アート好きも、食いしん坊も、どっちも楽しめるアートフェス
ここ数年、世界的にますます盛り上がりを見せるアートフェス。アートフェスの楽しいところは、アートに詳しくなくても、そこのロケーションの魅力とともに体験できるところ。豊かな自然と一緒にアートを鑑賞したり、その途中には地元の美味しいものを食べたり……。
なかでも、今年注目なのが、現在、長野県の大町市で開催中の北アルプス国際芸術祭。瀬戸内などの国際芸術祭の指揮を執ってきたアートフロントギャラリーの北川フラム氏を総合ディレクターに迎え、国際的に活躍するアーティストたちが参加する。そして、アートとならんで力を入れているのが「食」。なんといっても、この芸術祭の正式名称は「北アルプス国際芸術祭2017 〜信濃大町 食とアートの廻廊~」。そう、アートよりも「食」が先に表記してしまうほど、食の魅力がつまったアートフェスなのだ。これは、「花より団子」な人でも期待大。そこで、これからの夏の予定を考えている方に、芸術祭の内容をご紹介しよう。
「食」を知る前に、まずはアート作品から
国内外のアーティスト総勢36組が「水・木・土・空」のテーマのもと、エリアごとにさまざまな作品を展開。源流、仁科三湖、市街地、東山、ダムの5つのエリアに分かれ、南北の植物が混生し、日本列島を縦に貫く特徴ある地形の信濃大町を鮮烈で爽やかなアート作品が彩る。その中から3点をピックアップ。
1.「たゆたゆの家」原倫太郎・原游
信濃大町駅前にあるインフォメーションセンターとギャラリーに展示。「たゆたゆ」とは、ものがゆらゆらと揺れる様を表す「たゆたう」を擬音化した作家(アーティスト)の造語。水をテーマにしたこの作品は、大自然や歴史、語り継がれた物語を家の中に呼び込み、人と土地、人と人がつながり、たゆたう場となってほしいという願いが込められている。
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2.「ACT」マーリア・ヴィルッカラ
フィンランド出身のアーティストが、日本の地で生み出したのは、「見る/見られる」ものの関係の反転を描いた作品。作品の舞台として選んだのは、大町温泉郷にある森林劇場。観客が普段上がることのないステージに立つと、建物が水で満たされているかのような感覚に陥るというこの舞台。実際にこの場に立ったら、どんな気分になるかは、ご自身で体感を。
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3.「夢の部屋」大岩オスカール
ブラジル出身、現在NY在住のアーティスト、大岩オスカール。彼が初めて信濃大町を訪れ、鷹狩山山頂から見た景色をとてもキレイだと思った感覚を基に生み出
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“今”、ココでしか味わえないランチを!
芸術祭開催期間中だけのスペシャルメニューは是非とも押さえたい。大町市内にある13軒の飲食店では、東京・表参道のイタリアンレストランHATAKE AOYAMAのシェフ神保佳永氏を総料理長に、芸術祭を訪れた人を“おもてなし”するというコンセプトで、メニューを用意。いずれもこの土地ならではの特長とお店の魅力を生かした内容に。アートと一緒に、美味しい料理ホッピングを楽しんで。
- 手打ちそば処 こばやしの「信濃大町盆」1,620円(税込)
大正2年創業。100年以上の歴史を持つ老舗のお蕎麦屋、手打ちそば処 こばやし。こちらのお店が提供するのは、お蕎麦を中心とした大町の郷土料理。5代目考案の蕎麦茶プリンや女将の手作り「えご」は涼しさを感じさせる逸品。暑い夏にひんやりツルっとした蕎麦を。
2. トラットリア・ラ・タルタルーガの「水 木 土 空」3,800円(税込)
長野県の新鮮な食材をふんだんに使った料理が自慢のイタリアンレストラン、トラットリア・ラ・タルタルーガ。こちらでは芸術祭のテーマである「水・木・土・空」を表現したコース料理を用意。地元になじみの深い食材もシェフの手が加われば、驚きある鮮やかな一品に変身!
信濃大町の「自慢の一品」も忘れずに
大町市内の飲食店の自慢の一品もぜひともトライしたい。地元の人しか知らない名店から、お土産品として名高い逸品までそろう充実のラインナップ。
1.cafe & BAR 麻倉の「トマトメンチ」
地元民に愛される「cafe & BAR 麻倉」の人気メニュー。この時期なら、開放的なウッドテラスで食べるのもよし。夜、お酒とともに食すか、ご飯・味噌汁・小鉢・サラダがつくランチタイムに楽しむかは迷うところ。
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2.コンディトライ・アン・マリーレの「温泉郷プリン」 220円(税込)
カワイイ猫のマークが目印の洋菓子店、コンディトライ・アン・マリーレ。バニラなどの香料は一切使わず、松田牛乳と平飼い鶏の有精卵という地元の素材を活かしたプリンが絶品。生クリームが程よいアクセントになり、おやつタイムにぴったり。
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3. 割烹 だるまの「信州牛しゃぶしゃぶセット」 3,000円(税込)
肉食派の方に是非とも立ち寄っていただきたいのは、割烹料理の「だるま」。ここではA5ランクの信州牛を贅沢に楽しめる牛しゃぶしゃぶセットがイチオシ。A5ランクのお肉を3,000円で頂けるということで、わざわざ足を運ぶ人もいるとか。
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「北アルプス国際芸術祭」は7月30日まで開催中。“今だけ”の味と美しい自然の中のアート作品。週末を利用してふらりと訪れてもいいだろう。また、公式グッズは「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川明氏が担当しているので、テキスタイルのオシャレなグッズをお土産に買って帰るのも忘れずに。
■問い合わせ
北アルプス国際芸術祭実行委員会事務局
TEL.0261-23-5500
info@shinano-omachi.jp
文:山本真由