【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#166】「ODISHI INDIAN RESTAURANT」
インド料理は地方によってさまざまな特色があります。北はリッチなテイストのものを基本にチャパティやナンなどパンのような主食に合わせ、南はヘルシーでスパイシーなテイストのものをインド米に合わせることが多いというのは、ここ数年でグルメな方の間では浸透しつつあるように思います。ただ、インドは広いです。北でも当然シンプルなテイストなものを米で食べることもあれば逆もまた然り。さらには東も西もあり、簡単にこうだと言い切ることはできないのが実情です。
今回ご紹介するのは、東急池上線・蓮沼駅近くに2024年2月に開店した「ODISHI INDIAN RESTAURANT」。インド南東部にあるオリッサ州出身のメンバーが中心となって立ち上げられた、南インド料理と東インド料理のお店です。
外観はよくあるインド料理店のように見えるのですが、ディナータイムの早い時間に入ってみるとほぼ満席。
このスタイルのお店としては既にかなりの人気であり、地域住民にも受け入れられている様子でした。
幅広いメニューからまずは「ダルショルパ」450円を。豆のスープなのですが、シンプルイズベストな味付けで、豆の優しさとニンニクのパンチが調和していて食欲に火がつくスターターであり、他のカレーなどと合わせて食べても合いそうなスープです。
続いて「チキン65」780円と「マッシュルームペッパーフライ」690円を。チキン65は南インドでよく食べられるチキンのスパイス唐揚げ。サクッとした衣の食感と一緒に素揚げされたカレーリーフのパリッとした食感のハーモニーが楽しく、そして香り高く、一つ食べると止まらなくなる逸品。
マッシュルームペッパーフライはケララ名物のペッパーフライかなと思いきや想像よりもかなり優しいテイストで、ブラックペッパーの刺激は控えめ。マッシュルームのうまみがトマトのうまみと渾然一体となったもので、良い意味で家庭的なテイストとなっていました。
メインに選んだのは「コルカタマトンビリヤニ」1,480円。コルカタ式のじゃがいもがドーンと存在感あるビリヤニ。骨付きマトンはスッと骨が外れるほろほろの軟らかさで肉の味が濃いのがたまりません。付属のライタ(ヨーグルトサラダ)をかけて食べればさっぱりとし、チキンカレーのグレイビーをかけて食べればよりリッチなテイストとなり、味変の振り幅も楽しめるビリヤニです。
全体的に感じたのはホームメイドなおいしさという印象。調理にあたっている方も南インド料理のシェフと東インド料理のシェフがいるそうで、それぞれの経験を活かした料理と、家庭料理もメニューに加えているとのこと。だからこその幅広さであり、だからこそのオーセンティックな地方料理ともまた少し違った魅力があるものなのだなと感じました。
先述したようにオリッサ州は東インドと南インドの中間に位置します。日本で例えると東京と大阪の中間の名古屋で東京と大阪の料理を出しているお店というような形。しかしそれはそれで独自の面白さがあるわけです。
とにかくインドは広く人も数も膨大ですから、ジャンル分けが日本より遥かに難しい国。これはどこの料理なのかと決めつけることなく、柔軟な気持ちで食べれば素直においしいと感じるものを色々と楽しめます。だからこそここは地域住民にも愛されているのでしょう。南インド料理も東インド料理もよくわからないという人にこそ食べに行ってほしいお店です。
ちなみに店名について、看板には「おおでし」という日本語表記がありますがショップカードなどには「オリッシー」と書いてあります。オリッサ州のオリッシーという意味合いでしょうから、おそらくオリッシー、もしくはオリッシと発音するのが正しいと思われますが、このあたりのおおらかさがインドらしいなと、そしてこのお店の雰囲気を感じさせると思いました。
※価格はすべて税込