衰えるどころかヒートアップし続ける“肉食”ブーム。ステーキに焼肉、ありとあらゆる肉メニューがあるけれど、日本が世界に誇る肉料理「すき焼き」はきちんと押さえておきたい。そこで日本における和牛の求道者であり伝道師、小池克臣さんをお招きし、すき焼きと牛肉にまつわるおいしい歴史から、肉解説、小池さんが愛してやまないすき焼き屋までをお届けした特集に続き、今回は食べログマガジンで人気の連載陣4人に、お気に入りのすき焼き屋、好みの食べ方などについてインタビュー。最終となる4人目は「運命の食材」や各国の料理から食材や器まで、“食”まわりの記事を執筆しているフードジャーナリスト小松宏子さんが登場。

 

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〈小松 宏子さんに4問4答〉

日本人がハレの日のご馳走として食べるすき焼き。フードジャーナリスト・小松宏子さんの心に強く印象に残っているすき焼き、それは歴史によって培われた秘伝の割り下と職人技が光る老舗の味。

Q1. お気に入りのすき焼き屋、また誰かを連れて行くならココ!と決めているお店は?

A1. 人形町今半 本店、岡半 本店、和田金です。

 

Q2. それぞれのお店のお気に入りポイントは?

A2-1. 人形町今半 本店

出典:フードブロガー アカヌマカズヤさん

 

いつ訪れても変わらない信頼の味とお店の雰囲気。目利きによって選ばれた、ゆるぎのない肉のクオリティと、割り下の絶妙なバランス。やや甘く、濃いようでいて飽きない、時間を空けてまた食べたくなる秘伝の割合には脱帽です。仲居さんたちのプロとしてのサービスのクオリティもさすがです。

 

A2-2. 岡半 本店

出典:m.m.tokyoさん

 

まだ一度しか訪れたことはありませんが、ロース肉を目の前で切ってくれる、岡半の手切りの職人技は、やはり素晴らしかったです。関西スタイルの砂糖と醤油で焼く焼き方も、気分が上がります。

 

A2-3. 和田金

出典:3263さん

 

松阪牛の郷、松阪の名店、和田金のすき焼きも、一度しか訪れたことはありませんが、とろけるような脂の甘みとキレの良さは、忘れられません。松阪牛というブランドの凄さを改めて感じた次第です。

 

Q3. お気に入りの食べ方は?

A3. 今はなき名店「よしはし」で、仲居さんが卵白をメレンゲのように立ててくれるのは素敵でした。

 

Q4. 小松さんにとって、すき焼きを一言で表すと?

A4. 「ハレの日のご馳走」
ハレとケの境界線がなくなりつつある今でも、すき焼きは日本人にとってハレの日のご馳走です。
それを一番感じるのは、外食としてのすき焼きではありませんが、お正月用にすき焼き用にちょっといい牛肉を買う人のなんと多いことかと、毎年末スーパーや百貨店に行くたびに思います。

 

選者:小松 宏子
祖母が料理研究家の家庭に生まれる。広告代理店勤務を経て、フードジャーナリストとして活動。各国の料理から食材や器まで、“食”まわりの記事を執筆している。料理書の編集や執筆も多く手がけ、『茶懐石に学ぶ日日の料理』(後藤加寿子著・文化出版局)では仏グルマン料理本大賞「特別文化遺産賞」、第2回辻静雄食文化賞受賞。

「すき焼き」の魅力を3回に分けて紹介し、連載陣4人のおすすめ店をお届けしてきた、「すき焼き」特集。和牛の伝道師こと、小池克臣さんが熱く語ってくれたように、「すき焼き」という料理の最大の魅力は“和牛の旨みを最大限に引き出してくれる肉料理”だということ。それを実体験するには、最高の肉質の和牛を最適な調理法で提供してくれるお店に足を運ぶのが近道。今回のアンケートで連載陣がおすすめしてくれた店は、偶然にも老舗が多かった。確かな肉質、肉を引き立てる味付け、接客、食べ方など、選ばれる理由は読めば明らか。歴史と伝統を備える老舗ならではの誇りの表れと言えよう。ぜひ、連載陣のコメントを参考にお店へ足を運び、最高の“すき焼き”体験をしてほしい。