〈福岡のソウルフード〉

安くてウマい! 福岡のソウルフードを、地元グルメライターとともに紹介していくこの連載。今回は、独自のスタイルでソウルフードとして定着した「天ぷら」。福岡県民の胃袋を掴んで離さない、そんな数ある名店の中から、コスパ抜群、変わりダネも人気の「楽ちゃん 港本店」をご紹介します。

教えてくれたのは

森 絵里花
福岡生まれ博多湾育ち。地元タウン誌やグルメ情報誌、料理専門誌、WEBマガジンなどを中心に活動。ランチ、カフェ、星付き店から路地裏の酒場まで、オールマイティに楽しむ呑み食い道楽 兼 グルメライター。

高級店に負けない! コスパ抜群の大衆天ぷら

客の目の前で天ぷらを揚げ、揚げたてを一ネタずつ提供する天ぷら……と聞くと、高級店を想像しますよね? しかし、“博多天ぷら”とも呼ばれる、福岡の天ぷらは違います。天ぷら割烹と同じスタイルの天ぷらを、コースではなく気軽な定食で。新鮮で大ぶりなネタを、ぐんとリーズナブルに味わえるのです。なかには塩辛や漬物などが食べ放題となる店もあり、コストパフォーマンスは抜群!

鮮魚市場そば! 変わりダネも人気の穴場店

中心部・天神から車やバスで8〜15分ほど

博多天ぷらと言えば「ひらお」や「たかお」を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、今回ご紹介するのは地元民が推す穴場の人気店。九州各地から鮮魚が集まる「長浜鮮魚市場」の近くに店を構える「楽ちゃん 港本店」です。

「楽ちゃん定食」のネタは季節や日によって変わり、店頭に本日の内容を掲示

1986(昭和61)年の創業以来、変わらぬスタイルで近隣のビジネスマンや家族連れに愛されているお店です。入口の看板を見ると……、楽ちゃん定食800円。天ぷら7種が付いて、ご飯のお代わりも1回無料だなんて、お得すぎでは!?

着席して注文、最後に精算するシステム

店内はカウンター席のみ。厨房の揚げ場を囲むように座席が配置されており、のれんの奥には天ぷらを次々と揚げる職人の姿が。開店と同時に客がやってきて、お昼時も待ちが出る盛況ぶりですが、回転が早いので長時間待たされる心配はありません。

卓上のアレもコレも、無料食べ放題!?

九州を愛するオーナーさんのこだわりで、食器はすべて有田焼を使用

「楽ちゃん定食」800円や「お子様定食」550円など定食は4種類あり、追加の単品ネタや天丼をはじめとする丼ものもそろっています。卓上には天ぷら用の受け皿などがセットされており、天つゆは陶器のポットから自分で注ぐスタイル。注文後に、定食の味噌汁やご飯が運ばれてきます。

左から「自家製のぬか漬け」「楽ちゃんキムチ」「大根おろし」。山盛り入れてもいいんです!

何よりうれしいのが、卓上に置かれたこちらの3点。毎日仕込んでいるという「自家製のぬか漬け」と「楽ちゃんキムチ」「大根おろし」です。楽ちゃんキムチは辛味のないオリジナルのキャベツキムチで食感も◎。創業以来大切に育てているぬか床で漬けたキュウリやニンジンは風味がよく、口の中をさっぱりとさせてくれます。