技あり、の料理には親方の遊び心が光る

夜は握りのコースに先立って刺身、茶碗蒸し、焼き魚などが出される。焼き魚の後には福井県武生から取り寄せるそばを使い「辛味大根」をたっぷりのせた越前そば。口の中をさっぱりさせてから握りにという思いからだ。そして握りの後には水菓子も。魚介のさまざまな魅力を伝えてくれるコースはしっかりと量があるので、お腹を空かせて挑みたい。

自慢の綺麗な出汁で作る茶碗蒸し。具材はシンプルに湯葉、椎茸、そしてコクを加えるためのモッツァレラチーズ!が入っている。とろりとしたコクがいい感じ!
福井県武生から取り寄せる、コシのあるそばを使い「辛味大根」と香り豊かな海苔でいただく越前そば。口直しにそばとは……味の構成、アイデアに脱帽です
 

武智さん

気の置けない誰かとならカウンターで。ハレの日に家族でならテーブル席でこのコースをいただけば、口福に満ちた時間を過ごせること間違いなしです。テーブル席はカウンターとも少しだけ離れているので、カジュアルな接待にもいいかもです。一品料理も握りもこだわりが詰まっていて、でも気さくな親方のおかげでカジュアルに楽しめるのがこの店の最大の魅力。ちょっと贅沢をしに気軽に出掛けてみてください。

江戸前寿司を心ゆくまで楽しめる名店、駒込にあり

この店の魅力をいろいろ書いたのだが、最後にかんぴょうの話を。栃木県で作られている無漂白のもののみを仕入れ、下処理をし、味を入れたそれは、食事の最後にふさわしい程よい甘さ。しかも数度噛むと溶けて無くなる柔らかさ。
仕入れ、仕事と魚介にこだわる店はいくらでもあるが、そこだけではなくガリや最後の巻物にも気を抜かないお店は、悲しいことに数少ない。そんなところに手を抜かない、粋の詰まった本当の江戸前を「寿司 髙はし」で、ぜひ一度味わってみてほしい。

※価格は税込。

撮影:長尾真志
文:武智新平、食べログマガジン編集部