恵比寿・代官山に隣接する渋谷東“ヒガシブ”から発信!

ニューヨークのミシュラン星獲得レストランで日本人初のスーシェフを務め、豪快な熟成肉のグリル料理が人気の「ザ・バーン」元料理長、米澤文雄氏。その米澤氏と組み、パストラミサンドと熟成肉バーガー専門店「ザ・グッドバイブス」で活躍した塩田大治シェフが、新たにハンバーガービストロ「Chillmatic(チルマティック)」を渋谷にオープンした。

熟成肉の魅力を知り尽くした2人のシェフが仕掛ける新店舗は、ハンバーガープラスアルファの楽しみがある店。さっそく紹介していこう。

渋谷駅から徒歩10分。恵比寿と渋谷の中間で、代官山駅からも徒歩圏というエリアに立つ「渋谷ブリッジ」内に店がある。東横線渋谷~代官山駅間が地下化され、その跡地に新スポットが誕生。渋谷東、ヒガシブとしてこれから新たなカルチャーの発信地となりそうだ。

席数はカウンター席やテーブル席を合わせて約40席ほど

以前、ホテルの朝食などを提供していたカフェ・バーを居抜きで使用。白いタイル、黒いウインドウフレームなどがシンプルでモダン。奥にはDJブースやズラリとレコードジャケットが飾られた棚があり、まるでブルックリンにあるカフェのよう。窓も大きく、明るい日差しが楽しめる店になりそうだ。

90日以上熟成させた牛肉と1週間かけて仕込むパストラミ

塩田シェフの父もフレンチシェフ。父からも本格的なフレンチを学んだ

塩田大治シェフは、フランス料理店やビストロなどで料理人のキャリアをスタート。同じ浅草出身で先輩と後輩に当たる米澤氏の下で青山「ザ・バーン」の立ち上げや、氏が監修するバーガーショップ「 ザ・グッドバイブス 」で活躍。新しくオープンした「チルマティック」を米澤氏から全面的に任され、さらなる活躍が期待される。

熟成肉パティとパストラミをベースにアボカドやチーズなどを合わせたバーガーも登場

同店は、ホテルの宿泊者用の朝食も提供するため、営業は朝からスタート。朝はフレンチトーストをメインにし、ランチには評判の熟成肉バーガーやパストラミサンドを堪能。ディナーには、バーガーと共に塩田シェフならではのフレンチの技をふるったアラカルトで一杯。一日のさまざまなシーンで使えるオールデイダイニングになりそうだ。

スペシャリテは、90日以上かけて熟成させた牛肉のパティや、1週間以上かけて仕込むパストラミを使ったハンバーガー。このほか、約9種類のバーガーメニューを予定している。自家製フレンチフライなどのサイドディッシュや、トッピングなども用意されており、その日の気分に合わせて、メニューを選べそうだ。

グリルでジュワッと音を立てて焼かれるパティ。立ちのぼるこんがりとした香りがたまらない

パティに使用するのは新潟県産の熟成肉。「ザ・バーン」でも使われている素材で、クオリティの高さは折り紙付きだ。この肉をゴロゴロと大きめに手切りし、繋ぎなし牛肉100%の超粗挽きのパティにしている。

燻製した後、さらに香りを落ち着かせるために1日冷蔵庫で休ませるのだそう

店の看板とも言うべきパストラミ。牛バラ肉をじっくりと4日間、塩に漬け込んだ後、低温で10時間、柔らかくなるまで加熱。トロットロに柔らかくなった肉を一度冷蔵庫で寝かせて引き締めた後、クミンやコリアンダー、ブラックペッパーなど5種類のスパイスをまぶし、スモークする。手間も時間もじっくりとかけて仕込んだパストラミは、どこにもない絶品の味わいだ。

絶妙なバランスで肉の旨みを堪能する大人のハンバーガー

ご紹介するのは、熟成肉パティとパストラミの両方を挟んだ、贅沢な「Chillmatic バーガー」。

「Chillmatic バーガー(パティとパストラミ)」 1,800円(税込)。フレンチフライはオプションで300円

できあがりを楽しみにテーブルで待っていると、現れたのはふんわりしたバンズに分厚いパストラミと熟成肉のパティが挟まれただけのシンプルなバーガー。レタスやトマトといった野菜類は一切挟まれていないという潔さ。

「野菜の水分で肉の味がボケてしまわないように、肉のみとしました。フランス料理のように素材の味をしっかり感じてもらえればと思います」と語る塩田シェフ。余分なものは一切挟まない、直球勝負のバーガーに素材への自信がうかがえる。

上がパストラミ、下が熟成肉のパティ。どちらもボリューム満点

熱々のバーガーから立ちのぼる、芳ばしくスモーキーな肉の香りと、バンズのこんがりとしたバターの甘い匂いが食欲をそそる。ガブリとかぶりつくと、熟成肉のパティはジュワッと、パストラミはホロッと、そしてバンズはカリッと。それぞれの食感のコントラストがたまらない。

肉の塊がゴロッとした超粗挽きのパティは、まるでステーキを食べているかのようで、肉々しい味わいが口いっぱいに広がる。しみじみ肉がうまい!と感嘆してしまう。

パストラミはホロッと崩れるような柔らかさ。パティのジューシーさ、パストラミの濃厚な旨みとスモーキーな香りとのハーモニーがすばらしい。どちらの塩味も控えめで、素材の味わいをダイレクトに感じさせてくれる。

この2つの肉の味わいを引き立てるのが、自家製マスタードソース。キリッとした辛みのイエローマスタードに三温糖やアップルビネガーなどを合わせてソースにしている。辛さは抑えめで、爽やかな甘酸っぱさが後口をさっぱりとしてくれ、いくらでも肉にカブリつけそうだ。

ナイフとフォークが用意されているが、ペーパーで包んでかぶりついてもOKだ

焦げる手前までしっかりと焼かれたバンズは、ブリオッシュタイプのもの。外はサクッと、中はふんわりと柔らかいバンズは、バター風味たっぷりなリッチなテイストでジューシーで分厚い肉に良く似合う。

バンズ、挟む具材、ソースすべてが計算された極上のバランスが、シンプルなバーガーを絶品にしている。

厚めにカットされたフレンチフライは食べ応え充分

サイドディッシュには自家製フレンチフライがおすすめ。北海道産メークインを、水分を飛ばしながら揚げたフライは、外側がカリッとしつつ、中はトロリと柔らかく芋の甘みと香りが凝縮されたフレンチフライになっている。