教えてくれる人
小寺慶子
肉を糧に生きる肉食系ライターとして、さまざまなレストラン誌やカルチャー誌などに執筆。強靭な胃袋と持ち前の食いしん坊根性を武器に国内外の食べ歩きに励む。趣味は一人焼肉と肉旅(ミートリップ)、酒場で食べ物回文を考えること。「イカも好き、鱚もかい?」
旬の果物をふんだんに使ったデセールコースの店が南青山にオープン!
スイーツ人気の高まりもあって、最近は「甘いもの」だけで構成するデセールコースの店が増えている。作り置きをせず、提供の直前に仕上げる皿盛りのアシェット・デセールは、元々はフランス料理のコースの最後に出てくる“お楽しみのひとつ”だったが「デザートだけのコースでお腹も心も満たされたい!」というスイーツラバーにとって、この新しいムーブメントは文字通り、甘美な食体験と言えるだろう。
今、東京のレストランでは、特別に品数の多さを売りにしている場合を除いて、コースで7〜8品前後が供されるのが平均的だが、そのすべて甘いものとなると、シェフの腕前はもちろん、独自性やセンスが問われるのは言わずもがな。中にはなかなか予約が取れない店もあると聞けば、デセールコースを専門とする店に俄然、興味が湧いてくる。特異性が高いジャンルではあるが、食いしん坊であれば、甘い誘惑には抗えない。せっかく初めての体験をするならば話題の店を選びたいという人におすすめなのが、南青山の路地に店を構える「Haruka Murooka」だ。
予約困難店「長谷川稔」出身! ファンの多い室岡さんの思いとは?
カウンターで一皿一皿、美しいデセールを仕上げるパティシエの室岡春香さん。父は彫刻家、母はトールペイントの講師をしていたこともあり「子どもの頃からモノづくりに興味がありました」と話す。20歳を過ぎた時、昔から好きだった料理を本気でやってみたいと銀座のフレンチレストランへ。意外なことに「実は甘いものがそんなに得意ではなかった」と言うが、パティシエの先輩のサポートでバースデープレートを作った時「とても褒めてもらった」ことが、今の仕事の原動力につながっているとうれしそうに微笑む。
スイーツの道を究めようと思ったのは、修業先のマネジャーからパティシエになった方がいいんじゃないとアドバイスもらったそう。「私はお客様の喜ぶ顔が見たくてこの仕事をしているので、持ち帰りのケーキを作るよりもアシェット・デセールの道に進みたかったんです。レストランで先輩方の仕事を見ながら、同世代のパティシエのユニット『sugar』にも参加させていただき、その繋がりで『長谷川 稔』グループを紹介いただきました。そのご縁もあって、長谷川さんが広尾に『薫 HIROO』をオープンされる際に働かせていただくことになったんです」