【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2022年7月を振り返る

今月は最近開店した新店舗や移転したばかりのお店をまとめました。京都の人気ビリヤニ店が開いたカレーとスパイスの姉妹店。築地で行列を作っていたドイツビールカレーのお店が八丁堀に移転。日本におけるインド料理界のレジェンドシェフが大森で開いた宮廷料理のお店。ミシュランビブグルマンの名店で修業したシェフが西荻窪で独立。十条から錦糸町へ移転した南インド料理の人気店。以上5店舗のご紹介です。様々な場所で、様々なカレーが生まれています。夏バテ防止にもカレーがおすすめですよ!

【第1週のカレーとスパイス】スパイスも購入OK! 京都で話題のビリヤニ専門店が朝カレーのおいしい姉妹店をオープン「スパイスゲート」

京都・烏丸に、以前の連載で紹介したビリヤニ専門店「インディアゲート」というお店があります。東京の催事で出店した際にはその催事の売上記録を更新し、連日大行列で話題となった人気店です。そのインディアゲートが、2022年5月、京都河原町駅近くに「スパイスゲート」という姉妹店をスタートさせました。

こちらはビリヤニではなくカレーのお店であり、スパイスやハーブも購入できるスパイスショップでもあります。何故こういうお店を開いたのかマスターに聞いてみると「インディアゲートでお客さんからスパイスについて質問されることも増えてきまして、これは何のスパイスなのか聞かれて答えることはできても手に入りにくいものだったりすることが多かったんです。まだ京都はスパイスが東京や大阪に比べると手に入りにくい。なら自分でスパイスのお店をやってみようかなと思ったのが一つ。それと、朝にカレーを食べられるお店があったら良いなと思っていたので、ならばそれも一緒にやってみようということでこのような形になりました」と語ってくれました。

こちらのお店は2022年7月現在、朝と昼の営業なのです。そして朝カレーにこだわっているだけあって、朝と昼でメニューが変わります。昼は通常のカレー。と言ってもご飯がお茶と一緒に炊いたプラオ的なものだったりするあたりがビリヤニ専門店の姉妹店ということを感じさせて楽しいです。

「京都京北産の鹿モモカツカレー」

いくつかあるカレーメニューの中から「京都京北産の鹿モモカツカレー」1,800円をいただきました。鹿のカツはみずみずしく力強いおいしさ。鹿はクセも少なく食べやすいのですが、程よい火入れで肉自体の味を堪能できる仕上がり。ラズベリーソースもかかっていてフルーティです。

カレーもシンプルにカツを楽しむための引き算的スパイスカレー。副菜も彩りよく、合わせて食べると食感に変化が出て楽しいです。鹿肉は京北産、お茶は祇園のお店の煎茶を使用しているということで地元を少しでも盛り上げようという意志も感じられて素晴らしいですね。

「チャイチーズケーキ」と「コールドブリューコーヒー」

食後に「チャイチーズケーキ」600円と「コールドブリューコーヒー」300円もいただきました。ランチとのセットだとドリンクとケーキのセットで700円となってお得です。スイーツはこちらのお店のスタッフにパティシエがいるということで、その方のお手製。濃厚なチャイの風味に、土台に隠し味的に使われたブラックペッパーがとても良いです。

大満足だったのですが、マスターが「本当は朝のカレーを食べてほしかったのでまた是非いらしてください」と。ならば行きましょう! 翌日の朝に早速行ってきました。

「鶏キーマと魚介出汁のカレー」

朝は京風スパイス朝定食と銘打った2種類のメニュー。「鶏キーマと魚介出汁のカレー」1,200円は、ドライな鶏ひき肉のキーマに様々な副菜が薬味のよう。あおさのりも添えられ、魚介出汁のスープ状のカレーをかけて食べればまるでお茶漬けのような感覚です。ご飯にお茶も入っているのでお茶漬け感がさらに強まります。

「サバとみょうがの冷やし出汁カレー」

もう一つの朝メニューである「サバとみょうがの冷やし出汁カレー」1,300円は非常にさっぱりとしつつも鯖のうま味がしっかりと出た冷やしカレー。これも実においしくてスルスルと胃の中に入ってきます。

どちらも食べている時の感覚としては和食なんです。しかし食べ終わった後の満足感は完全にカレー。スパイスの力によって身体が活性化するような気持ちにもなり、最高の朝食です。これは京都のみならず、朝カレーとしては全国的に見ても非常に理想的なものなのではないでしょうか。

お土産にスパイスとハーブも購入。スパイス、ハーブ、豆などを合わせると全部で100種類くらいあるという品揃え。なかなか手に入りにくいスパイスもしっかりと置いてあり、自分でスパイス料理をする方にもうれしいです。

おいしくカレーを食べて、スパイスを購入して自分でも作っていく。京都のスパイス文化を引っ張っていくお店となりそうですよ!

