お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度美味しいこの連載。第11回は、老舗店が多く残る、東京「四谷」のスイーツを紹介。

 

パフェ&たい焼きの名店を巡った前編に続いてお送りする後編では、明治創業の由緒あるカステラ専門店が登場します!

【猫井登のスイーツ探訪11】〜四谷・明治生まれのカステラ編〜

 

猫井(以下、猫):さあ、それでは、3軒めに行きましょうか! カステラの「坂本屋」です!

【3軒め】卵たっぷり。明治創業のカステラの名店「坂本屋」

 

猫:こちらは、明治30年(1897年)の創業です。なんと、122年の歴史!

 

編集(以下、編):明治!? 1世紀以上の歴史ですね! カステラっていつから日本にあるお菓子なんですか?

 

猫:天正年間(1573〜1592年)にポルトガル人によって長崎に伝えられた、いわゆる南蛮菓子のひとつですね。現在、ケーキに使われているスポンジ生地って、15世紀頃にスペインの前身である「カスティーリャ王国」で生まれたといわれていて、それが、ポルトガルから日本(長崎)へ伝わったそうです。

 

最初、ポルトガル人がスポンジ生地を食べているのを見て、日本人が「それは何か?」と問うたところ「カスティーリャ・ボーロ」と答えたといわれています。直訳すると「カスティーリャ王国のお菓子」のお菓子という意味ですが、2つの言葉に分かれてしまって、「カスティーリャ」はカステラに、「ボーロ」は丸いクッキーのようなお菓子にと、日本独自の進化を遂げるわけです。

 

 

編:お菓子に歴史ありですね。つまりカステラのルーツは、カスティーリャ王国で生まれた「スポンジ生地」だったということですよね?

 

猫:そうです。日本は鎖国していたので、その後クリームなどの製菓情報が伝わらず、生地の部分だけが、独自の進化を遂げるわけです。日本人は几帳面だから、気泡を整え、肌理の細かい生地にし、上面も平らな美しい焼き上がりの「カステラ」という、いわば究極のスポンジ生地を作り出したのです。

 

 

編:こんなに美味しいスイーツを作り出してくれた昔の人に感謝したい気持ちでいっぱいです! ちなみに、坂本屋さんの「カステラ」一斤 1,100円/0.5斤 550円(各税込)にはどんな特徴があるんですか?

 

出典:ぽっちゃりキングさん

猫:卵たっぷりで、濃い味わいのカステラですよ。底にはザラメの粒が残っていて、ジャリジャリした食感がするのもいいですね。

 

出典:saiworldさん

 

猫:そして、一斤買ったらオマケで端っこをくれました。

 

オマケのカステラ

編:老舗店ならではのサービスにほっこりしちゃいますね。なんだか得した気分です(笑)。

 

猫:今回購入したのは、「箱なし」の簡易包装のものですが、贈答用には、立派な箱入りのものもあります。

 

贈答用のカステラもずらり

編:四谷スイーツは奥深いものばかりですね!

 

猫:四ツ谷駅から少し歩くと「迎賓館」もあって、見学もできます。エキナカのアトレには、モンブランで有名な「ラ・プレシューズ」も入っています。

 

「ラ・プレシューズ」の和栗のモンブラン/出典:八坂牛太さん

編:「和栗のモンブランが人気のお店ですよね。

猫:さらに! 半蔵門方面まで足をのばせば、以前、「ガレット・デ・ロワ」の美味しいお店として紹介したフランス菓子の名店「パティシエ シマ」もありますよ。

 

「パティシエ シマ」のガレット・デ・ロワ/出典:テルーさん

編:全部回ったらお腹いっぱいになりそうですね!

 

猫:是非、ゆっくりと時間をかけて散策してみてください。

 

写真・文:猫井登