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〈自然派ワインに恋して〉
シェフの料理とマリアージュするのは、自然派ワイン。そんなレストランが増えている。あの店ではどんなおいしい幸せ体験が待っているのだろう。ワインエキスパートの岡本のぞみさんが、自然派ワインに恋して生まれたお店のストーリーをひもといていく。
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岡本のぞみ
ライター(verb所属)。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、日本地ビール協会認定ビアテイスター/『東京カレンダー』などのフードメディアで執筆するほか、『東京ワインショップガイド』の運営や『男の隠れ家デジタル』の連載「東京の地ビールで乾杯」を担当。身近な街角にある、食とお酒の楽しさを文章で届けている。
代々木上原の日常に溶け込む路面店

上原3丁目交差点は、代々木上原駅からすぐそばの井の頭通りにある。商店街の入口でもあることから朝から夜まで人通りが多い。ここに2026年2月にオープンしたのがイタリアン「LVIS(エルビス)」だ。平日は12時、土日祝日は8時30分から開店しているというから使い勝手がいい。

その理由について店長の織井冬威さんは「代々木上原の暮らしに寄り添う店を目指しています。日常の延長で人が集まり、会話や関係性が生まれる“コミュニティテーブル”のような店になれたらいいですね」と話す。LVISは渋谷の「CHOWCHOW」の系列店。シェフの菰田真平さんやソムリエの藁谷勇太さんなど同店舗出身の若いスタッフが多く、活気があるのもLVISの魅力だ。

「休日の朝はコーヒーと軽めの朝食、ランチは気軽な食事、18時頃はアペリティーボとして軽く一杯、夜はワインと料理をしっかり楽しむなど、時間帯によってさまざまな使い方ができます。お一人でのちょい飲みから、友人との食事、近隣の方の日常使いまで、シーンを選ばず利用していただけたらうれしいです」と織井さん。実際、若い世代だけでなく、子育て世代や落ち着いた世代の人まで幅広く利用されているという。
トリッパのトマト煮✕にごりオレンジワイン

前菜のおすすめは「トリッパのトマト煮 ローマ風」。「トリッパをさっぱり食べたいという要望が多かったので、ペコリーノと叩いたミントを加えてローマ風に仕上げています」と西久保さん。トマトのジューシーさにミントの清涼感が加わって、重たくならない味わいだ。

トリッパに合わせたいのは、ラ・ソルガのオレンジワイン。「フランスのオレンジワインが得意な生産者です。イタリアの赤ワインなどを合わせるとうまみが強すぎるので、もう少しすっきりと合わせたい時におすすめです」と藁谷さん。食事のうまみをワインのコクでぐっと引き立たせる組み合わせで、最後はトリッパに添えたハーブが余韻に残るハーモニーが良かった。
ピチ・カチョエペペ✕骨格のある白ワイン

「トリュフのピチ・カチョエペペ」はLVISの名物料理としてぜひ注文したい。この季節は爽やかな香りのサマートリュフが使用されていた。「パルミジャーノ・レッジャーノとペコリーノの2種類のチーズを使っています。スタッフ全員で作った極太のもちもちの麺にチーズとトリュフがからんでいるのが自慢です」と西久保さん。無造作な手打ちパスタだからこそ出せる味だろう。

ピチ・カチョエペペに合わせてもらったのは、イタリアのエミリア・ロマーニャ州の白ワイン。「パスタにしては香りも味もしっかりしているので、酸味と甘みのバランスのいいこちらがおすすめです」と藁谷さん。りんごのような果実味がありつつ、酸とミネラルがもちもちのパスタの味に輪郭を作ってくれるようなペアリングで、パスタがぺろっと食べられる組み合わせだった。
鹿のタリアータ✕熟成赤ワイン

肉料理で人気が高いのが「蝦夷鹿モモ肉のタリアータ」。「内モモは外モモよりも脂が少ないので、クセなく食べていただける部位です。味付けもオリーブオイルと塩コショウだけ。肉をしっかり噛み締めたいというお客様におすすめです」と西久保さん。シンプルな料理だけに肉の厚みやオリーブの香りが引き立つ噛み応えのあるメインだ。

蝦夷鹿のタリアータに合わせたいのは、イタリアの人気生産者の赤ワイン。「2014年のワインなのでほどよく熟成感も出ている頃。鹿肉の血っぽさ、ミルキーさに合わせていけるしっかりした味わいがあります」と藁谷さん。まろやかさと力強さがあるため、シンプルな赤身肉とはベストマッチな相性だった。
織井さんの「私が恋した自然派ワイン」

織井さんが恋したワインは、フランス・ロワール地方の生産者のワイン。
「こちらのル・クロ・デュ・チュ=ブッフのロモランタンという白ワインを飲んだときに、とても感動しました。酸の表現力やそこから生まれるミルキーさがあって、食事とも合うし、一本飲んでしまえる味わいもある。こんなワインがあるのかと思うほどでした。
こちらの赤ワインもコスパが良く、カジュアルに飲めるのにしっかりとした味わいがあります。店で見かけたら、注目してほしい生産者です」
イタリアの自然派ワインを中心にラインアップ

LVISでは開店時間のお昼や朝からワインが提供されている。「代々木上原に住んでいる方はクラシックなしっかりめのワインを好まれる傾向にあるので、そうした方にも好まれそうな自然派ワインも取り揃えています」と藁谷さん。イタリアの自然派ワインを中心に渋谷の「CHOWCHOW」とも異なるLVISならではのラインアップが模索されている。グラス13〜16種類(1,100〜1,400円)、ボトル40種類(7,000〜13,000円)。
好きな時間帯に思い思いの使い方を

LVISは店内にカウンター席とテーブル席があるが、外にはテラス席もある。暑すぎない日や夜の時間帯は、代々木上原の街をより感じながら食事を楽しむことができる。

オープンから数カ月が経ち、最近は代々木上原に暮らす人以外にも話題となっているようだ。どんな時間帯でもシンプルでカジュアルな食事と自然派ワインを楽しみたい、そう思ったらぜひLVISに足を運んでみてほしい。
※価格は税込