【第2週のカレーとスパイス】絶妙な味の決め手はドイツビール! 八丁堀でしか食べられない唯一無二のカレー「ピラミッド」

様々な国のカレーを食べることができ、独創的なカレーもあり、毎日カレーを食べてもまだまだ食べたいカレーがあり、しかもそのレベルが高い街・東京。世界的に見てもここまで多種多様なカレーに恵まれた街はなかなか無いと感じているのですが、その東京の中においても特に個性的なカレーを今週はご紹介しましょう。ドイツビールを使ったカレーを出すお店。築地から今年の春に八丁堀へ移転した「ピラミッド」です。僕はここのカレーを食べるといつも「唯一無二」という言葉が頭に浮かびます。

昼はカレー、夜はカレー以外にもドイツ料理を中心とした様々な料理をいただけます。まずは前菜盛り合わせを。通常1,300円なのですが「おひとりさま用の小さいサイズですと3割引になりますがいかがですか?」と。一人だったので小さめでお願いしました。

「前菜盛り合わせ」

しかし出てきた前菜盛り合わせ、決して小さくないのです。ザワークラウトやタコのペペロンチーニ、レバーペーストなど6種類も色々とのって910円はお得すぎます。夜に行ったら確実に楽しみたいメニューですね。

そしてカレー。「国産無塩せきソーセージのカレー」1,250円に「キーマカレーハーフ」50円と「目玉焼」150円をトッピング、ご飯は半分でお願いしました。

国産無塩せきソーセージのカレー」

キーマカレーハーフと言ってもあいがけというわけでは無く、ベースのオリジナルカレーに激辛キーマが半分混ざるという形も個性的。ベースのカレーはドイツビールを使用し、ほろ苦さがおいしさにつながった独特のカレーであり、生クリームをたっぷりと使っているのも面白いです。これだけでももちろんおいしいのですが、激辛なキーマが混ざることによってオリジナルカレー自体の味の輪郭がはっきりとして、おいしさが跳ね上がります。

キーマはハーフでも激辛の範疇。辛いのが苦手な方は4分の1くらいから始めると良いかもしれません。それでも心配な方は自家製ラッシーもおすすめ。今回は「アップルラッシー」600円にしましたが爽やかで自然な甘味が料理にも合います。

「アップルラッシー」

キーマの辛さをやわらげる目玉焼と、その下に隠れているマッシュポテトがまた良い脇役。ソーセージもドイツ料理のお店だけあってクオリティが高く、このカレーとの相性も完璧。ランチタイムは夜よりお得な価格になるので、カレーだけ楽しみたい方はランチでも良いかもしれませんが、それだけではもったいないくらいに色々なものがおいしく、幅広い楽しさがあるお店です。

食べてまた「唯一無二」という言葉が浮かびました。こちらのシェフはドイツ料理やイタリア料理など西洋料理の修業を積んだ方なのですが、シェフにお話を聞いてみると「西洋料理は色々と学んできましたが、カレー作りの修業経験は無いんです。カレーの食べ歩きもしたんですが、参考にするのではなく真似しないよう排除する努力をしていました」と語ってくれて、腑に落ちました。だからこその唯一無二なのだと。他にない味でありながら、これは何かと問われれば「カレー」としか答えられないような絶妙の仕上がり。素晴らしい!

築地の店舗は老朽化した為に八丁堀へ移転したピラミッド。店舗も広く綺麗になり、地下にあった以前よりも入りやすい明るい雰囲気となりました。ドイツにはカリーブルストという料理があるくらいにカレーが食文化と融合している国ですが、ピラミッドのカレーはドイツには無く、八丁堀じゃないと食べることができません。

そもそもドイツ料理なのに何故ピラミッドなのか? それもシェフに聞いてみるとなるほどと納得できる答えだったのですが、それは是非こちらに通ってシェフと仲良くなってから実際に聞いてみてください。謎があったほうが楽しいですし、通い甲斐のあるお店ですから。

※価格はすべて税込