〈秘密の自腹寿司〉

高級寿司の価格は3~5万円が当たり前になり、以前にも増してハードルの高いものに。一方で、最近は高級店のカジュアルラインの立ち食い寿司が人気だったり、昔からの町寿司が見直され始めたりしている。本企画では、食通が行きつけにしている町寿司や普段使いしている立ち食い寿司など、カジュアルな寿司店を紹介してもらう。

教えてくれる人

田中知之(FPM)

DJ/プロデューサーとして国内外で活躍。FPM名義で8枚のオリジナルアルバムをリリースする他、多数のアーティストの楽曲プロデュース、100曲以上のRemixも手掛け、東京2020オリンピック開閉会式、パラリンピック開会式では音楽監督を務めた。食通としても知られ、DJツアーで培った全国各地を網羅する情報量の多さから、各界著名人からの信頼も厚い。

銀座8丁目にオープンした新店は、驚きのコストパフォーマンス

ビルの奥に見える小さな看板とドア。いかにも銀座の隠れ家、という佇まい

店の名前は「鮨 のべつ」。2022年5月にオープンしたばかりの新店だ。銀座8丁目、見番通りにあるビルの1Fのドアを開ければ、客席8席のカウンターがお目見えする。

中に入ると、白を基調としたシンプルで落ち着いた空間が広がる

「銀座で江戸前寿司」と聞くと、ある程度の価格帯を覚悟する人がほとんどではないだろうか? しかしこちらの店は決まった価格の「おまかせコース」のみ、その価格なんと13,200円! 

 

田中さん

「鮨 のべつ」との出会いは「銀座8丁目で、つまみから始まるしっかりとした仕入れと仕事の江戸前のコースを、13,200円で出すお寿司屋がある」と誘われ訪れたのがきっかけ。安いだけで内容が伴わないのでは?とか、品数が少ないのでは?と思ってしまいましたが、そんなことはありませんでした。

田中さんの言うように、価格帯から「こんなものかな……」と予想をしていくといい意味で裏切られるはずだ。こちらのお店でいただけるのは、しっかりと丁寧な仕事がされたおつまみと、とてもレベルの高い江戸前寿司なのだから。

コースの構成は、おつまみ8品、握りが10貫に玉子、巻物、味噌汁が付く。握りはその日の仕入れや旬により変わっていくというスタイル。おつまみは季節により変わるものもあり、変化を楽しめる。