〈これが推し麺! 〉
ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。
今回訪れたのは、食べロググルメ著名人・山本憲資さんが教えてくれた青梅市の「Ramen FeeL」。湯河原の繁盛店「飯田商店」の店主が認めた一番弟子が作る、絶品「塩らぁ麺」とは?
教えてくれる人
山本 憲資
Sumally Founder&CEO。1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、自ら起業、現在に至る。スマホ収納サービス『サマリーポケット』が好評。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。
ラーメンとともに青梅という地域にも親しんでほしい
「ラーメンの聖地」とも呼ばれ、全国から客が訪れる神奈川県・湯河原の超人気店「らぁ麺屋 飯田商店」。その名店で修業すること4年4か月、店主の飯田将太氏から初めて独立を認められた唯一の弟子、渡邊大介さんが2021年2月に開いたのが「Ramen FeeL」だ。
「飯田商店」初の公認独立店というだけでも大きく注目される中、「食べログ ラーメン TOKYO 百名店」に選出。業界最高権威とも言われる「TRYラーメン大賞2021-2022」で新人大賞、「ラーメンWalker2023」では新人賞を受賞。31歳の若き渡邊さんは、いわばラーメン界のスーパールーキーと言ってよい。
山本さん
修業先の飯田商店には何度も通っていて、満を持してお弟子さんのお店が開いたというので、駆けつけました。飯田さんの認めたお弟子さんというだけあって、本当に丁寧に作られていて、都心から1時間半くらいかけて来たかいがあったなと思いました。
東京都ではあるが、のどかな風景が広がる青梅市梅郷に位置し、電車で行くならJR青梅線の無人駅・日向和田から歩いて15分、車で行くにしてもなかなかの距離を走ることになり、交通アクセスがよいとは言い難い立地だ。
「ラーメンを食べるだけでなく、周辺の温泉や観光も合わせて楽しむ『飯田商店』のお客様を見てきたので、梅まつりやアウトドアなど、青梅の豊かな自然に親しんでもらえたらと、この地に出店しました」と渡邊さん。青梅にほど近い埼玉県入間市の出身であり、土地勘があることも決め手になった。
アメリカでのドラマー修行から一転、ラーメン修業へ
店名の「Ramen FeeL」には、「食材や生産者、この店に関わってくれた多くの人たちの思いを感じ取り一杯のラーメンに仕上げることで、食べる人にも感じてもらえたら」という願いが込められている。
実はラーメンの世界に入る前は、学生時代から始めたドラムのプロを目指して渡米、5年間はアメリカと日本を行ったり来たり、という生活を送っていた渡邊さん。
「当時テネシー州に住んでいたのですが、日本で当たり前のように食べていたラーメン店はありません。アメリカに滞在したことで、自分がどれほどラーメンを好きだったか、ラーメンの存在の大きさに気付かされ、ラーメン店で働いてみたいと思うようになり帰国、アルバイトから始めました」
お茶の水のつけ麺店、西荻窪の個人店で働き、転機となったのが2015年に開かれたラーメンイベント「大つけ麺博」だ。注目の人気店「飯田商店」のTwitterにあがっていた「ヘルプ募集」に応募、店主である飯田将太氏のすぐそばで働くチャンスを得た。
「厨房に入って、とにかく『飯田商店』の本気度に圧倒されました。イベントであっても普段通り、信念をもって仕事をする姿に感銘を受け、ここでぜひ働きたいと弟子入りを申し出ました」と渡邊さん。飯田氏から「キツいぞ、いいのか」と念押しされたが決心は揺るがず、ひと月後には湯河原に転居した。