〈2024 食通が惚れた店〉

みんなが再び日常的に外食を楽しめるようになった2024年。インバウンドの盛り上がりもあり、飲食業界も新しいチャレンジに目を向けた一年だったのではないでしょうか。

そんな2024年に、グルメ情報を熟知した有識者が惚れ込んだお店や料理についてアンケートを実施。「最も印象に残った店」「3,000円以下のお手軽グルメ」「お取り寄せグルメ」をうかがいました。

今回は、関西のグルメライターの猫田しげるさんにお答えいただきます。

教えてくれる人

猫田しげる

20年以上、グルメ誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。各地を転々とした挙句、現在は関西在住。「FRIDAYデジタル」などのweb媒体で記事執筆。めったに更新しない猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」。

2024年のベストレストラン

Q. 2024年、最も印象に残った店とメニューを教えてください

A. 「淡流」の「朝食」です

たかえりっちょ
「朝食」8,400円   出典:たかえりっちょさん

開店は2019年ですが、朝食を始めたのはその1年半後。なんと今は、来年(2025)春まで予約が取れないそう。しぇ~。朝食は第3日曜のみで、8,400円(サービス料込)ですが、その価値は十分にあります。

土鍋ご飯に、自家製の佃煮、そして先付から焼き魚、煮炊き物、揚げ物、和菓子まで10品以上。姫路出身の店主・中江さんは自分の山を持っており、そこで収穫した山菜や川魚、自分の畑で採れた野菜など「播磨産」へのこだわりはひとしお。器も歴代の楽焼や魯山人のものなど文化財級の皿に盛り付け、目も楽しませてくれます。土鍋を開けた瞬間「湯気からもう旨い!」と思ったご飯は後にも先にもここだけです。

たかえりっちょ
炊き立ての土鍋ご飯   出典:たかえりっちょさん

とにかく中江さん、お若いのに勉強熱心であらゆる「道」を究め、本まで出しているし、何よりイケメン(笑)。市原隼人にそっくり。人柄もやわらかく礼儀正しく、某局の仕事の流儀的な番組に出た方が良い人材です。

外観
外観   写真:お店から

アンダー3,000円のお手軽グルメ

Q. 2024年に食べた〈3,000円以内の感動の味〉を教えてください

A. 「トロイカ&リビエラ」の「玉造カレー」700円です

吹田のどらお
「玉造カレー+とんかつ」   出典:吹田のどらおさん


もう30年以上も営業しているカフェ&レストラン&ベーカリーなんですが、2024年に初めて訪れて衝撃を受けた店です。店内がカオスすぎる(笑)。マスターがワンオペで、パンも焼いて洋食も作ってイラストも描いてフルートも吹いて……と、とにかく何でもやっています。パンも大変おいしいです。

洋食はオムライスやフライ、ハンバーグなど一通りそろいますが、カレーが自慢だそう。リンゴやタマネギをじっくり炒めて、何種類もスパイスを調合して、牛肉もとろとろになるまで4~5時間煮込んで……と、専門店並みに手間をかけて作ってます。
初めての人は店内に入っても放置されるので「……?」となりますが、厨房まで行ってマスターに注文を伝えるスタイルです。

お取り寄せグルメ

Q. 2024年に食べて〈おいしかったお取り寄せグルメ〉を教えてください

A. 「らーめんしょっぷ中吉」の「牛すじ煮込み」です

「【冷凍】牛すじ煮込み」1,100円 写真:猫田しげる


東京・綾瀬の肉々しいラーメンで人気の店。牛すじぶっかけラーメンが看板商品ですが、その「牛すじ」、いわゆるアタマだけをお取り寄せできるんです。秘伝のタレでこれでもかっちゅーほどじっくり煮込まれた牛すじは、日本人が大好きな甘辛味。ほろっとほぐれる牛すじ、たまり醤油やみりんなど厳選された調味料によるコク深さ、出汁の味わい……色々なものが凝縮したベストバランスな味付けが素晴らしい。肉そのものはもちろん、残ったタレが大事です! チャーハンに絡めたり、豆腐にのっけてみたり、モヤシにかけてみたり。お金がない時の魔法の調味料的な役割になります。

店主のオヤジが一見怖そうに見えて、実はハートフルという人柄も、おいしさの秘密ですかね!

らーめんしょっぷ 中吉 ネット店

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格は税込です。
※アンケート内容と「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。

文:猫田しげる、食べログマガジン編集部