世界的パティシエが信頼する名シェフの店が広島に登場

シェフのイニシャルをシンボリックに表したロゴが目印

ハイセンスな住宅が立ち並ぶ広島市安佐南区の都市拠点・西風新都(せいふうしんと)近くに、2021年11月、一軒のベーカリーが誕生。オーナーシェフを務めるのは、多数のベーカリーコンテストで受賞経験のある中西智彦さんだ。その実力は業界の天才たちも認めるほどで、世界的パティシエ・辻口博啓さん率いる三重県の人気ベーカリー「マリアージュ ドゥ ファリーヌ」の統括責任者を10年以上にわたって任されてきた。

自身初の挑戦となる二拠点生活に込められた思い

開店の経緯を話してくれた中西智彦オーナーシェフ

週の半分は三重県で統括責任者として、もう半分は広島県で自身の店を経営するという中西さん。「マリアージュ ドゥ ファリーヌ」を長きにわたって支える中で、後進に道を譲っていきたいという思い、自身の店を持ちたいという気持ちが高まり、「Boulangerie N.」を開業するに至った。「広島県は妻の実家がある場所。妻の両親や親戚など一族にパン職人が多い環境で、自分の店を営みたいと思いました」と中西さんは話す。

パンで幸せを届けたい。高品質のパンを手頃な価格で

常時約30種類のパンが揃う(一部季節で変わるものもあり)

するりと枝を伸ばす木が印象的な店内には、総菜パンやスイーツパン、ハード系のパンなどが並ぶ。そのすべてを中西さん一人が手がけている。「朝8時が開店なので、その時にほとんどが揃っている状態でお客様をお迎えしたいと思っています」と中西さん。「おいしいパンで毎日に幸せを届ける」という店のコンセプト通り、店頭に並ぶパンは100円台~200円台で、手頃な価格帯であることもうれしいポイントだ。

産地の違う小麦粉を配合したオリジナルブレンドの粉がおいしさのカギ

分量はもちろん、発酵時間や焼き時間も細かく調整している

おいしさの秘密は「N粉」と呼ばれるオリジナルの小麦粉。三重県産のものを2種類、北海道産のものを2種類ずつブレンドし、小麦の皮まで細かく粉砕して加えている。小麦の香り、甘みがぎゅっと詰まった粉は香ばしさもあり、風味豊かなパンを作るベースになっている。パンの種類によって、ほかの小麦粉を加えたり水分量を調節したりして、出したい味や食感を表現。特に人気のパンをいくつか教えてもらった。

必ず食べてほしい、シェフがおすすめする3品

クロワッサン&フランス産バターのクロワッサン

「クロワッサン」210円(写真左)と「フランス産バターのクロワッサン」290円(写真右)

おすすめは、伝統的な製法で作る「クロワッサン」。N粉をベースにした国産小麦粉を使い、バターを何層にも織り込むことで、サクッとした口当たりを生んでいる。さらに中西さんが「僕のスペシャリテ」と呼ぶ「フランス産バターのクロワッサン」も見逃せない。こちらはより濃厚な乳香漂う仕上がりで、外側のザクッとした歯ざわりと、中のむっちりとした伸びの良い生地の対比が鮮やか。何個でも食べたくなる逸品だ。

牛乳食パン

「牛乳食パン」1斤270円、1本540円

日々の食事におすすめしたいのが、地元「サゴタニ牧農」のパスチャライズド牛乳を使用した「牛乳食パン」。希少な小麦粉キタノカオリを100%使用した、ふんわりと柔らかな食感が特徴だ。ほんのりとした甘みは、角谷文治郎商店の「三河みりん」によるもの。自然栽培の原料を用いて、昔ながらの蔵で長期醸造・熟成したみりんはまろやかで上品な味わい。パンに和の食味を加えることで、ご飯のように毎日食べたい味を生んでいる。

カヌレ

「カヌレ」210円

店内にはパンだけでなく焼き菓子も並び、フランスの伝統菓子「カヌレ」はベーカリーのクオリティとは思えない本格派。中西さんが師と仰ぐ、フランスで修行経験のあるシェフから直伝されたレシピで作っているそうで、外はカリッと、中はモチッの食感が絶妙。ほのかに香るラム酒が“大人のスイーツ”な雰囲気も漂わせるカヌレは、カフェオレや紅茶と一緒に味わいたい。

目移り必至のラインアップにワクワクが止まらない!

確実にゲットしたいなら朝一番の来店を

そのほかにも、旬のフルーツやクリームをトッピングしたデニッシュ、長時間発酵のトラディションやライ麦入りルヴァンといったハード系、フォカッチャ、チャバッタ、ブリオッシュなど、思わず目移りしてしまうラインアップ。牛肉の旨味が凝縮されたルーが詰まった「松阪牛入りカレーパン」(240円)も人気だ。