〈秘密の自腹寿司〉
高級寿司の価格は3~5万円が当たり前になり、以前にも増してハードルの高いものに。一方で、最近は高級店のカジュアルラインの立ち食い寿司が人気だったり、昔からの町寿司が見直されはじめたりしている。本企画では、食通が行きつけにしている町寿司や普段使いしている立ち食い寿司など、カジュアルな寿司店を紹介してもらう。
教えてくれる人
門上武司
1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会副理事長、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「食べる仕事 門上武司」「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)など。年間外食は1,000食に及ぶ。
遅い昼食にもちょうどいい、15時からの通し営業
阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩約10分。富小路三条を下がったところに、ガラス戸がモダンな寿司店がある。2023年12月にオープンした「鮨 岩田」だ。
店主の岩田晃幸さんは大阪出身で、今年50歳になる。カウンターでの仕事に憧れ、寿司屋を志し、高校卒業後すぐに「築地寿司清」へ。そこで12年修業を重ねる。独立前には「すし田 乾山 京都高島屋店」に6年勤めたという。
自分の店を持つとなったとき、日常使いできる、ふらっと来られる店にしようと考えた。早い時間に飲みたい人にもと開店時間は15時とし、寿司はおまかせ(8貫、6,600円)もあるが、好きなものを好きなだけ食べられるように、アラカルト主体とした。
酢飯の米は京都の5つ星マイスターがいる米店と相談し、「粒立ちがよく、酢ののりも良い」北海道産を使用。酢は、赤酢は少なめに3種類をブレンドしている。「主張し過ぎず、赤身、白身などなんにでも合う酢飯をイメージしています」とのこと。ネタの仕入れは、京都市中央市場だ。
門上さん
自宅マンションにチラシが入っており訪問。オープンしたてで、すがすがしい感じと清潔感が漂っていました。オープンすぐとは思えない安定した味わいでしたね。おまかせだけでなく、好きなネタを単品で選べるのがうれしいです。