〈これが推し麺!〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回訪れたのは、アートディレクターの秋山具義さんがおすすめする新宿西口の「らぁめん 満来」。近くで働くサラリーマンにも人気のお店だ。

1961年創業、行列の絶えない新宿の老舗「らぁめん 満来」

広々とした入り口
 

秋山さん

1961年創業のこちらは以前から気になっていましたが、今年の2月に初めて行きました。「チャーシューざる」を食べて、こんなに好みのものを今まで食べなかったことに後悔。その時に他のメニューで気になったのが「納豆ざる」で、再訪して実際に頼んでみると、納豆と卵のつけ汁のおいしさに感激しました。

カウンター15席の店内

創業者の高野晃一氏によって練馬区田柄で誕生し、その後中野店、新宿職安通り店、そして現在の新宿店へと移転してきた「らぁめん 満来」。自社ビルの建て替えで一時高円寺にて移転営業を行い、2007年12月より現在の場所で営業を続けている。カウンター15席に対し、1時間あたり50~60人、1日300~400人が来店するほど人気だ。

じっくり煮込んだスープ

スープは大山鶏などの鶏ガラをメインに、豚のゲンコツなどを加えて6時間ほどじっくり煮込んだもの。スープはチャーシュー用にも別で仕込んであり、こちらは鶏ガラ少なめで、ネギなどの香味野菜をたっぷりと使用している。

厚みのあるチャーシュー

チャーシューは、国産の豚肩ロースを使用。チャーシュー専用のガラスープで煮込み、創業時から継ぎ足されている特製チャーシューダレにくぐらせる。これらの麺、スープ、角切りチャーシューがすべてのメニューのベースだ。

醬油ベースのかえしは創業時からの継ぎ足し

「らぁめん 満来」で一番人気のメニューが、「チャーシューざる」1,800円。つけ汁には、ブロックメンマと輪切りの白ネギ、角切りチャーシュー、創業時から継ぎ足している醬油ベースのかえし、七味、鶏ガラスープが入っており、鶏油や葱油をまわしかけている。最後に230gものチャーシューを、つけ汁が見えなくなるほどトッピングして完成だ。

つけ汁を覆うチャーシュー

厚さ2cmほどはありそうなボリューミーなチャーシューは、ホロッとほどけるようなやわらかさ。豚の角煮やステーキのような食べ応えがありながら、醤油ベースのチャーシューダレと鶏ガラのうまみを吸ったチャーシューは、豚肉の滋味を引き立てる優しい味わいだ。そこに七味の爽やかな辛さ、穀物酢でさっぱりとした食後感になるよう調整されたつけ汁が加わり、最高のバランスを生んでいる。