超人気中華の姉妹店と行列タコスの新店をスタンディングで

組み合わせの妙にうなる、創作中華

4月8日、ようやくお目見えしたのが渋谷の「立食 型破離」です。自由が丘で旋風を起こした「立呑み中華 起率礼」の姉妹店で、こちらもスタンディング。実は一度、2月21日に開店しました。しかしカウンターの配置や厨房に納得がいかず、いったん閉店して改めてのオープンです。

1階に人気立ち飲み「嚔(アチュー)」があるビルの2階ですが、店名通り型破りな店を目指したいということで、あえて看板は出さず。料理も和食出身の店主・正木勇貴さんが工夫を凝らした創作中華です。「空心菜の鰹昆布×貝出汁塩炒め」はムール貝が入っていてびっくり。「唐墨の黄金チャーハン」と共にいただくと最高でした。16時から23時までの営業なので、ゼロ次会にも締めにも活用できます。

空心菜の鰹昆布×貝出汁塩炒め

「立食 型破離」の動画はこちら!
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今なら穴場。在日メキシコ人も大満足のタコス

4月27日、恵比寿の渋谷橋歩道橋そばにオープンしたのは「タコス・トレス・エルマノス」です。本店は山中湖にあるのですが、昨年4月にオープンした原宿店は、7~8割が海外の観光客や在日メキシコ人などで大盛況。アメリカ経由ではない、本場の味がそのまま楽しめるという評判ゆえです。

幸いというべきか、こちらはまだ穴場状態。強くトウモロコシを感じる直径10センチほどの5枚のトルティーヤの上にどっさりと牛肉や豚肉のコンフィ、玉ねぎ、パクチーがのり、サルサがかかっています。これにライムをギュッと搾り、手がベトベトになることなどお構いなく、立ったまま齧り付く。肉の豊かな食感と、強い辛み、さわやかな酸味がたまりません。

カルニタス

渋谷の隠れ家エリアには大注目の中華が。宮益坂はラーメンの新店ラッシュ

渋谷で屈指の、大人のレストラン

先月お伝えした渋谷セルリアンタワーの裏側、桜丘町と南平台町の間の“グルメ坂”。3月10日、この坂の途中にオープンしたのが中華「蓮華(れんか)」です。オーナーシェフの後藤吾基秀さんは「筑紫樓」を経て「礼華」で16年。そのうち7年を青山一丁目の「中国料理 礼華 青鸞居」で料理長を務め、独立しました。

奥行きが広く、ゆったりしたカウンター7席と個室という空間。8,800円のコースをいただきましたが、金華ハムを削りかけたホタテと白腐乳の揚げワンタンや、やわらかい身とカリッとした皮目のコントラストが印象的な勝浦のキンメダイ、そしてスペシャリテである季節の野菜とカダイフものせた北京ダックなど、どれも美しく食欲をそそり、洗練された味。酒類も充実しています。プライベートにも会食にも適した、渋谷では屈指の大人のレストランではないでしょうか。

北京ダック

早くも話題の駅前おにぎりと、オリジナルメニューも作れるキンパ

宮益坂にラーメン開店ラッシュ

同じく渋谷の宮益坂には最近、続々と有名チェーンのラーメン店がオープンしています。昨年6月に「横濱家系ラーメン 川島家」が、そして今年3月10日に「どうとんぼり神座」、31日に「ラーメン魅力屋」、5月11日には「らーめん鴨to葱」とラッシュ状態。

そんな中、4月24日、渋谷郵便局先の路地にオープンしたのが「和牛らーめん 極」です。牛骨出汁の白湯スープで、飲み干せるやさしい味。玉ねぎのアクセントが利いていて、何より特注という、細麺の食感は素晴らしいものでした。しかし私が頼んだのは一番安い1,200円の「和牛らーめん」で、細切りのもも肉のチャーシューと甘辛く煮込んだすね肉のチャーシュー。恐らくこちらの真価は、大判の肩ロースのチャーシューが入った「和牛霜降らーめん」(1,350円)や「極上和牛らーめん」(2,450円)にあるのだと思います。

和牛らーめん

料理研究家が監修するおにぎり

おにぎりは相変わらず大人気ですが、4月29日には目黒の駅前におにぎり「こめ笑」がオープンしました。人気料理研究家arikoさんが監修しているだけあって、メニューは魅力的。

20種ほどの中から悩んだ末に、博多の味市春香なごみの具を入れた「焼き鯖カリ梅」と店員さんおすすめの「えのき南蛮味噌」、そしてインスタで気になっていた期間限定「絶品ローストビーフ」を。どれもバランスが良く満足でしたが、特にローストビーフは塩昆布とホースラディッシュのアクセントが絶妙でした。イートインもできて、オリジナルな豚汁は人気のようです。

絶品ローストビーフ、焼き鯖カリ梅、えのき南蛮味噌

オリジナルキンパが作れる

こちらはキンパです。4月27日、 麻布十番に22歳の女性店主が営む「REbeliy Kimbap(リベリーキンパ)」がオープンしました。

小料理店「麻布369」を昼に間借りして週4日間の営業です。「ノーマルキンパ」と「アボカドチーズ牛キンパ」をいただきましたが、味のベースは韓国出身の母親のレシピとのことで、穏やかなおいしさ。3種ずつあるメイン、お米と8種のトッピングを選んでオリジナルキンパも作れるようで、これも楽しそうです。

ノーマルキンパ、アボカドチーズ牛キンパ

REbeliy Kimbap
東京都港区麻布十番1丁目9−11 Cima Azabujuban 1F

文・撮影/大木淳夫

※価格は税込です

教えてくれた人

大木淳夫
『東京最高のレストラン』編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本『東京最高のレストラン』編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由』(堀江貴文)、『新時代の江戸前鮨がわかる本』(早川光)、『にっぽん氷の図鑑』(原田泉)、『東京とんかつ会議』(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、『一食入魂』(小山薫堂)、『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)など。 好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事、「料理レシピ本大賞」特別審査員も務める。『東京最高のレストラン2026』が12月に発売。10月に初の著書『50歳からの美食入門』(中央公論新社・中公新書ラクレ)を出版。

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