食材から技法まで、世界中からいいところを凝縮させた東京系北欧レストラン
2015年10月の開業後、瞬く間に高評価を獲得した北欧系フレンチ「スブリム」。その仕掛人であるオーナーソムリエ、山田栄一さんが2017年8月、2店舗目となる「COFUKU(コフク)」をオープンした。山田氏は、きっかけをこう語る。
「シェフの赤木渉さんとの出会いは、彼が『スブリム』に食事に来たことがきっかけでした。とても才能のある人物だと感じ、COFUKUを彼に任せてみようと思ったのです」
場所は「スブリム」が創業した、新橋のマンションの地下。「スブリム」が規模拡大のために東麻布へ移転した折に、跡地を利用してオープンしたのが「COFUKU」だ。
「赤木シェフはフレンチ、北欧、モダンスパニッシュと、幅広いジャンルの素養をもつ方。マンダリンオリエンタル東京『タパス モラキュラーバー』などの都内有名店を経て渡欧し、フランスの『ル・プティ・ニース』、ノルウェーの『マーエモ』、デンマークの『アマス』『カドー』で修業した経験を生かした、イノベーティブな料理で勝負します」(山田氏)
月替わりのコースは10〜12品前後(¥10,000/税サ別)。たとえば8月のコースの前半に登場する一品は、北海道産の帆立のタルタルにディルのマヨネーズ、山ワサビとバターミルクの冷たいパウダーを添え、塩をふって軟らかくした薄切りのコールラビで覆ったもの。
フランス、スペイン、北欧、日本をミックスした独自の料理
「メインの素材を隠すような盛りつけ方は、北欧からの影響です。タルタルはフレンチの料理法で、液体窒素を使うのはモダンスパニッシュの技法です」(赤木シェフ)
メイン料理は、低温で真空調理した和牛ランプ肉に、焼き汁を煮詰めたソースと、不断草(スイスチャード)を添えたもの。不断草は「炒めたもの」「乾燥させたもの」「発酵させてから乾燥させてパウダーにしたもの」と、異なる調理法を取り入れながら、素材の味わいがシンプルに生かされている。
「『COFUKU』の料理の特長は、各地の生産者を訪ねて見つけた食材の良さを生かすため、型にとらわれず、素材感を出すことを第一に考えていることです。ですから時には和食の出汁を使用することもあります」と、山田氏。
店名の「COFUKU」は、腹鼓を打ち世の中が平和で幸せなことを意味する故事「鼓腹撃壌」にちなんで付けられたそう。店内に漂う温かなムードもどこか北欧的なこちらのお店は、ここ数年のグルメトレンドが詰まった注目のニューフェイス。是非とも予約が取りにくくなる前に足をお運びあれ。
取材・文:小松めぐみ
撮影:小野広幸