タンもロースも噂以上のおいしさ! 必食の希少部位も

羊肉ブームの再燃で身近になったとはいえ、よく目にする部位といえば、たいていラムチョップやジンギスカン用のショルダー、レッグばかり。でも羊肉だって牛肉や豚肉と同じように楽しめるはず。

 

ラム肉だけで16種類の部位を提供しているという「ラム焼肉専門店 lamb ne(らむね)」がオープンしたとの情報が入ったので、特別講師としてオージーラムPR大使兼「羊齧協会」主席の菊池一弘さんに同行していただき、調査してきました。

羊肉にとって新ジャンルといえる「ラム焼肉」

 

羊肉を知り尽くし普及に全身全霊を傾けている菊池さん

 

まずはじめに、菊池さんに羊肉について簡単に教えていただきます。

 

Q:まずは羊肉の魅力についてお答えください。
A:「羊肉は世界中で食べられているグローバルフードのひとつです。中国、オーストラリア、インド、ヨーロッパ……。国によって調理法も違うのでバラエティ豊かな料理を楽しめるところだと思います」

 

Q:日本で羊肉があまり食べられていなかったのはなぜですか?
A:「そもそも日本では家畜として存在していなかったのです。明治時代に軍服を作るのに必要な羊毛を取るために飼育したのが始まりなので、日本人が初めて食べたのは、歳をとって毛が取れなくなった食用ではない羊。いわば、羊特有の臭いが強い『超マトン』。調理法も研究されていなかったためおいしいわけがない。安い、臭い、硬い、というイメージがついてしまったのです」

 

Q:ではなぜ今、羊肉が人気なのでしょうか?
A:「2004年に狂牛病が起こり、安全でしかも低カロリーという羊肉が注目されたのです。それから良い羊肉が急激に入り始め、ジンギスカンが大ヒット。その後のジビエや熟成肉の認知度アップとともに、羊肉もさらに日本の食文化に浸透してきました。今はオーストラリアからチルドのまま航空便で送られてくるものが多いので本当においしいし、一昨年くらいから羊専門店が増えて、様々な料理が楽しめるようになったのも理由でしょう」

 

菊池さんがこう語るように、今はまさに羊ブーム! それではいよいよ「ラム焼肉専門店 lamb ne」に潜入しましょう。

 

ただ、お店の売りでもある「羊肉16部位」もあると、何をオーダーすれば良いか迷ってしまいそう……。ということで、菊池さんに、初心者向けと上級者向けそれぞれに、おすすめのオーダーの仕方を考えてもらいました!

オーダー1:羊初心者向け

  • やわらか炙りラム肉のユッケ〜卵黄添え〜(1,180円)
  • 超希少! ベビーラム(1,180円)
  • 厚切りネギ塩タン元(880円)
  • ロース(980円)
  • フィレ 淡雪塩添え(1,480円)
  • 超希少! 外ももはばき(980円)
  • 一口ラムスパイスカレー(480円)

 

では、初心者向けオーダーを菊池さんにご紹介していただきましょう。

「やわらか炙りラム肉のユッケ〜卵黄添え〜」は甘辛のタレと卵黄がやわらかな肉に絡まり極上のおいしさです

 

「羊独特のにおいが苦手と言う初心者さんには赤身中心にしました。においは脂身に集まるので脂の少ない部位がおすすめです。前菜には濃厚な甘辛いタレと卵黄を絡めるフィレ肉のユッケが良いでしょう。肉は若いほどクセが少ないのでベビーラム。あとは、厚切りタン元、ロース、フィレ、希少部位の外ももはばきを。シメにはスパイスが効いたカレーがおすすめ! スパイスの香りは羊肉を食べやすくしてくれますよ」

 

焼きあがったフィレは転がして淡雪塩を満遍なく付ける。粉雪のように軽くて優しい味の塩です ※撮影用に特別に盛り合わせてもらったもの。来店時は単品で注文可能

 

小さめサイズがちょうどいいと人気の「一口ラムスパイスカレー」

 

なるほど〜。ロースがほんのり香るくらいで、どれもラムって言われなければわからないほどクセがない。それどころか本当にやわらかくて脂も少なくヘルシーな感じがします。羊のタン?って思ったけれど、サクッとした食感とさっぱりしたネギ塩の味付けは牛タンとほとんど変わらないです。

