【第4週のカレーとスパイス】キュートな見た目に反して攻めた味がクセになる! 仙川にパティシエの間借りカレー店が誕生「パティシエのカレー屋さん『パティ』」

仙川駅近くにある、ハワイアンな雰囲気のバーのランチタイム間借りカレー店としてこの夏「パティシエのカレー屋さん『パティ』」がオープンしました。

店名の通りシェフは元々パティシエなのですが、その経歴と共に何故カレーのお店を始めたのかうかがってみると、フレンチの有名店「シェ松尾」に6年勤務、そのうち3年はシェフパティシエとして働き、その後に三軒茶屋のイタリアンでも料理とデザートの開発に関わり、売り上げを伸ばしたとのこと。

そしてカレーに関してはバックパッカーとして世界各国を巡っていた中、オーストラリアのレストランで働いていた時に仲間のインド人が作ってくれたまかないのカレーに感動し、それを日本で広めたいと思ってヨーロッパに行く予定だったのを中止し、帰国してすぐにこちらのお店を始めたとのこと。

非常に興味深い成り立ちですが、料理にもその経歴とエピソードに納得できる面白さとおいしさを感じました。

「1/2日分の野菜」をトッピングした「KUMAカレー」

「KUMAカレー」980円に「1/2日分の野菜」320円をトッピング。まず楽しいのがその見た目。横たわる熊さんが何とも可愛らしいじゃないですか。

ファンシーな見た目と裏腹に味は攻めています。トマトベースのカレーには程よい火入れのプリッとした食感のチキンが別盛り。野菜もさまざまな種類のものがたっぷりと。これを提供前に瞬間燻製をかけるという手の込みよう。

食べてみると肉や野菜にほんのりと燻香が加わり、カレーのスパイス感と相まって印象的な香りと味わいになっています。

また、一緒についてくるサラダのドレッシングも自家製で、フレッシュなおいしさでした。

「NEKOさんカレー」1,180円には「卵お布団」120円を加えて。こちらもうつ伏せに横たわる猫の上に、卵で作った布団がかかっているというファンシーな世界観。隣に添えられたカレーは猫にちなんで魚。この日は鯖ビンダルーということで、程よい酸味が味を引き締め、カレーリーフの香りも良くて、やはり見た目と違う攻めた味わい。

どちらも攻めているといっても辛さが強いわけではなく、シェフが衝撃を受けたインド料理と、シェフの修業した西洋料理が見事に融合し、結果的に個性的なスパイスカレーに仕上がっているという、個性が攻めているという意味です。

パティシエのお店ですからデザートも欠かせません。「自家製アイス」380円も注文すると、アイスの内容は日替わりのようで、この日はバナナキャラメルでした。

この日の「自家製アイス」はバナナキャラメル

なめらかな舌触りに素材の味を活かした自然な甘さが絶妙で、最高のデザートとなっていたので、こちらに食べに来る際にはデザートも必須です。

カレーにもデザートにも、精製された塩・砂糖は使わず自然のものだけを使用するというこだわりも味に活きており、体が喜ぶおいしさ。

間借り営業ということで営業時間などはSNSで確認してから行くことを推奨します。

今後、人気店となりそうなポテンシャルにあふれた新店。今のうちに要チェックですよ。

【第5週のカレーとスパイス】お得なランチがうれしい! 代々木の老舗カンボジア料理店「アンコールワット」が南新宿に移転リニューアル

インドのみならずパキスタン、スリランカ、ネパール、バングラデシュと、カレー文化圏各国の現地料理を出すお店はここ数年で非常に増えました。東南アジアを見てもほぼ同様なのですが、カンボジア料理となるとまだまだ全国的にあまり見かけることもない存在です。

そんなカンボジア料理を1982年から代々木の地で提供していた老舗「アンコールワット」が、新宿マインズタワー地下の飲食店街に移転オープンしました。

代々木のお店はカンボジア現地を思わせる雰囲気の良さだったのですが、移転後はより洗練された空間の中にカンボジアの要素も宿しているというようなイメージ。

開放感もあり、場所的にも入りやすいので一人客でも心配はいりません。

ランチメニューはクィティウをメインにチキンカレーや各種定食など色々とあるのですが、色々といいとこ取りな「ランチセットA」1,480円をオーダー。

「ランチセットA」

お盆に五目クィティウ、チキンココナッツカレー、ライス、スパイシーチキンサラダ、カボチャケーキがのる豪華ランチなのですが、まずスパイシーチキンサラダが良いです。

ランチのサラダは手抜きしているお店も少なくない中、こちらは程よい酸味と辛みのほぐしチキンがのっていて食べ応えもあり、味的にも個性があります。

カレーはココナッツベースで優しい甘さ。辛さは控えめで食べやすく、カンボジアカレーの特徴であるさつまいもが具として入っているのでベクトルの違う甘みも感じます。甘いと言っても甘すぎるわけではなく、万人受けしそうなバランスの良さと言えるでしょう。

クィティウとは東南アジアや台湾などでよく見られるライスヌードル。シンプルで上品なチキンスープに入った野菜と麺。五目というだけあって鶏肉や海老も入っています。

派手さは無いのですがじわじわとおいしさが蓄積していくタイプ。味が足りないと感じたら、あるいは変化を出したい場合は卓上の調味料で調節可能。

カボチャケーキはカボチャの種の部分をくり抜いた空洞にプリンのようなものが入ったデザート。程よい甘さに癒やされます。

全部食べればお腹もいっぱい。カンボジア料理に馴染みのない方にも、1人で色々と試せるこちらのランチは入門編として最適と言えるでしょう。ディナータイムには海老や蟹爪のカレー炒めなどもありますし、その他よりディープなカンボジア料理の世界を味わえます。

まずは1人でランチから。気に入ったら仲間とディナーであれこれ楽しんでみてほしいお店。場所も駅直結で便利ですし、ここからカンボジア料理のファンが増えていくと良いなと思います。

※価格はすべて税込です。

写真・取材:カレーおじさん\(^o^)/

文:カレーおじさん\(^o^)/、食べログマガジン編集部