【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2023年9月を振り返る

じわじわと秋めいてきました。飲食店でシェフと会話していても「暑すぎるとお客さん少なかったんですが最近は落ち着いてきたせいか増えてきていて」という声もしばしば聞かれるようになりました。つまりは食べ歩きに最適な季節が到来したということです!

そんな時期に、カレーの新店舗を食べ歩いてみたい方におすすめの今月のカレーとスパイス。

1. 川崎にできた南インド料理の隠れた名店の姉妹店

2. 新宿のバーが、好評のルンダンでランチにカレー二毛作店をスタート

3. 名古屋の人気店が中目黒に出したスパイスラーメン専門店

4. 可愛い見た目と確かなおいしさで攻める仙川の間借りカレー店

5. 代々木にあった老舗カンボジア料理店が新宿マインズタワーへ移転

以上5店舗のご紹介となります。

僕の推し料理名で並べるなら、キリポロッタ、ルンダン、Curryヌードル、KUMAカレー、チキンココナッツカレー。何のことだろうと気になった方は記事をご覧ください!

【第1週のカレーとスパイス】南インド料理店「ケララキッチン」が川崎に姉妹店をオープン「ケララ キッチン 川崎ラ チッタ デッラ店」

カレー激戦区である武蔵小杉エリアにおいても知る人ぞ知る人気店である「ケララキッチン」が、川崎に姉妹店「ケララ キッチン 川崎ラ チッタ デッラ店」をオープンさせました。

店名の通り「ラ チッタデッラ」の中心部にお店があり、店内は白を基調とした清潔感ある空間でさまざまなスパイスが置いてあるのも期待感が高まって良いです。

ケララとは南インドの地名であり、こちらはまさしく南インド料理店。ミールスやドーサなど南インド料理が色々とある中からまずは「ウズヌワダ」660円を。ドリンクもさまざまなものがあり、お酒も飲めるお店ということで一番気になった「レモンスパイスサワー」660円を合わせました。

「ウズヌワダ」

ワダとは豆粉の甘くないドーナツ。これにチャトニやサンバル(南インドの野菜カレー)をつけて食べます。さっくり、ふんわりとした食感が良く、豆の滋味深い味わいを堪能できる一品。

「レモンスパイスサワー」

レモンスパイスサワーもスパイスの香りがどことなくレモンのほろ苦さと調和するイメージで、スパイス好きにはたまらないサワーです。

メインは川崎店限定のメニューなどもあるのですが、やはりケララキッチンのスペシャリテとも言える「キリポロッタ」がおすすめ。

ポロッタとはパロタとも呼ばれるケララ名物のデニッシュ的なパン。キリとは「束ねる」という意味ですが、ドライなカレーをポロッタで挟み、それをバナナリーフで束ねて蒸しあげたという手の込んだ料理です。南インド料理店も増えましたが、この料理を食べられるお店は日本においてほとんど無いと言えるでしょう。

「ケララビーフポロッタ」

メインのカレーは選べるのですが、やはりケララらしく牛肉に。「ケララビーフポロッタ」2,200円を注文しました。

インドで牛肉というと違和感を覚える方もいるかもしれませんが、ケララはリゾート地であり、世界各国の方がやってくるということもあって牛肉料理が名物なのです。

バナナリーフをほどき、中を開いてみると視覚と嗅覚を心地よく刺激するビーフポロッタのお出まし。

牛肉のうまみがスパイスによって凝縮した形で引き立てられ、ポロッタの自然な甘みが加わります。別添えでグレイビーもあるのでそれをかけて食べても良いです。すべてをバナナリーフの香りが優しく包んでいて、見た目のみならず味的にも満足度の高い料理です。

「ホットコーヒー」

食後には「ホットコーヒー」440円を。南インドスタイルでエアブレンドした泡立ちの良い甘いミルクコーヒー。これが南インド料理の締めにはとても合うのです。

本店のシェフも川崎にいらしたのですが、9月頃までは川崎店に集中するために本店は休業しているとのこと。その後2店舗とも展開していくそうで、それぞれ楽しみです。

南インド料理好きはもちろん、南インド料理を食べたことのない方にも是非食べてもらいたい料理の数々。デートにも使えそうな雰囲気ですし、川崎に行った際には立ち寄って損の無いお店ですよ。

【第2週のカレーとスパイス】17時まで営業がうれしい! 新宿で料理が旨いと評判のバーがルンダン&カレーランチをスタート「SEDAP(スダッ)」

ここ数年でスパイスカレーやカレー文化圏の各国料理に対する認知度が高まってきたこともあってか、カレー以外の業態の飲食店がカレーを提供することも増えてきました。専門店に負けないレベルのカレーを出すお店も枚挙にいとまがない程なのですが、今回ご紹介するのもそのひとつ。新宿のバー「Theater GOO」がランチに二毛作営業としてスタートしたカレー店「SEDAP」です。

ランチといっても11〜17時と長く、他のお店が閉まっている時間でも営業しているのがうれしいところ。ちなみにバータイムが17時から、ランチとまたぐ14〜18時は喫茶利用(ドリンクのみでもOK)も可能ということで使い勝手が良いです。

ランチメニューはインドネシア発祥の肉料理であるルンダンをメインに、週替わりカレー、そしてアチャールが色々とあり、それもつけられる形。

このアチャールが面白いんです。ある日のアチャールはキャンディーチーズマサラ醤油づけ、赤ウインナー、豚もつピーマン、紫キャベツ、青茄子、アスパラきのこの6種。特に先の3つは他ではなかなか見られない形で、お酒のつまみをそのままアチャールにしたようなものであり、独創的です。