オーダー2:上級者向け

  • ラムカワポン酢(680円)
  • ハツ(780円)
  • ハラミ(780円)
  • イチボ(1,080円)
  • 超希少! 外ももはばき(980円)
  • カルビ(680円)
  • レバー(680円)
  • 一口ラムチャーシューしめそば(400円)

 

次は上級者向けに選んでいただきました。

 

「できるだけ羊の香りと脂の甘みを感じられる部位を選んでいますが、こちらで提供されている肉は上質なのでそこまでにおいは強くありません。ですから、外ももはばきなど、なかなか食べる機会が少ない部位を織りまぜてみました。前菜にはラムカワポン酢、シメには羊の出汁が効いたラムそばをぜひ!」とのこと。

 

前菜にはコリコリした食感と爽やかなポン酢味を楽しむ「ラムカワポン酢」を

 

上級者向けに選んだのはハツ、ハラミ、イチボ、外ももはばき、カルビ、レバー ※撮影用に特別に盛り合わせてもらったもの。来店時は単品で注文可能

 

ラム出汁にラム焼豚、たっぷりの脂でお肌がツルツルになりそう!な「一口ラムチャーシューしめソバ」。 シメにおいしく感じられるように塩分や濃度を調整しています

 

確かに初心者用に比べると羊っぽさがありますが、ジューシーでぷりっぷりの食感と風味は牛や豚と違った魅力があります。

「ラム焼肉専門店 lamb ne」の魅力とは

「ラム焼肉専門店 lamb ne」の 魅力を菊池さんに教えていただきました。

 

1) 部位の多さがすごい!

「部位で語られることがなかった羊ですが、カットチャートを見てもこれだけの部位を一気に食べ比べできるお店はなかったですね」

 

2) 「ラム焼肉」という新業態

「牛焼肉と同じような感覚で、色々な部位を選べる。『ラム焼肉』というジャンルは前からありましたが、このお店の登場により、いよいよ定着するかもしれません。羊肉の歴史にとって大きな一歩です!」

 

3) 希少価値のベビーラムがいつでも食べられる!

「生後3ヶ月未満のベビーラムは高級で滅多に食べられないんですよ。それがグランドメニューに存在していて、さらにこの値段とは驚きです」。やわらかくてほんのりミルクの味と香りがするベビーラムは、バラとロースが食べられます。

 

4) コスパが良すぎる!

「ベビーラムが1,180円で食べられるなんて衝撃的です。タン元が880円、上ロースが1,280円、フィレが1,480円と、このクオリティでこの価格はありがたい!」

 

5) 肉がうまい! 脂もうまい!

「羊肉のにおいが苦手という人が多いですよね。においは脂から出るので、通常は羊の脂はなるべく除いてしまいます。でも、こちらの肉はあえて脂を残しているのににおいがほとんどない。それはオーストラリアから直接仕入れているのと保存方法が良いからです。本来、脂には旨味がありますから、赤身と脂両方のおいしさを楽しめるのが一番!」

 

6) 煙のにおいがつかない! 内装がおしゃれ!

「無煙ロースター完備で、着るものににおいがつかないのは嬉しいですよね。それに、内装に高級感があっておしゃれなのに価格帯がカジュアルな店は貴重。デートにも使えそうです。オープンキッチンでライブ感があるのに、これだけきちんと片付けられていて清潔感ばっちりなのもすごい!」

ハイセンスな空間に広がるカウンター。奥には個室感覚のテーブル席があります

7) ストップウォッチで焼き時間を管理できる

「羊肉って焼き過ぎ注意なのです。テーブルごとにストップウォッチがあって部位ごとに焼き時間を教えてくれるので誰でもおいしく焼けます。これすごいアイデアだと思いますよ」

 

8) 味変ができる

「卓上に置いてある自家製スパイスがものすごくおいしいんです! このスパイス単品でも絶対に売れるのでぜひ商品化してほしい。ほかに山椒の実と塩もあるんですがどれもラムと合います。ぜひ味変も楽しんでいただきたい」

 

カレースパイス、クミン、唐辛子などで配合したオリジナルスパイスがおいしすぎる! そのままつまみとしてパクパク食べてしまうほど!

 

こちらのお店では今まで知らなかったラムのおいしさが味わえます。知ったらやみつきになる羊肉の世界、ぜひご堪能あれ!

 

※価格は税別です

取材・文/高橋綾子

撮影/三好宣弘(RELATION)