「おいしい」を追い求め、これからも進化し続ける

素材のよさをいかしたシンプルな料理でありながら、イタリアンとしての風格を感じさせる。

山田さんが紡ぐコースは、これまで手掛けてきた人気の逸品が登場する面と、新たな発想を取り入れた料理を堪能できる面が共存している。しかも、その料理を山田さん自らゲストに解説しながら振る舞うのだから、これほどの贅沢はない。

また同店では、シェフを招いたコラボイベントも開催しており、和食や中華の料理人なども招き、共同で料理をつくり提供することもある。

先日は、「とんかつ 成蔵」の三谷シェフとのコラボイベントを実施しているのだが、実はサワラにクワイの衣をまとわせた魚料理は、「とんかつ 成蔵」で使われているものと同じラードで揚げている。パリッと香り高く仕上がるのは、このラードの力も大きいのだとか。

ベテランの域にありながら、よいものを常に吸収し続ける姿勢に頭が下がる思いだ。

シェフとの会話も楽しいカウンター席。

山田さんは「ぜひ、くいしんぼうの方にご来店いただきたい」と話す。おいしいとは何なのかといった会話をしたり、ゲストの話を聞いたりしながら自分自身も勉強していきたいというのだ。

「おいしいものを食べるって、こんなにもワクワクするのかと感じていただきたい。小さな店ですし、サービスが行き届かないこともあるかもしれません。三ツ星レストランのように完璧ではないけれども、純粋に胸が躍るような時間をご提供できるように力を尽くしています」

トップシェフの技とその真髄を、心ゆくまで堪能してほしい。

テーブル席2つのほか、6名まで利用できる個室もある。大理石の床に、実はコンクリートでつくられた古木風の梁など、リアルとフェイクを織り交ぜた内装もおもしろい。

※価格はすべて税抜

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2020年12月15日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:梶野佐智子(grooo)
撮影:松村宇洋