〈大木淳夫の新店アドレス〉

6月は東京都で1,000軒以上のお店が「食べログ」に新たに掲載されました。どのお店にもがんばってもらいたいですが、ここではグルメ情報に鋭敏な皆様に注目して欲しいお店を、ピックアップしてご紹介します!

教えてくれる人

大木淳夫

「東京最高のレストラン」編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。 
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2022」が発売中。

6月オープン! 心を惹かれた新店

phili204
「鮨 美幸」中トロ   出典:phili204さん

まずは新富町の「鮨 美幸」。「The Tabelog Award」Silver受賞店「鮨はしもと」の二番手だった紺野隆さんが、移転前のはしもとがあった場所に6/2に開店して早くも大人気です。旧店舗を手放さず、そこで弟子が活躍というのは銀座「青空(はるたか)」さんの「こはる」、渋谷「くろ崎」さんの「仲野」、阿佐ヶ谷「鮨 なんば」さんの「鮨 しゅん輔」など、結構ありますが、やはり安心感がありますよね。

「鮨 日進月歩」名物 トロいなり
「鮨 日進月歩」名物 トロいなり   写真:お店から

一方で、特定の日だけ店名を変更して弟子にまかせる、というパターンもあります。それが6/5オープンの恵比寿「鮨 日進月歩」。人気店「鮨くりや川」が、日・月曜日のみ名前を変えて握りのおまかせコースを提供します。店長は証券会社を経て寿司職人になったという、異色の経歴を持つ38歳の萱沼俊一さん。昼9,350円~、夜14,300円です。

疾走を続ける奥野シェフと米澤シェフ

「ACiD brianza」
「ACiD brianza」   写真:お店から

洋系で最大の注目は6/25にオープンの「ACiD brianza(アシッド ブリアンツァ)」でしょう。ブリアンツァグループを率いる奥野義幸さんの原点である、麻布十番のイタリアン「VIA Brianza(ヴィア ブリアンツァ)」が、イノヴェーティブなフレンチの料理店に生まれ変わりました。シェフは31歳の児玉智也さん。昨年「テリヤキラボ」でポップアップレストランを開催するや、フランスやデンマークで学んだテクニックとセンスの良さで、東京のグルマンたちをざわつかせた期待の俊英です。

奥野さんはこのお店で星を目指しながら、僕も学びたいと語っていましたが、先日別件で連絡をしたところ、本当に厨房で仕込みを手伝っていてびっくり。恐るべしです。早速予約しました。

Chillmatic(チルマティック)」Chillmatic バーガー(パティとパストラミ/1,800円)、フレンチフライ(300円) 撮影:小田中雅子

奥野さん同様、東京のレストランシーンで今最も目が離せないキーパーソンのひとり、米澤文雄さんの株式会社No Codeも、6/9に新店オープンです。渋谷と恵比寿の間、かつて東横線が走っていた場所である渋谷ブリッジのMUSTARD HOTEL1階の、スタイリッシュなバーガー&ビストロ「Chillmatic(チルマティック)」。シェフは米澤さんのもとで修業した塩田大治さん。ランチで熟成肉バーガー(1,100円)をいただきましたが、肉のおいしさを味わってもらいたいと、生野菜もソースもない潔さ。夜のメニューには魅力的なビストロ料理が並んでいて、これはまた来なくてはと。こちらの少し先、同じく渋谷ブリッジに6/18に誕生した、株式会社iiが運営するホットドッグ専門店「BABY HOTDOG CAFE」のソルトドッグも必食の旨さです。

ちなみに米澤シェフは7/4に西麻布にカウンター8席のお店をオープンするそうです。その名も「No Code」。楽しみですね。