〈New Open News〉

毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。早くもお店に訪問した食べログレビュアーのコメントも掲載!

レストラン ナズ(長野・軽井沢町)

KKO
黒米のアイスクリーム   出典:KKO’S FILMSさん

2025年6月、長野・信濃追分エリアにある人気のガストロノミーレストラン「レストランナズ」が、旧店舗から約150m離れた場所に新築移転オープンしました。新たな店舗では「料理と空間の一体感」をより強く打ち出し、ガストロノミー体験のさらなる進化を目指しているのだとか。

シェフの鈴木 夏暉氏は長野県佐久市出身。高校中退後、16歳で料理の世界へ飛び込み、地元・佐久のピッツェリアで4年間修業を積んだ後、単身イタリアに渡りました。ナポリピッツァの名店「Il pizzaiolo del presidente」、世界的なガストロノミーの殿堂・デンマークの「noma」でさらなる研鑽を積み帰国。2020年9月、「GREEN SEED 軽井沢」内に「Restaurant Naz」を立ち上げ、革新的な発酵技術と自然への敬意を融合させた料理で注目を集めます。2025年には「The Tabelog Award 2025 Gold」を受賞。名実ともに日本を代表するレストランの一つとなりました。

ガレットブルトンヌ
自然に溶け込むような外観   出典:ガレットブルトンヌさん

「料理と空間が一体となった体験」をテーマに、木や石、左官など自然素材を活かしたミニマルで静謐な設計が施されています。エントランスから続く静かな廊下は洞窟のような趣で、ゲストを非日常へと誘うよう。店内の窓からは軽井沢・追分の緑が見える設計で、自然光が差し込み、季節の移ろいを感じながら料理を楽しめます。

ガレットブルトンヌ
窓からは絵画のような景色を眺められます   出典:ガレットブルトンヌさん

店内には6~8名用と2〜4名用の部屋が2室あり、2組完全予約制。ランチ、ディナーともに1組2〜4名または1組6〜8名のグループ予約制となっており、プライベートで静謐な時間が守られています。

Chocotto
スイカのキッシュ   出典:Chocottoさん

提供されるのは、ワインまたはノンアルコールペアリングを含む「季節のおまかせ」64,900円のみ。料理は10~12品で構成され、軽井沢の冷涼な気候と清冽な水に育まれた旬の野菜やフルーツ、淡水魚を主役に据え、調味料や動物性脂肪に極力頼らず、発酵や熟練の技術を駆使して、滋味あふれる「再構築された自然の味」を表現しているそう。

IKKO
信州サーモン   出典:IKKO’S FILMSさん

たとえばシグネチャーの「信州サーモン」は、八千穂漁業のものを使用。北八ケ岳の良質な水で養殖されたサーモンは臭みがなく、上品な味わいです。約15日間熟成し、乾燥・燻製をした信州サーモンを2週間乳酸発酵させた蕪や発酵トマト・ザクロソースと共に提供。素材本来の力を引き出した、重層的なうまみと香りを感じられる逸品です。

ガレットブルトンヌ
とうもろこしの再構築   出典:ガレットブルトンヌさん

また夏季限定の人気メニュー「とうもろこしの再構築」は、新鮮なとうもろこしだけを使った乳製品不使用のアイスクリームに、発酵させたマンゴーやトウモロコシのキャラメル、クランブル、ナスタチウムの花、マリーゴールドのオイルを重ねています。朝採れのとうもろこしの香りを閉じ込めたような、香り高く革新的な一皿です。

コースには、ワインまたはノンアルコールのペアリング(9杯前後)が組み込まれています。特にノンアルコールのドリンクは、単なる代替ではなく、自家発酵果実やハーブティー、煎茶、柑橘、花のエッセンスなどを組み合わせたオリジナルの創作ドリンクとして高い評価を得ています。料理ごとに設計されたドリンクは、1皿ごとの世界観と呼応し、まさに「食と飲の一体化した演出」。それぞれが独立した作品でありながら、通して味わうことで一つのストーリーが浮かび上がります。

ガレットブルトンヌ
発酵ラズベリー、赤紫蘇、ダージリン、バラの蒸留水   出典:ガレットブルトンヌさん

レストラン ナズは、ただ「おいしい」を追い求めるレストランではありません。素材との対話、環境との調和、そして人の感覚に寄り添った時間の設計を通して「食とは何か」「感じるとはどういうことか」を問いかけてくる場所。予約は至難ですが、機会があればぜひ一度足を運びたい「体験型レストラン」です。

食べログレビュアーのコメント

IKKO
馬肉と玄米   出典:IKKO’S FILMSさん

『鈴木シェフの料理は計算され、まさにギリギリを攻めた料理の連続。それでいて全ての味わいや食感のバランスが秀逸で、次の皿が待ち遠しくなるワクワク感がある。

彼の修業先であるデンマーク気候は冬場が長く、夏でも気温が低めで野菜や魚がすぐ傷みやすい環境。

そこで北欧では、発酵、熟成、塩蔵、塩漬け、乾燥、燻製、貯蔵、燻香熟成などの技術が用いられてきた。まさに先人たちの生きる術である。

その技術を自然環境に対する向き合い方や暮らしの知恵に共通点がある長野県に持ち帰り、才能が爆発した。そしてさらにノンアルコールペアリングがまた素晴らしい』(IKKO’S FILMSさん)

ken39
信州サーモン   出典:ken39さん

『中でも出色の出来だったのが定番のスモーク
サーモン、毎回ソースが微妙に変わるが
今回の紫蘇を加え鮮烈な尖った酸味や旨みが
いつものQuinto Quarto Rossoの紫蘇っぽい
香りと合ってこれまでの最高。

メインの美ヶ原の仔鹿肉はミルキーながら
しっかり旨みに溢れカシスの仄かな香り
とChinonのワインの柔らかい味わいとピッタリ。

料理にかける凄まじい探究心と尽きること
のない創造、鈴木夏暉シェフは止まらない』(ken39さん)

※価格は税込。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

文:佐藤明日香