「The Tabelog Award 2024」 受賞店インタビュー

「おいしいを、讃えよう。」をキャッチコピーに、食べログユーザーによる評価をもとにした独自の年間レストランアワード「The Tabelog Award 2024」。対象期間にきわめて高い評価を獲得したお店がノミネートされ、ユーザーによる投票にて「Gold」「Silver」「Bronze」の各賞、部門賞として「Best New Entry」「Best Regional Restaurants」「Chefs’ Gold」が決定した。

受賞店数は456店舗、その割合は日本の飲食店の中のわずか0.05%ほどという狭き門。そんなトップオブトップの飲食店の料理人たちは今、何を考えているのか?

Silver & Chefs’ Gold受賞「本湖月」穴見秀生氏

穴見秀生氏
穴見秀生氏   写真:お店から

「The Tabelog Award」8年連続受賞となった「本湖月」。今年は昨年に続き「Silver」を、そして「Chefs’ Gold」のダブル受賞をした。

料理の世界に入り、この道60年の穴見氏。大阪の日本料理界の重鎮とも言える存在であり、食通たちが彼の料理を求めて、彼に会いに、大阪を訪れる。「世界に向けた料理ではなく、日本人のための日本料理を」と、客の一人ひとりと向き合う穴見氏が織りなす空間は、「本湖月」でしか味わえないひとときとなる。

料理、器、空間、すべてが道具の一つ

写真:お店から

設えや器などを含めた美しさも評判の「本湖月」。毎月、食材、料理を変え、器を変え、空間の設えを変えている。そのもてなしの心は「素敵な日本の文化を少しでもお客様に楽しんでもらいたい」ということに尽きる。

写真:お店から

「このようなかたちで食事をするのは、世界でこの日本料理だけなんです」と穴見氏が言うように、日本料理には「おいしい」だけではなく、大切なものがあると感じさせてくれる。

非日常の食事を提供することが役目

写真:お店から

料理の中でも「お椀」を主役の一品として、気を抜かず、思いを込めて作っているのだという。「口をつけてもらったら、日頃の疲れとか、ゆっくり忘れて楽しんでもらうような料理」だと表現する。お椀の蓋を開けた時の景色や香り……穴見氏が気合いを入れて作る「お椀」には、技術はもちろん、美しさ、味わい、思い、物語のような世界が詰まっている。

次の世代へつないでいきたい

写真:お店から

「最初の目標は、75まで現役でやれたら料理人として十分だな」と自身が包丁を置くタイミングを考えていたと話す穴見氏。今年彼はその目標の年齢である75歳を迎える。

「あぁ、もう今年で終わりかな」と思ったところ、「もう少し頑張ってください」という声が上がり、今の目標は80歳までになったそうだ。
「あと5年はもうちょっと包丁を握ってみたいなと思って。頑張ろうとは思っていますね」(穴見氏)

穴見氏は、自身の持っているものを若い人たちにバトンタッチしていきたい、“つないでいく”というのが自分の今の立場であると、強い思いを語る。少しでも自身の思っている日本料理というものを、弟子たち、そしてお客様にも伝えていくこと、それが今の自分の役目であると。彼のいる「本湖月」から、これからも日本料理の文化が育まれ、伝わっていくだろう。

詳しくは動画で

インタビュー動画では穴見氏が、料理に対する思いや、将来の展望などを語る。素晴らしい料理がどのようにできているのか、そのヒントが詰まっている。

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■The Tabelog Award 2024
https://award.tabelog.com/

文:食べログマガジン編集部