寿司屋定番の一品一品が、別格の味わい

その甘酸っぱさは心地よい口直しとなり、次の一貫をさらにおいしく食べるために欠かせないのがガリ。親方は新生姜が出始めると1年間で使用する量(約100kg!)を購入。すべて丁寧に下処理し、程よい甘みと心地よい酸味、さらにかすかな苦みを持つように漬け込む。歯応えもシャキシャキと爽快で、このガリが好きで好きで足を運ぶファンもいる(僕がそうです)。

新生姜は高知、熊本、和歌山などから購入している
薄くし過ぎない。2〜3mm程度の厚みで切っていく。ねっとりした柔らかいネタと歯応えあるガリの食感のギャップも楽しい

「特製いなり寿司」(1貫 210円)は隠れた人気品。油抜きをした油揚げに醤油、出汁、砂糖、ざらめで味付け。それですりおろした胡麻とゆずで香り付けしたシャリを包むだけ。シンプルだからこそ、あとを引くおいしさで、握りの後に数個ぺろりの客も。お土産にもできる。

「特製いなり寿司」。かつては百貨店の催事などでも販売をしており、1日に1,000個近く売り上げる人気だったとか。納得のおいしさです
 

武智さん

握りは間違いなくおいしいのです。それだけで推せます。推しています。が、さらに口直しに食べるガリや、コースでも足りなければとひょいと出されるいなり寿司がこれ以上なくおいしいって、素敵だと思いませんか? ちなみに個人的にはこちらのガリとぬる燗は最強の組み合わせで(適度に楽しんでください)、いなり寿司は手土産にして喜ばれること間違いなしです。