教えてくれる人
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マッキー牧元
株式会社味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック、スイーツに居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ・テレビ出演。とんかつブームの火付役とも言える「東京とんかつ会議」のメンバー。テレビ、雑誌などでもとんかつ関連の企画に多数出演。
大阪でマッキー牧元さんの心を打った2軒とは?
やまが
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「いらっしゃい」
店に入るとお母さんの元気な声で出迎えられた。
ここは串カツ屋「やまが」である。夫婦で始めて46年、多くの人に愛されている。
大阪の串カツ屋は数多く行った。有名なチェーン店、多数の店がひしめくジャンジャン横丁でもはしごをしたし、ミナミの高級串カツ屋や兵庫・芦屋の「串かつ あーぼん」にも出向いた。
それぞれの店に魅力はあるが、おすすめはこの店である。賑やかなお母さんと寡黙なご主人という取り合わせもいい。だがなんと言っても、創意工夫に富んで、揚げ切りのいい串カツがたまらない。
それでは「やまが」の串カツ劇場といってみよう。
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紫蘇の爽やかな香りが海老の甘さを引き立てる「海老紫蘇」。
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この香りが食欲を刺激しちゃうんだよなあと「レンコンカレー肉詰め」。
「カキフライ」はソースをつけて食べよう。時期最後のカキフライは味が濃かった。
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半生に揚げられた「帆立」は、上にのせられたマヨネーズとトビコというアクセントが良い。
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ふんわりと優しく甘い「キス」は、数の子と抱き合わされて、その食感の違いが互いを持ち上げる。
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「牛肉」は、ビフカツ文化の地域が誇る正当なおいしさである。
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「アスパラ」はシンプルに、頭からガブリといって香りを爆発させよう。
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貝殻に詰めて揚げられているのは「南瓜のグラタン」で、上にのったバターを中に入れて食べりゃ笑いが出る。
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お次はスペシャリテのひとつ「小鯛」。中にインゲンが入っていて、その青い香りと小鯛のほのかな甘みが共鳴する。
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「ホタルイカ」は、熱が加わってグッと深くなったうまみがあり酒が恋しくなる。
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「茄子」にはトマトやチーズがのせられ、さながらトマトピザのよう。こりゃうまい。
続いては「牛肉牛蒡巻き」。つまり八幡巻きを揚げるという寸法だ。ゴボウの土の香りと牛肉が合うんだな。
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「かに爪」に続いて、今の時期ならではの「稚鮎」ときた。小さくとも香りあり。
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椎茸には、エビしんじょうを詰めて揚げてある。エビの優しい甘みと椎茸の香りがいいが、それをつなげるのが上からとろりとかけた甘酢というのが憎い。
お次は「イタヤガイ」で、豆と合わせてある。豆の甘みと貝のミルキーな甘みの調和が美しい。
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そして「ベーコンと蛤」の共演である。一見、合わなそうにも思えるが、これも甘酢の仲立ちで、肉と貝が最高の出会いを見せるのである。
「自然薯海苔」は、すりおろした自然薯をのりで巻いて揚げてある。ホワイトソースのような食感と旨みがあるから驚きである。
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お次は「子持ちこんにゃく 白味噌と青のり」ときた。くたっとしたこんにゃくとコリッとした数の子、白身の甘みと青のりの香り、しかしよく考えた。これは笑うしかない味である。 もちろん何をつけなくともおいしい。
そしてチーズのコクが加わって最強の「牛肉チーズ巻き」。
これだけ食べてもまだまだ20本。残りは一気に紹介しよう。
精妙な火の通しで繊細な甘さを生かした「さいまきエビ」。
ウニの甘みで食べさせる「イカウニソース」。
スナップエンドウの香りとの相性に驚く「牛肉とスナップエンドウ」。
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おろしポン酢で食べさせる味わいがいい「穴子」。
栗のような甘い香りを放つ「タコ」。
辛子醤油で食べさせる、紫蘇で巻いた「魚すり身」。
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そしてデザートは「桜餅」の串カツである。
合計27本。
みじんも飽きさせることなく、楽しい発見が続いていく。これで値段もまた安い。ここに通いたくなる理由わかるでしょ。