「ルンダン 選べるアチャールセット付き」

「ルンダン 選べるアチャールセット付き」1,800円を注文。アチャールは、キャンディチーズ、赤ウインナー、青茄子。これにキウイ、パイナップル、りんごのチャツネもつきます。

かなりドライで油を落とした仕上がりのルンダンはココナッツの甘みも程よく、肉をしっかり食べているという満足感に浸れる仕上がり。ご飯にもよく合います。これにアチャールやチャツネを混ぜていくことによって味の変化が出て、最後までおいしく飽きずに食べることができるというワンプレート。

元々はシェフがこのルンダンを作り始めたのが3年ほど前。独学で覚えたそうですがバータイムに出してみると評判が良く、味も安定して作れるようになってきたのでもっと広めたいと考え、ランチに二毛作営業を始めたとのこと。

また、シェフはタイに住んでいたこともあるそうで、そう聞くと週替わりがグリーンカレーだったのでこちらも気になってくるじゃないですか。

「週替わりカレー 選べるアチャールセット付き」

「週替わりカレー 選べるアチャールセット付き」1,500円も。せっかくなのでアチャールは豚もつピーマン、紫キャベツ、アスパラきのこで。こちらはタイ現地を思わせるしっかりした辛さのグリーンカレーで、これとアチャールを合わせるというのが面白く、それぞれおいしいです。

色々とあったアチャールの中で、個人的には赤ウインナーのアチャールが気に入りました。これでお酒を飲みたいと思い、夜もアチャールはあるのか聞いてみると、バータイムでもアチャール・カレーは提供可能とのこと。

サービスでいただいたミニサイズのクラフトコーラもレベルが高く、バーとしてもとても良さそう。店名にシアターとつくこともあって大画面があり、ライブイベントも行われているそうで、日によって、時間によってさまざまな楽しさを味わえるお店です。

新宿駅からすぐ近くですが隠れ家的な雰囲気であり、何かと便利なので覚えておいて損のない場所。何よりこの独創的なアチャールと個性あるおいしさのカレーは、一食の価値大いにアリですよ。

【第3週のカレーとスパイス】カレー好きもラーメン好きも痺れる旨さ! 名古屋の人気店が中目黒にスパイスラーメン専門店をオープン「tokyo 花さんしょう」

名古屋で人気の味噌ラーメン専門店「tokyo miso style IKEDA」の姉妹店「tokyo 花さんしょう」が2023年7月、中目黒駅の近くにオープンしました。

店内に入ってみると、黒を基調としたゆとりのあるカウンター席で落ち着いた雰囲気。

メニューは主に「RaRaヌードル」と「Curryヌードル」の2種。トッピングも色々とあります。

まずは「RaRaヌードル」950円から。選べる辛さは1で。

「RaRaヌードル」

RaRaとは辣油のRaとラーメンのRaとのこと。一口スープを飲むと「お!」となるような他にないタイプの味わい。まろやかで奥深い味噌のスープに程よい酸味がキレ味を加えており、スパイスの香りと辛さも相まって非常にバランスの良いテイスト。味噌ラーメンのようで味噌ラーメンではない、独自の仕上がりに唸りました。

「Curryヌードル」950円にはトッピングに「チャーシュー」500円を加えて。

チャーシューをトッピングした「Curryヌードル」

こちらも言ってみれば味噌カレーラーメンなのですが、味噌カレーラーメンと聞いて想像する味とは確実に違う着地点。インパクトがありながら派手すぎず、するすると胃の中に収まっていって気づけばスープも飲み尽くしてしまうような完成度の高さ。

やはりこちらも絶妙な酸味がポイントになっているのですが、お店の方に聞いてみると、ワインビネガー、ピクルス、陳皮の酸味を取り入れることにより爽快感を演出しているとのこと。

陳皮と言えばカレー粉に使われるスパイスとしても知られていますが、だからこそカレースパイスとの馴染みも良く、絶妙に融合したカレー麺であり、頭ひとつ抜きん出たクオリティなのだなと納得。チャーシューもしっとりと瑞々しい仕上がりで食べ応えがあり、食べ終わった後の満足度がとても高いカレーヌードルでした。

RaRaヌードル、Curryヌードル、どちらにも言えることはバランスの良さ。濃厚でありながらしつこくなく爽やかさを感じるスパイス味噌ラーメン。1口目から確実においしいのですが、最後まで飽きることなくそのおいしさが蓄積していくようなイメージ。この2つが成り立つことはなかなかありません。通常1口目からおいしいと味が派手なので途中で飽きがくることが多いわけですが、こちらのラーメンは然に非ず。また、じわじわとおいしさが蓄積していくタイプの料理は1口目のインパクトが弱い場合が多いもの。その両方を止揚するがごとく成り立っているのです。素晴らしい!

ラーメンの種類は2種ですがトッピング次第でさまざまな変化も出そうなので色々と試したいと思える内容。名古屋のお店も人気のようですがそれも納得です。

中目黒エリアはお酒を飲めるお店も多いのですが、こちらのお店は夜のみの営業で週末は深夜1時まで営業しているということで飲んだ後のシメにもちょうど良さそう。

個人的にカレーラーメンも色々と食べているのですがその中でも出色のクオリティ。ラーメン好きにもカレー好きにも試してもらいたい一杯です。