOKHARAのカレーを違った形で食べることができるのです。おしゃれなカフェの系列らしくこちらの店内も他のネパール料理店とはかなり違う雰囲気。

「ダルバートセット」1,100円は定番のチキン、ポーク、週替わりのキーマの中から好きなカレーを2種類選ぶシステム。ポークと週替わりのチキンキーマカレーを選択してオーダー。

「ダルバートセット」

ポークはオーセンティックなネパールのスングルコマスを基礎としながらそれを日本人にも食べやすくした仕上がり。レモンの風味が印象的で爽やかなテイストが素晴らしいです。

キーマはジューシーでスパイスカレー的な着地。お店の看板にはスパイスカレーとも書いてあるのですが、正統派ネパール料理をスパイスカレー的な形で初心者にも食べやすく仕上げているとも言えるでしょう。

初心者向けとなるとマニアには物足りないと感じる場合もありますが、こちらのカレーは物足りないということはないレベルの高さ。確かに現地料理とは少し違いますが、その違いが楽しく、他にないおいしさだと思えるのです。

期間限定でギーのトッピングサービスも!

期間限定でギーのトッピングもできるということでお願いしたのですが、食べて少ししたあたりでフライパンで熱したギーをそのままご飯にかけてくれるというサービス。ポカラ産の水牛のギーとのことですが、豊かな風味が加わってさらに奥深い味となりました。

取材日の付け合わせは、タンドリー手羽中

付け合わせも時期によって変わり、この日はタンドリー手羽中でした。マサラ玉子の黄身がとろとろなのもスパイスカレー的。ダルは濃厚で、サラッとしたテクスチャのポークカレーと混ぜると濃度を調節する役目も果たします。言うなればこれは新時代ダルバート。ダルバート好きのみならずスパイスカレー好きな方にも食べてほしい逸品です。

「アメリカーノ」は好みの加減に調整できるのがうれしい

食後に「アメリカーノ」605円も。ROZI coffeeのスタッフさんが向かいのお店からサーブしてくれました。アメリカーノとはエスプレッソをお湯で割ったものですが、こちらのアメリカーノはエスプレッソとお湯が別々で出てきて自分好みの濃度に調節できるのが面白いです。エスプレッソ自体の味を楽しんだ後に濃いめの濃度にしてアメリカーノも味わい、一度で二度おいしいというお得感。

最後に、先述したROZI coffeeではPOKHARAと違った形のカレーを食べられるということについて。ROZI coffeeのランチタイムにはチキンカレー、チーズキーマカレー、そしてプルコギカレーというメニューもあり、このカレーはPOKHARAで調理したものをPOKHARAからサーブしてくれるのです。

「目玉焼き」をトッピングした「プルコギカレー」

「プルコギカレー」1,078円に「目玉焼き」55円をトッピングしたものをいただきましたが、POKHARAのチキンカレーをスパイスカレー的に盛り付けたものと韓国料理のプルコギのあいがけ的な個性ある一皿となっていました。

新大久保散策のランチスポットとしてもおすすめ

韓国とネパールを新大久保の地で繋ぐ存在とも言え、今後このエリアを代表するようなお店に育っていく可能性を感じました。

ダルバートを食べてみたいけど本格的なネパール料理店の雰囲気にハードルの高さを感じていた方にはうってつけのお店。カフェ感覚で個性派ダルバートを食べられる貴重な存在であり、今後の展開も楽しみな新店舗です。

【第4週のカレーとスパイス】グルメの街・神楽坂にビギナーもマニアも満足できるタイ料理店がオープン「神楽坂タイレストラン」

さまざまなジャンルの名店が数多く存在するグルメ垂涎のエリア・神楽坂に、ここの所エスニック系のお店が少しずつ増えてきているように感じているのですが、今回ご紹介する「神楽坂タイレストラン」は、名前の通り神楽坂の路地に入ってすぐの場所に2024年12月16日にオープンしたタイ料理店です。

2024年12月16日にオープンした「神楽坂タイレストラン」

1階がカウンター席、2階はテーブル席と、1人でも2人でもグループでもさまざまなニーズに対応した空間。神楽坂らしく上品でおしゃれな雰囲気なので、デートにも使えそうです。

注目メニュー「自分で作る!ソムタムタイ」

夜はさまざまなタイ料理があるのですが、面白いと思ったのは「自分で作る!ソムタムタイ」800円。ソムタムとは青パパイヤを使用した辛口のサラダ。具材や調味料をクロックソムタム(すり鉢)を使って自分で仕上げるという体験型メニューです。

「ソムタムタイ」

作るのが面倒だという方や作ってもらうのが好きだという方には、できあがった状態の「ソムタムタイ」900円もあります。

酸味と辛味による爽やかな刺激。サラダではありますがお酒のおつまみとしても機能するメニューと言えるでしょう。

「タレーパッポンカリー」1,000円はシーフードの卵カレー炒め。イカや海老が具材となっていて、卵のふんわりした食感とタイカレーらしいテイストが融合した一品。こちらのタレーパッポンカリーは上品な仕上がりで一人で頼んでも重くないのが特徴。卵によってまろやかになっているので辛いものが苦手な方にもおすすめ。

