〈食べログ3.5以下のうまい店〉

おいしいもの好きのあの人に「食べログ3.5以下のうまい店」を教えてもらう本企画。今回はフードコラムリストとして活躍する門上武司さんに、江戸前寿司を土台に、京都らしさを科学的に加味する店を教えてもらった。

ネタと酢飯の一体感を追求

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

京都市営地下鉄四条駅から徒歩5分程度。蔵のある一軒家

京都・四条。高辻通から少し奥まったところにある「鮨 優羽」。2024年8月にオープンした寿司店だ。石畳のアプローチを歩き、扉を開けば、瀟洒な店内が広がる。カウンター6席のみで、ゆったりと作られている。

美しいカウンター。食事は基本的に18時半からの一斉スタート
 

門上さん

以前の修業先で面識があり、案内をいただいていたので訪問しました。

店主は1981年愛知生まれの小坂井朗至さん。食品に興味があり、大学では水産学を専攻。その後、企業へ就職し食品科学の研究員として、食品の基礎研究に従事。会社での業務が食品以外にシフトしたことがきっかけで退社し、飲食の世界へ入る。和食の料理屋で一通りの技術を学び、寿司屋へ。「1つに特化し、深く掘り下げる寿司の世界観が性に合い、もっと追求したいと思うようになりました」(小坂井さん)。

「ザ・リッツ・カールトン京都」や青山の「鮨ます田」で研鑽を積む。「鮨ます田」では江戸前寿司の味やネタに衝撃を受け、「自分の“お寿司像”となりましたね」と話す。その後京都に戻り、京都の寿司店で独立に向けての準備をし、2024年独立を果たした。

気さくでお話も楽しい、店主の小坂井朗至さん。「料理をどう組み立てたらよいのか、どうしてこうなるかなどは、科学の知識で見えてくることが多いんですよ」

「京都は食事の時間を楽しむ文化なので、リラックスして肩肘張らずに会話を楽しみながら過ごせる店を目指しました」と小坂井さん。寿司は学んだ江戸前寿司が土台だが、「例えば酢飯なら東京は酸味が強いので、京都好みにするために赤酢を加えてまろやかにしています」と柔軟さを見せる。また、「本来ベクトルが異なるネタと酢飯を近づけるために酢や塩を使うなどをして仕事を施しています。ネタと酢飯の一体感を感じていただけることが理想です」とのこと。その理想を実現するために、培った食品科学の知識を用い、どうしたらおいしくなるかを常に追求している。

 

門上さん

江戸前のスキッと洗練された寿司が味わえますよ。