連載「今週のカレー」でお馴染み、カレーおじさん \(^o^)/のカレーな1カ月を振り返りつつ、翌月のカレーに備えようというこの企画。6月に出会ったのはどんなカレー?

【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】6月を振り返る

6月も沢山のカレーを食べました。流行の間借りカレーの中からまだあまり知られてない注目店、昔ながらの個性派喫茶店、個人的年間500カレー目を記念する為に遠征した茨城のスリランカ料理店、話題の行列店、そして復活を遂げたあの名店。
どのお店にも言えるのは、“妥協せずに手間暇かけて作っている”ということ。ルーを使わず一からカレーを作ることは、本当に大変な作業です。そこにこだわっているからこその美味しいお店なのでしょうね。そのようなお店が増えていってくれたら嬉しいです。

【第1週のカレー】1,000円以内で味わえる日本一のおいしさ「しまや」

「国産極上ロースカツ&豚バラ煮込みカレー」990円

 

久しぶりに想像を超えた美味しさのお店に出会いました。それは、川崎にあるスナック​間借りのカレー店「しまや」です。この日は、豚バラ煮込みカレーとキーマカレーのあいがけであるスペシャルカレーにロースカツトッピングでオーダー。最低限の火入れでほのかにピンク色をしたカツは、塩で食べてみればその甘味と​旨味が口の中を幸せに支配します。大きさは​それほどでもありませんが、これが400円でトッピング可能なのは奇跡的。儲け度外視のほぼ原価でしょうね。

 

​欧風カレー、カツカレー、洋食系カレーが好きな方ならわざわざ行って損の無いお店。カツカレーも色々な所で食べてきましたが、1,000円以内のカツカレーとしては“日本一の美味しさ”といっても過言ではありませんよ!

【第2週のカレー】昔ながらの喫茶店にこそ名物カレーあり「ロージナ茶房」

「ザイカレー」880円

 

喫茶店といえば昭和の時代に長時間営業の飲食店として様々なスタイルで重宝された存在。昔ながらの喫茶店​の名物メニューがカレーである確率も、なかなか高いんです。東京・国立で昭和28年から今も続いている喫茶店「ロージナ茶房」もまさにカレーが名物。「ザイカレー」という名前も個性的なカレーは、確​かな辛さ、ほろほろに煮込まれたビーフの甘味、トマトのほのかな酸味、ピクルスやゆで卵といった添え物との相性の良さなど、様々​な要素がバランス良く重なっていて、立体的な深みのある時代を問わない美味しさです。基本が大盛りであることも、愛される大きな理由のひとつでしょう。

 

また、コーヒーやレアチーズケーキが昭和スタイルの優しい​美味しさなのも嬉しい所。お店は広く、接客も素敵で、長時間営業。平成の次の時代になっても、さらにその次の時代になっても、​いつまでもこのままのスタイルで続いてほしいお店です。

【第3週のカレー】片道2時間かけても食べに行きたいスリランカ料理の名店「バナナリーフ」

「バナナリーフセット」1,500円(税抜)

 

毎日カレーを食べ続けて約12年、年間のカレー食数も、ここ数年は1,000を超えているのですが、今年も6月前半にして500食を超えてしまいました。普段は仕事場の近くや通り道のカレーなどを食べ歩いているのですが、総食数の100きざみの時は​自分の中の記念ということで、確実に好きなお店に行くことにしています。

 

そして今年の500カレー目に行ったのは、茨城県・荒川沖駅から​徒歩20分ほどの場所にあるスリランカ料理の名店バナナリーフです。この日いただいたのはバナナリーフセット。日替わりの野菜​カレー3種と、メインのカレーをセレクトするスタイルで、今回はマトンを選びました。ここのマトン、しっかりとしたスパイス感によっ​て肉の臭味は完全に消え、旨味だけが強調されていてパンチの効いた美味しさなんです。それに合わせる野菜カレーはどれも優しい美​味しさ。荒川沖駅は牛久大仏へ行くのにも便利な駅。牛久大仏もおすすめスポットです。荒川沖でバナナリーフのスリランカカレーから、牛久​大仏観光。都内からの日帰り小旅行におすすめですよ!​

【第4週のカレー】誰もが胃袋掴まれるガンコ店主の優しいカレー「吉田カレー」

「中華アチャール」150円、「キーマ」「豚」各350円をトッピング。カレーは小700円〜大900円

 

カレーマニアなら誰もが知る人気店「吉田カレー」。味の良さもさることながら、個性的なスタイルのお店としても有名です。入り口のシャッターが半分しか開いていない、独自のルールがあってそれを破ると叱られるなど、頑固店主による怖いお店と思われていることが多いよ​うですが、僕から言わせてもらえばそんなことはありません。

 

実際に吉田カレーのカレーはとても優しい美味しさなんです。フルーティーな甘味のあるカレー、ジューシーで奥深いキーマはどちら​も優しく、その2つが合わさると旨味の相乗効果でさらなる美味しさへと昇華します。個人的​におすすめしたいトッピングは、中華アチャール。アチャールとはインドのスパイス漬物的なものなのですが、その中華的アレンジ。カ​レーと混ぜて食べるとスパイス感と酸味が加わり、味がビシっと引き締まります。自分の好み次第で味をカスタムできるのが吉田カレ​ーの魅力です。リスペクトの気持ちを忘れずに行けば、優しい美味しさのカレーが食べられることは間違いありません!

【第5週のカレー】常連の熱い思いによって名店復活「FISH」

ランチメニューの「白身魚&キーマカレーライス」1,350円(税込)

 

失って初めて、大切なものや人の存在に気づく。そんなことありますよね。僕にとっては、かつて六本木一丁目にあった「FISH」がそう​でした。古くからの人気店でしたが、2017年6月に閉店。閉店直前にその知らせを知ったものの、多忙な時期だった為に行く時間を作ることができ​ず、「あぁ、もう一度食べたかったなぁ」と、その偉大さに改めて気づかされて。​同じように思う方も沢山いたのでしょう。特に常連さんならその思いもひとしお。そんな常連さんの中から熱意ある人が「引き継がさせてください!」とマスターに頼み込み、1年の修行を経て、2018年6月に西武新宿駅近くにめでたくオープンとなった新生FISH。

 

僕が一番好きだった「白身魚&キーマカレーライス」は、フリッター状でサクっとした衣の中にフワっとした​白身魚が、マイルドでありながらスパイシーなカレーと合わさる個性的な美味しさ。キーマのしっとりした舌ざわりはまさにFISHの味。​当時のファンはもちろん、かつてのFISHを知らない方も、要注目の新店ですよ!

取材・文:カレーおじさん \(^o^)/