「ハーフガパオライス」

一人で色々と食べたい方には「ハーフガパオライス」600円も。言わずと知れたガパオのハーフサイズです。しっかりとガパオ(タイ料理を代表するハーブ)を使用した本格派で、マニアも納得の仕上がり。

ランチタイムはご飯や麺をメインにミニサラダやデザートもつくお得なセットになっています。「グリーンカレー」1,200円は現地を思わせるしっかりとした辛さであり、鶏肉と茄子がたっぷりと入って食べ応えがあります。これぞゲーンキョウワンという王道の味で、満足度が高い仕上がりでした。

タイカレーマニアも納得のしっかり辛いグリーンカレー

グループで行って体験型メニューを楽しむも良し、1人で色々なメニューを少しずつ楽しむも良し、2人でお酒と共にタイ料理をつまみながら語らうも良し。料理も初心者向けからマニア向けのものまで幅広くあります。

2階のテーブル席

ワインバーが多い神楽坂ですが、こちらのお店のような選択肢が増えているのはカレー好きとしては大変喜ばしいこと。普段タイ料理をなかなか食べない方にとっても、魅力的なタイ料理の世界への素敵な扉となり得るお店ですよ。

【第5週のカレーとスパイス】麻婆豆腐×カレーがうまい! 中目黒の人気間借りカレーが独立店舗として移転オープン「VIBES curry&diner」

中目黒の間借りカレー店として人気だった「VIBES CURRY」が、2024年11月26日、学芸大学駅近くの五本木交差点に「VIBES curry&diner」と装いも新たに独立店舗として移転オープンしました。

「VIBES CURRY」が「VIBES curry&diner」としてパワーアップ!

夜は光り輝くネオンが印象的。階段を上って扉を開けば、中は明るくスタイリッシュな空間。お店のグッズなども飾られているのですが、細部に至るまでセンスの良さを感じます。

暗闇でもパッと目につくお店のネオン

それもそのはず。こちらのシェフは人気アーティスト「湘南乃風」のバックセレクターをつとめるThe BK Soundさん。一流のアーティストだからこそイラストレーターやデザイナーなど、他ジャンルの一流のアーティストとのつながりがあり、そんな仲間たちのセンスが溢れたお店なのです。

メインのカウンター

音楽はもちろんですが、元々は趣味だったという料理の腕も確か。結婚してお子さんが誕生したのをきっかけに料理に目覚め、自作の料理を仲間たちに振る舞っていく中でカレーが好評となり、間借りカレー店をスタートさせたそうです。飲食店での修業経験はなかったそうですが、今回ご自身のお店を持つにあたり「食べログ カレー TOKYO 百名店」の常連である人気カレー店のお手伝いもしながら勉強も重ね、無事独立オープンしたという経緯。

以前は間借りということもありランチのカレーがメインでしたが、独立店となったので夜にはお酒やおつまみ飲み物メニューも充実。

「前菜盛り」

まずは「前菜盛り」1,000円を注文。ナスのスパイス甘酢炒め、スパイス枝豆、ひよこ豆のフリットの3種がのった盛り合わせ。お酒のおつまみとしてももちろんですが、野菜で構成されているのでメインのカレーの前のサラダ感覚でもいただけるのが良いです。

「2種の合いがけカレー」

「2種の合いがけカレー」1,690円は、価格は昼と夜で変動(ランチ価格は1,550円)しますが、夜でも注文可能。選べるカレーは、バイブスチキンカレーとバイブス麻婆豆腐にしました。

ポップな味わいのバイブスチキンカレー

チキンはポップでわかりやすいテイスト。辛さも控えめなので老若男女に喜ばれそうなおいしさ。

攻めたテイストのバイブス麻婆豆腐

一方、麻婆豆腐は引き算の味付けで上品ながら、実山椒の刺激と香りが印象的な攻めたテイスト。こちらはマニア受けしそうなおいしさだと言えるでしょう。

学芸大学駅付近はここのところ注目すべきカレー、スパイス料理のお店が増えているのですが、横の繋がりが少しずつ強くなってきているそうです。

僕も本業が音楽なのでよくわかるのですが、お互いの作品を良いと思ったアーティストが仲良くなり、一緒にイベントなどを立ち上げてシーンが大きくなっていくのはよくあることであり、文化を育てていくのに重要な動きです。店主The BK Soundさんも音楽アーティストだからこそのノリ、つまりバイブスで学大カレーシーンを繋げていく存在となりそう。

DIY感が楽しいテーブル席も

スパイスカレーや間借りカレーという文化を全国に広げた大阪のカレーシーンも、ミュージシャンが多かったからこそ横の繋がりが深まり、大きなムーブメントとなり、文化として成熟しつつあります。

東京でもその流れが生まれるには、VIBES curryのような文字通りのバイブスが必要であり、味のみならずそのような側面からも要注目の新店舗だと言えるでしょう。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!https://www.instagram.com/tabelog/

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部