【映画のあの味が食べたい】

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のフードトラックのキューバサンドイッチは人生の味!

料理人を主役にした映画は人気のジャンルなのだけれど、この『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』ほど、食欲をそそる作品にはめったにお目にかかれない。

© 2014 Sous Chef, LLC. All Rights Reserved.

主人公はLAの高級レストランのシェフ、カール・キャスパー。バツイチで、夫としても父としても“失格”だが、料理に対する情熱だけは誰にも負けないし、部下たちからの信頼も厚い。だが、彼の料理を酷評した料理評論家との大バトルがSNSにアップされ大炎上し、仕事も名誉も失い、人生のどん底につい落とされてしまう。

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そんな時、キューバ系の元妻の父親たちと訪れたマイアミのレストランで食べたキューバ・サンドイッチに魅せられ、ひらめいた。

 

「そうだ!このソウルフードをフードトラックで売り歩こう!」

 

フードトラックとは、キッチンを備え付けた小型トラックの移動型売店。レストランなどを開業するより、低資金で始められるし、どこにでも移動できるという気軽さもある。レストラン時代の右腕でラテン系のマーティンも助っ人に駆けつけ、10歳の息子パーシーも助手として加わった。

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そんな3人がマイアミから、ニューオリンズ、テキサスのオースティン、LAとフードトラックで旅をする。屈指のジャズの街、ニューオリンズ、ライヴミュージックの聖地オースティンを回るあたりが、なかなか心にくいのだが、ノリノリのラテンミュージックが食欲を増進させることは間違いない。

 

デジタルネイティブのパーシーのツイートにより、行く先々でフードトラックの前には長蛇の列ができるのだが、実際に、並んででも食べたい!と思わせるほど美味しそうなラテン系の伝統的なメニューがズラリ。

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アロス・コンポジョ(炊き込みご飯)、ポボーイ(ナマズのフライなどを挟んだサンドイッチ)、スライダー(スライダーロールというバンズを使うサンドイッチ)、ベニエ(ドーナツ)などなど。

 

なかでも、メディアノーチェ・サンドイッチだ。メディアノーチェとは、スペイン語でミッドナイト(真夜中)の意味。“真夜中に食べる”ためにそう呼ばれるようになったそうだが、なぜ、このサンドイッチが真夜中に最適なのかは謎。

 

さて、このサンドイッチの作り方は、映画中でも詳細に出てくる。

 

パンは30㎝くらいの縦長のロールパン。これを厚さ半分に切って、切り口の面を鉄板で焼く。マスタードを塗って、それぞれにローストポークの薄切り2枚とハム2枚、スイスチーズのスライス2枚、ピクルスの薄切りを2枚のせる。これを合わせてサンドイッチにし、パンの表面にやわらかくしたバターを塗り、鉄板に押し付けて両面をこんがりキツネ色に焼いたら出来上がり。

 

とろっと溶けたチーズとじっくり焼いたローストポークのコンビネーションが、まさにエンピンガーオ(絶品)! 幸せになれる味です!

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ちなみに、主演、監督、製作を手がけているジョン・ファヴローは、のんきなおじさんに見えますが、実は『アイアンマン』(08年)など大作でも大成功しているハリウッドの大物監督でありプロデューサー。こんな小さなハートフル映画にもかかわらず、スカーレット・ヨハンソンやロバート・ダウニー・Jr.、ダスティン・ホフマンなど大物俳優が脇役で“友情出演”しているのもそのおかげ。

 

映画中では、辛口評論家に「お前は、ただ食べて悪口を言っているだけ。ものすごく傷つく。こっちは本気で料理を作っているんだ! スタッフだって一生懸命なんだ!」ってブチ切れるセリフは、まさに普段から辛口批評に心を痛めている映画制作者のホンネでしょう。

 

さて、うんちくをたれる評論家も一口で思わず笑顔になってしまう、キューバスタイルのサンドイッチが食べられるのが、「Cafe Habana TOKYO」。陽気なラテンミュージックをBGMに食べるキューバ・サンドイッチは、落ち込んだ人生を救ってくれる魔法のソウルフードかも!

出典:小マリアさん
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【作品紹介】

ロサンゼルスにある一流レストランの総料理長カール・キャスパーは、オーナーと対立してしまい、店を辞めることになる。次の仕事を探していた時にマイアミに向かったカールは、絶品のキューバサンドイッチと出逢った。すっかりその美味しさの虜となり、人々に喜んでもらうために移動販売を始めることになる。譲り受けたボロボロのフードトラックを改装し、マイアミからニュー・オリンズ、オースティン、ロサンゼルスまで究極のキューバサンドイッチを作り、売る旅が始まった。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』発売中 Blu-ray ¥1,800(税抜) / DVD ¥1,280(税抜)

発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント