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【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】4月を振り返る
今月は進化した町中華のカレーに始まり、さらなる盛り上がりを見せる南インドカレー、そして超人気店出身シェフの新店をご紹介しました。平成の時代にカレーのイメージは大きく変わり、美味しいカレーのお店が増えました。しかし、昭和から続く味の素晴らしさも消してはならないものです。令和の時代、カレーはどう広がり、どのように進化していくのか楽しみですね。
【第1週のカレー】平成とともに進化を遂げた“町中華のカレー”をクローズアップ
そろそろ平成も終わりを迎えます。次の元号も令和と発表されました。平成という時代を振り返ると、多様性、ダイバーシティという考え方が世界的に広まった時代とも言えるかと思います。カレーも平成の時代に多様化していきましたが、昭和の時代から存在する町中華のカレーも平成という時代に進化を遂げています。
「生駒」の外観
今回ご紹介する「生駒」はまさしくそんなカレーがいただけるお店。錦糸町駅からも菊川駅からも徒歩10分程度。緑三丁目交差点近くにあるそのお店は夜ともなると連日予約でいっぱいの人気です。しかし気取ったお店ではなく、昔ながらの町中華というスタイルなのです。お値段もお手頃で。
「お得な生ビールセット」で乾杯!
まずは生ビール(他ドリンクでも可)とおつまみを選べる「お得な生ビールセット」850円からはじめるのがおすすめ。今回は3人で行き、それぞれ気になるものを頼んだのですが、キュウリとクラゲの和え物、黒酢スブタ、焼き餃子という組合せになりました。どれも安くてどれも美味しい。これぞ町中華の醍醐味ですよ。
写真左から、「キュウリとクラゲの和え物」「黒酢スブタ」「焼き餃子」
そしてメインのカレー。そう、こちらにはカレーメニューもあるんです。よくある町中華のカレーとは全然違うカレーが3つも。中でも「排骨カレー炒飯」900円が一番人気。
「排骨カレー炒飯」
そして最近新メニューとして加わったのが「麻婆カレー飯」880円。
「麻婆カレー飯」に排骨をトッピング
これにもプラス320円で排骨をトッピングできます。ここの排骨は最高なのでトッピングしちゃいましょう! さらに今回は裏メニューに「回鍋肉カレー焼きうどん」880円もあるということで、こちらもいただきました。
「回鍋肉カレー焼きうどん」
これがね、全部が全部美味しいんですよ。びっくりします本当に。僕が特に気に入っているのが「麻婆カレー飯」。麻婆豆腐というと最近は麻辣ブームで花椒が印象的なものが増えているように思いますが、こちらの麻婆豆腐は豆豉が存在感を主張しています。深みと甘味があるんです。
そして正しく美味しい麻婆豆腐でありながらもトマトが入っていることによってグッとカレー感が強まります。これはわかっている証拠。麻婆カレーも全国的に増えましたが、ここまでクオリティの高いものは他にそうありません。
「排骨カレー炒飯」も安定の美味しさ。ただでさえ美味しい排骨、カレーあんかけがかかることによってさらに美味しくなります。これにしっとり系の炒飯が合う!
そして回鍋肉カレー焼きうどん。これまた凄かった。うどんはきしめんのような太くて平たい麺。回鍋肉的な具と味付け。さらにカレー。足し算の美学です。足しすぎると重くなることも多々ありますが、こちらは重くならないのがまた凄いところ。
美味しい中華おつまみで〆に絶品中華カレー。お酒をしっかり飲んでもお財布に優しい。これぞ町中華の素晴らしさですよ。
昭和から続く町中華の、平成に進化した中華カレー。令和にも、その先の時代にも伝えていきたい美味しさです。そしてこのお店なら、時代に合わせた進化をし続けてくれるだろうと思います。
※価格はすべて税込
【第2週のカレー】美味しすぎて10日で3回も訪問! 要注目の南インド料理店が誕生
昔はインド料理といえば、“ナン、バターチキン”というくらいに、日本のインド料理界では北インド料理が主流でした。今でも全国的に見ればまだまだそうなのかもしれませんが、東京においてはかなりの数で南インド料理店が増えています。
そのきっかけはいくつかありますが、最初はやはり「ダバインディア」の成功があったからといえるのではないでしょうか。その後、ダバインディアで料理長を務めていたシェフが独立して出した「アーンドラキッチン」も同じく成功し、「エリックサウス」が日本人にわかりやすい南インド料理を提供し、一気に広まっていったように感じています。
そして、昨年あたりからまた急に南インド料理店の数が増えてきています。以前は物珍しさでマニアもこぞってかけつけていましたが、最近は店舗数が増えたこともあってか、期待されながらも残念ながら閉店してしまうお店も出てきましたし、正直にいえばイマイチなお店もちらほら見かけるようになってきました。
そんな中、個人的に最も期待している出来たてほやほやのお店を見つけました。2019年3月末にできたばかりの「南インドキッチン」です。
場所は月島駅から徒歩5分程度。このエリアは2020年開催予定の東京オリンピックの会場からも近く、この先に外国人客が増えることが見込まれているエリアでもあることから、ベジタリアンでも食べられる南インド料理店が生まれたのかもしれません。
初訪問時にいただいたのは「サウスインディアンミール」1,600円。いわゆるノンベジミールスです。※メニュー改定により、現在は「ノンベジミール」1,400円となっています。
サウスインディアンミール(※現、ノンベジミール)
スパイスがしっかりときいて華やかな印象のマトンとチキン。それに対して、南インドの野菜カレー「サンバル」と、南インドの酸味系スープ「ラッサム」、南インドの野菜スパイス炒め「ポリヤル」は逆に素朴な美味しさであり、混ぜることによって美味しさが完成するタイプでミールスの醍醐味を味わえます。
初訪問で気に入り、すぐにまた二度目の訪問。今度は「ドーサセット」1,300円をいただきました。こちらはカレーをひとつセレクトできるということで、マトンカリフラワーに。これがまた美味しい!
ドーサセット
ドーサとは南インドのクレープのようなものですが、こちらのセットのドーサはマサラドーサ。カレー味のじゃがいもが入ったドーサです。これだけ食べても美味しいのですが、マトンカリフラワーが最高!
カレーは3種日替わり。この日のマトンはカリフラワー入り。これが遠慮ないスパイス感で最高! 優しいドーサと刺激的なマトン。最高のバランスだなぁ。そう思ってキッチンを見てみると、見慣れたシェフがいるじゃないですか!
こちらのシェフ、先述した日本の南インド料理隆盛のきっかけとなった「ダバインディア」で働き、その後「アーンドラキッチン」の姉妹店である「アーンドラダバ」でも働いていたシェフなのです。つまりは名店を渡り歩いたシェフ。彼が作る料理ですから美味しいわけです。
「ダバインディア」や「アーンドラダバ」のような華やかな肉系のカレーと、それとは違って毎日食べても飽きのこないシンプルに美味しい野菜系。この組み合わせはありそうでなかったですよ。
と、この記事を書いていたらまた食べたくなってきてしまい三度目の訪問(笑)。今回は「チーズナンセット」1,200円で。カレーは、インド南部・ハイデラバディ地方のマトンカレー「ハイデラバディマトン」をセレクト。サイドに「チキンティッカ」(ランチ時は350円)もつけました。
チーズナンセット
これまた最高! 通常南インド料理の主食としてはチーズナンをつけないのですが、シェフが以前いたダバインディアの看板メニューが「チーズクルチャ」(チーズナンの仲間のようなもの)であり、アーンドラダバのチーズクルチャもまた美味しいので頼んでみたわけです。
チキンティッカ
ちょうどダバインディアとアーンドラダバの間くらいの方向性で、これも重すぎない美味しさがカレーに合わせるのにもちょうど良いです。チキンティッカの火入れ具合も完璧で、ぷりっぷりのジューシーさでした。
月島といえばもんじゃ。そして焼肉でも有名な街ですが、カレーも見逃せなくなってきました。南インド料理好きの方なら、このお店の為だけに電車を乗り継いで行く価値がありますよ。
※価格はすべて税込
【第3週のカレー】最高の南インド料理専門店で出合える最強のカリフラワー料理って?
毎日カレーを食べていると、「健康は大丈夫?」とか「身体壊さない?」と、ご心配いただくことも少なからずあるのですが、全く問題ありません。
考えてもみてください。インド周辺のカレー食文化圏にある国々では、食事のほとんどが我々日本人から見るとカレーのようなものばかり。つまりカレーばかり食べているわけですがそれで身体を壊すということはありませんよね。インド周辺諸国の方々が、毎日カレーを食べても健康に問題は無いということを証明してくれているわけです。
また、毎日カレーを食べていると「飽きないの?」とか「太らないの?」と聞かれることも多いです。その答えは、飽きませんし食べ方さえ気を付けていれば太りません。カレーには太りやすいカレーと太りづらいカレーがあります。僕はどちらも好きなのですが、今日は軽めに太りづらいカレーを食べようと思った時には、南インド料理を食べるようにしています。
今週のカレー#56でも書いたように、日本には南インド料理店がどんどん増えています。だからこそ、僕が一番好きな南インド料理店をここで一度ご紹介しておきたい。南インド料理激戦区である東京の銀座・京橋エリアに存在する「アーンドラ・ダイニング」です。
ここの料理は何を食べても美味しいのですが、僕が一番好きなメニューは何かと問われれば、悩みに悩んで「タンドゥーリゴビ」990円をあげます。ゴビとは、カリフラワーのこと。それをタンドールで焼いたもの。わかりやすくいうなら、タンドリーチキンの鶏肉がカリフラワーになったものなのですが、これが驚きの美味しさなのです。
タンドゥーリゴビ
僕はこの料理を食べるまではカリフラワーって味にも香りにも特徴がなく、ブロッコリーほど栄養価も高くなく、パっとしない存在だと誤解していました。しかし、この料理を食べてカリフラワーに謝りたくなりました。「カリフラワーって本気出すとこんなに美味しいんだ!」と驚き、感動したのです。
これだけあればもう他の料理はいらないくらいの満足度。これに感動して他のインド料理店でも様々なカリフラワー料理をいただきましたが、いまだにこれを超える存在は現れないというほどの絶品です。タンドールの遠赤外線効果で焼かれたカリフラワーは芯までほっくりと火が通り、スパイスやヨーグルトで作られた濃厚なソースと絡み合い、えもいわれぬ美味しさに仕上がっています。これにミントソースをかけたりレモンを搾ったりすると爽やかさも加わって完璧。
これだけで大満足なのですが、せっかくですからもう少し。「キーマドーサ」1,450円もいただきました。
キーマドーサ
ドーサとは南インドのクレープ的な軽食。米粉や豆の粉を使っているのでグルテンフリー。これにキーマが入ったもの。それをサンバルという南インド野菜カレーやココナッツチャトニと共にいただく料理です。
ドーサの生地だけチャトニをつけて食べ、キーマと一緒に食べ、サンバルをかけて食べ、最後は全部混ぜて食べる。一度で何度でも美味しく、楽しい料理です。
しめくくりに「マドラスコーヒー」300円で美味しかった料理を思い出しながらホっと一息。最高のひと時ですよ。
マドラスコーヒー
今回は軽食で攻めたのですが、こちらの看板料理である「ノンベジミールス」2,150円や羊のスパイス炒め「アーンドラマトンヴェプドゥ」1,490円も絶品! しっかり食べたい時にも、軽く食べたい時にも、どちらにも使える万能店です。
ノンベジミールス(写真左)、アーンドラマトンヴェプドゥ(写真左から2番目)
開店当初から通い続けているお店であり、これからもずっと通い続けるであろう大好きなお店。一人でも多くの方に「カリフラワーの本気」を堪能していただきたいです。
