大規模な再開発にともない、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう! というこの連載。

[新]編20回目となる今回は、渋谷内でもずば抜けてお洒落なホテルとして人気の「TRUNK(HOTEL)」に併設する串焼屋「TRUNK(KUSHI)」(トランク クシ)をご案内します。

【大人の渋谷メシ・新編】第20回「TRUNK(KUSHI)」

2017年にオープンし、たちまち渋谷で話題のスポットとなった「TRUNK(HOTEL)」。そのエントランス手前に併設されているのが、気軽に串焼きを楽しめる「TRUNK(KUSHI)」。ラグジュアリーなホテルの串焼屋さんとなるとハードルが高そうですが、実はお手頃な値段で串のコースをいただけます。

小鉢4品、串8本、〆のご飯とスープに、ビール・ワイン・日本酒・焼酎など70分の飲み放題まで付いたコース「神宮」はなんと5,900円。これなら普段使いも全然あり! ということで、コース全品を一挙ご紹介。

まずは前菜の小鉢から。

長芋わさび醤油
もつ煮、鶏せせりポン酢

さっぱりおいしい長芋わさび醤油は串焼きの箸休め(串休め?)としてぴったりなので、食べ切らずに残しておきましょう。

クリアなスープのもつ煮は、豚のモツを鶏だしで煮ているというダブルの旨みが特徴で、噛むとモツの甘味が口いっぱいに広がる一品。

親子焼

さらにちょっとした仕掛けが面白いのが親子焼き。和風オムレツ風の卵焼きの中に入っているのは鶏のレバー。卵のふんわりした食感とレバーのやわらかさがマッチした、今までなかった親子のコンビネーションがめちゃめちゃおいしい。コースだけあって、串以外の料理も少しずつ楽しめるのもうれしいところです。

そしてメインの串焼き。

つくね2本

まず最初に出てくるのがこちらの名物でもあるつくね。

小ぶりのつくねはふんわりと軽く、スナック感覚で食べられます。 アラカルトメニューには、ツクテンというつくね10本セットがありますが、確かに10本くらいはぺろっといけちゃいそう。

塩とタレ、まずは2本のつくねから入っていくというコースの流れもいいので、この後の展開が俄然楽しみになります。

ハツ元

ハツ元は鶏の動脈と静脈の血管の部分で、脂身もあり旨みたっぷり。ハツというとコリッと硬めの印象がありますが、ハツ元はやわらかくとてもジューシーなのが魅力です。

鶏レバ

お店の一押し、鶏レバ。レバー好きの人はもちろん、レバーが苦手なお客さんからも「このお店のレバーなら食べられる!」と言われるそうです。

見るからにプリップリな食感が伝わってくる鶏レバ。

鶏はすべて大山どりを使用していますが、こだわっているのはブランドよりも鮮度。その日の朝に捌いた新鮮な鶏だけを使っているので、臭みはまったく無く、レアな焼き加減がレバーの旨みをしっかり引き出しています。

牛タン

コースでしか出てこない牛タン。新鮮な卵の黄身とたっぷりの青ねぎに付けていただきます。これには冷の日本酒がぴったり!

多満自慢 淡麗 吟醸

TRUNK(HOTEL)は地域との結びつきをコンセプトのひとつにしていて、ホテルのアメニティもできるだけ渋谷や東京のメーカーのものを使うなど、地元にしっかり根ざした運営をしていますが、こちらのTRUNK(KUSHI)もコンセプトは一緒。

日本酒は東京の酒蔵である石川酒造の「多満自慢(たまじまん)淡麗 吟醸」。 爽やかでキレのある味わいで、濃厚な串焼きのタレ味をさっと流して舌をリセットしてくれるので、次の串がまたおいしく感じるという、串焼きとの相性抜群のお酒です。

豚上テッポウ

テッポウは豚の直腸。豚一頭からわずかしか取れない貴重な部位なので、アラカルトでも数量限定で提供。噛むほどに脂肪の旨みが溢れ出てくるので、これには燗のお酒を合わせます。

澤乃井 純米 大辛口

燗酒はこちらも東京の酒造、小澤酒造の「澤乃井 純米 大辛口」。

飲み放題コースでもしっかりおいしいお酒をいただけるというのが、酒飲みとしては実にうれしい。これからの季節、串焼きと燗酒なんて最高すぎる組み合わせです。

鶏ネギ

最後の一本は鶏ネギ。つくね2種に始まって、最後はシンプルな塩味の鶏ネギという流れがやっぱり良い。ぷりっぷりの食感の鶏肉に鮮度の良さを感じます。

ネギ飯&鶏ネギスープ

そして〆は、こちらもシンプルに塩で味付けしているという、卵チャーハンにネギがかかったネギ飯と鶏のスープ。

最後までお酒のツマミになるようにと、塩味強めのネギ飯は、たしかにこれをアテにお酒も楽しめそう。濃厚ながらもあっさりした鶏のスープは、お行儀悪くご飯にかけてスープご飯にするのもアリ。味変も楽しめる組み合わせです。

鶏・豚・牛、それぞれのおいしさをしっかり堪能できる大満足の串コース「神宮」この内容で5,900円は渋谷でも破格。

ホテルだからとかしこまらずに、気軽に利用したいお店です。そしてコースをすっかり楽しんだ後ですが、実はさらなるお楽しみがあるのです。

それは、おみや! そう、お土産です。テイクアウトできるお弁当が実に「映える」名品なのです。

「牛若飯」1,000円

焼肉の下にもやしが敷かれていて、タレが染みたご飯との相性ばっちり。2種類のネギのアクセントも利いています。

「弁鶏飯」1,000円

そして、ご飯の上にびっしりと串焼きが敷き詰められた弁鶏飯。どうです、このルックス!

コースでお腹いっぱいでも、見るだけでテンションが上がるお弁当。こんなお土産を持って帰ったら、どんなに酔っ払っていても、おうちでヒーローになれそうです。

「焼鶏丼」1,000円

さらにこちらはお昼限定の丼。大ぶりの鶏肉に濃いめのタレがしっかりかかって実においしそう。自分用はもちろん、差し入れとして持っていっても絶対喜ばれるでしょう。

夜の飲み放題付きのコースはもちろん、テイクアウトやランチの利用も可能な、渋谷の隠れ家と言えるお店です。

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年11月4日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:小宮山雄飛

撮影:GENIUS AT WORK