【噂の新店】水づき

食べログ岐阜市の焼鳥ランキングのトップにあがる「焼鳥 みずき」。百名店にも名を連ねる超人気店ですが、昨年9月に店主の水木さんは店を譲渡し、店名を「水づき」と改めた鳥料理店を東京・恵比寿にオープン。早くもフーディーたちの舌を虜にしています。

岐阜の焼鳥トップが東京へ!

和食店らしい佇まい

恵比寿三丁目の交差点からほど近い場所に昨年12月にオープンした「水づき」。食べログの岐阜焼鳥ランキングトップに君臨していた「焼鳥みずき」の店主、水木淳二さんが店を譲り、焼鳥に一品料理を加えた鳥料理店として東京に進出したと注目を集めています。 

岐阜から運んだカウンター

暖簾をくぐり引き戸を開けたその先は土壁、古材を使った棚、竹製のハンガーといった岐阜の古民家をイメージした世界。“古いのに新しい”空間は懐かしさと温もりを感じさせ心地よい時が流れます。扉付近の席の足元には暖房器具を設置する配慮に人気の所以を感じます。 

水木淳二さん

店主の水木さんは名古屋の和食店数軒で経験を積み、岐阜「日本料理 たか田八祥」で10年勤め独立。岐阜で食べた焼鳥に感動した水木さんは同じような感動を与えることができたらと「焼鳥みずき」をオープン。12年間、その焼鳥のおいしさを伝えるべく邁進し岐阜でトップとなりましたが、今度はその味を東京の人に知ってもらいたいと50歳を機に上京。食材をはじめとする岐阜の良いものを広めるため、あえて「焼鳥」の看板を掲げず店名も「水づき」と変え、ゼロからのスタートを切ったのです。 

仕込みも美しい! 

鶏はクセがなくクリアな脂と適度な歯応えが特徴の滋賀県にある地鶏専門店「かしわの川中」の「淡海地鶏」を使っています。丸鶏で仕入れているので希少部位があるのもうれしい。ここに岐阜の野菜や調味料を使い、串10本、一品料理3〜4品、野菜2〜3品、〆ご飯、デザートのおまかせコース(13,200円)を提供しています。 

修業先で学んだ日本料理の技を生かした一品料理 

「胸肉のたたき」

肉厚にカットした胸肉は程よい弾力を感じたすぐ後からしっとりとレアに仕上げた中心部分が追いかけてきます。感動的とも言える食感のコントラストは高い焼きの技術があってこそ! 上にのせたのは蕗のとうの素揚げと味噌。あの独特なえぐみが甘めのタレにいいアクセントとなり頬をゆるませます。 

「チキンカツ」

新メニューながらシグネチャーと言っても過言ではないのが胸肉を使った「チキンカツ」です。白眉は食感。「ちょっと仕掛けをしています」という胸肉は繊維を感じないほどやわらかく、小麦粉とパン粉の付け方を工夫した衣も油もふわっと軽い。こんな食べたことを忘れてしまいそうな食感には出会ったことがありません。それが「チキンカツ」で体験できるとは! 

目指すは食べ疲れしない焼鳥! 

火入れは徹底的にこだわります 

焼き台では美しく並べた紀州備長炭を時折、炭の位置を変えて空気を入れ、温度をコントロールしながら焼いていきます。「炭の薫香で食べ疲れしないように、焼く時にかける塩は炒って塩分濃度を抑えています」と水木さん。 

「ソリ」

こちらはももの付け根にある希少部位の「ソリ」です。ふんわりと軽い皮と力強く歯応えのある身とのコントラストを楽しんだ後に、焼きの香りが余韻となって残ります。 

「ふりそで」 

口の中で跳ね返ってくるかと思うくらい弾力のある「ふりそで」は、脂はのっていながらもあっさりとした味わい。瑞々しいズッキーニを一緒に頬張ると滲み出る水分と相まって絶妙なうまみバランスが生まれます。 

「ほうれん草」

串2本の後に供されるのは岐阜県産の「ほうれん草」。生のほうれん草は茎の甘さに驚愕! 本来、ほうれん草はアクを抜くために下茹でが必要ですが、これは特殊な農法で育てているので生食できるそう。「今まで野菜は焼いてきましたが、東京に来てからは焼くことにこだわらず蒸したり煮たり、その野菜のおいしさを引き出す調理法で提供したい」と話します。 

「手羽先」 

形が特徴的な「手羽先」。水木さんが考案した開き方は均等に火が入り、皮はパリッとして身は脂がジュワッとしたたるとってもジューシーな仕上がり。骨離れも良く、両手で持たなくても食べられます。 

「ヤングコーン」

なんと美しい「ヤングコーン」なのでしょう! おいしいところを逃さぬよう身とヒゲを皮で包み込んでいます。シャキシャキとポリポリの食感を楽しんだ後はコーンの甘みに浸ります。 

「きんかん」

焼鳥好きに人気の「きんかん」。卵の弾け方がとっても優しい。肝は臭みなんて微塵も感じさせず、とろんとした黄身と絶品のタレが絡み風味が一気に押し寄せます。このタレが誠に秀逸なのですが、日本料理の名店の修業が生かされています。 

「骨付きもも肉」

こちらは骨付きのまま焼いたもも肉です。噛み締めると肉汁があふれ、濃厚な肉の味をより一層引き立てます。皮はプリプリ、弾力があるのにやわらかく焼き上げる技も見事!  

岐阜の良いものを東京に広めたい! 

「地鶏と芹の炊き込みご飯」

コースの串が終わりに近づいたところで、土鍋でご飯を炊きはじめます。本日は炊き込みご飯ですが、〆ごはんは他に水木さんが手打ちするそば、スパイスチキンカレー、そぼろご飯など、日によって異なる3種類から選べます。 

見て良し、食べて良しの炊き込みご飯 

鶏肉の脂をまとったご飯は一粒一粒がつやっつや。口に放り込めば鶏肉のうまみを吸ったご飯とシャキシャキとした芹が五感を喜ばせ、お腹が許す限りお代わりしたくなります。 

12年かけて作り上げた濃口と薄口のタレを使い分けます

焼鳥にも一品料理にも共通するのは“軽さ”。食材に向きあい、そのベストな調理法を見いだす水木さんのセンスと技術は、塩分を控え食感で楽しませる料理を完成させました。今後は岐阜の猪に鮎や鰻、300日飼育で歯応えと脂がおいしい滋賀県の地鶏の「近江おうはん」も加わり、それぞれの特徴を生かした料理が登場するそう。これは楽しみが尽きません。 

※価格は税込。

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文:高橋綾子
写真:松園多聞