※価格はすべて税込
【第4週のカレー】予約必至になる前にGO! 人気店出身シェフが手がけるインドカレー店が新宿に誕生
カレーの人気店も色々とありますが、ことインドカレーにおいては「ダバ インディア」や「グルガオン」を運営する株式会社チョティワラ系列のお店と、そこの出身シェフが手がけるお店の人気が高いです。都内屈指の人気店である「カッチャルバッチャル」や「カマルプール」もまさにチョティワラ出身シェフのお店です。
そしてその「ダバ インディア」と「カッチャルバッチャル」で修行したシェフによる新しいお店ができたと聞いて、喜び勇んで行ってきました。というわけで、今回ご紹介するのは新宿西口にできた「アチャカナ」です。
店内はかなりカッチャルバッチャルと似た雰囲気。カウンターとテーブルの配置感がそっくりです。メニューも手書きで、これも似ています。ならばきっと料理の方向性も近いのだろうと踏んで、タンドール料理中心のオーダーで攻めてみました。カッチャルバッチャルといえばタンドール料理が絶品ですからね。
鴨の冷菜
まずは焼き物の前に「鴨の冷菜」700円。これが先頭打者ホームラン的美味しさ! しっとりとした鴨の旨味にティムール(ネパール山椒)の香りと刺激で最高のおつまみじゃないですか。いきなりお酒進んじゃいますよこれ。
チーズクルチャ
続いて焼き物。まずはチョティワラ系名物の「チーズクルチャ」630円。ニンニクの香りがしっかりときいたチーズたっぷりのクルチャ。食べたら無意識のうちに笑ってしまいます。幸せになる美味しさですね。
ポークスペアリブのタンドール焼き
そして「ポークスペアリブのタンドール焼き」860円。これまた絶品! 火入れの加減が絶妙なんです。ジューシーな豚肉はスパイスによってエグ味が消えて旨味が最大限に高められています。
インドでタンドール料理を食べると、しっかりと焼きすぎていてイマイチ美味しく感じないことが多いです。これは食文化の違いなのですが、インドではジューシーに焼くという概念があまり無いのだそうです。そしてインドでは豚肉を食べるということも少ないです。
その両方の意味から、これだけ美味しい豚のタンドール焼きは日本じゃないと味わえないのではないかとも思います。シェフも日本人なのですが、だからこその良さがこういう所に出てくるのでしょう。
海老の香味焼き
あまりに美味しくてもう一品。「海老の香味焼き」680円も追加。これまた最高! しっぽまで食べられるという以上に、食べずにはいられない美味しさです。プリっとした身とパリっとしたしっぽ。食感も楽しいなぁ。ここまででも大満足ですが、〆のカレーも忘れてはなりません。
スパイシーマトンカレー
「スパイシーマトンカレー」1,180円を「ジャスミンライス」330円でいただきました。スパイシーとありますが、スパイシーすぎません。一歩引いたスパイシーさ。それが良いのです。
インパクト抜群の絶品タンドール料理の後で、スパイスがガツンときいたカレーだと食べ疲れてしまう可能性があります。しかしそうではなく、最後に安心できるスパイス感だからこそ優しくまとまるし、胃が重たくならずにしめくくることができるのです。
お店の雰囲気のみならず、最高の美味しさというところまでカッチャル的。それでいて個性が消えているわけではありませんし、これからその個性がじわじわと花開いていきそうな気配も感じます。
こちらのお店も予約が取れなくなる人気店となりそうですね。そうなる前に行けるだけ行っておかないと!
※価格はすべて税込
写真・文:カレーおじさん \(^o^)/