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〈2022 食通が惚れた店〉
新型コロナウイルスによる混乱は続くものの、飲食業界も賑わいを取り戻した2022年。油断のできない状況は続きますが、各店が工夫を凝らし、おいしいものを届けようと努力しています。
そんな2022年に、グルメ情報を熟知した有識者が惚れ込んだお店や料理についてアンケートを実施。「最も印象に残った店」「2,000円以下のお手軽グルメ」をうかがいました。
今回は、連載「森脇慶子のココに注目」でおなじみ、フードライターの森脇慶子さんにお答えいただきました。
教えてくれる人
森脇慶子
「dancyu」や女性誌、グルメサイトなどで広く活躍するフードライター。感動の一皿との出合いを求めて、取材はもちろんプライベートでも食べ歩きを欠かさない。特に食指が動く料理はスープ。著書に「東京最高のレストラン(共著)」(ぴあ)、「行列レストランのまかないレシピ」(ぴあ)ほか。
2022年のベストレストラン
Q. 2022年、最も印象に残った飲食店を教えてください
A1. 「明寂」です
「明寂」の店主中村英利さんの“だしに頼らない日本料理”という考え方に深く共鳴しました。その代表的な一皿が、野菜の水煮です。旬の野菜を、水だけで(おそらく)優しく蒸し煮にした一皿で、特に最初の訪問時にいただいた蕪の水煮は、その清廉な味わいに思わずため息が漏れました。見た目のシンプルな美しさに加え、蕪本来の風味がそれ以上でもなくそれ以下でもない絶妙なさじ加減で引き出されていました。見えないところの手間暇を惜しまない。そんなスタンスも、この店が好きな理由です。