赤坂Bizタワーの韓国料理レストラン「SMT Tokyo」が、2018年7月にメニューを一新してワインリストが大充実! ワインのセレクトを手がけたのはワインスタイリストの藤崎聡子さん。韓国料理に合うのはどんなワイン?

知るほどに奥深い。韓国料理×ワインのコンビ、ベスト4皿

「SMT Tokyo」では韓国料理とワインのペアリングを勧めている。メニューのリニューアルに携わったワインスタイリストの藤崎聡子さんが、おいしい組み合わせを指南!

韓国料理に合うワインは、白、スパークリング、ニューワールド

「韓国料理と相性のいいワインを選ぶプロセスでは、たくさんの発見がありました」と話す藤崎さん。韓国料理の辛さは単一ではなく、料理によって旨味、酸味、甘味、塩味などがそれぞれ違う。「キムチひとつとっても、ヤンニョム(調味液)に長時間漬け込むと深い味になり、さっと和えれば浅漬けのような酸味を楽しめます。キムチにはこのワイン、と単純には言いきれないのです」

 

その結果、ワインリストにはさまざまな国のワインが揃った。スパークリング、白、赤のボトル約20種、グラスワイン約10種ほどを用意している。「韓国料理は、深みがありアタックにくる旨みが特徴。それを引き立てられる白ワインとスパークリングワインを多く取り揃えました。酸味の強いものより、ブレンドや熟成による複雑味を持つワインが合いますね」

 

さらに、ニューワールドのワインに相性がいいものが多いという。ニューワールドとは、アメリカ大陸やオセアニアなど、ワイン生産の新興国を指す。「ニューワールドのワインは、果実の熟成感がしっかりしているので韓国料理と合わせやすいですね。早いヴィンテージのものでもおいしいですし」と藤崎さん。ワインというと難しく考えてしまいがちだが、「気軽に楽しんでほしいですね。氷を入れて飲んでもいいんですよ」と心強いアドバイスをくれた。

プルコギを包んだパイには、香り豊かな白のブレンドワインを

「プルコギパイ(3個)」600円、白ワイン「パインリッジ・シュナン・ブラン・ヴィオニエ」グラス800円

 

「SMT Tokyo」のオリジナル料理で、焼きたてのパイの中身はなんとプルコギ! 自家製パイ生地のサクサク感、甘辛く味付けされた牛肉、添えられたトマトソースの酸味など、多彩な味と食感を一皿のタパスで楽しめる。アツアツをほおばりたい。

 

ワインはカリフォルニア産の白をチョイス。シュナン・ブランとヴィオニエのブレンドで、軽やかさと華やかさ、花のような香りを併せ持つ。「プルコギパイのパイ生地の甘味とバターの風味には、単一品種のワインより複雑味のあるブレンドワインが合うと思います」

名コンビ!四川料理の辣子鶏×シャルドネのスパークリング

「辣子鶏(ラーズージー)」1,850円、スパークリングワイン「トッレゼッラ・ブリュット・シャルドネ」グラス800円

 

シェフが得意だという中国・四川料理の辣子鶏(ラーズージー)。骨付き鶏もも肉の唐揚げを、唐辛子、花椒(ホアジャオ)、ニンニクとともに一気に炒めている。ただ辛いだけでなく、花椒のピリッと舌が痺れる風味が心地よく、アレンジで加えられたフレンチフライが他にはないおいしさ!

 

「かなりスパイシーな料理なので、メリハリのある泡を合わせました」と、藤崎さんが選んだのはシャルドネ100%のイタリア産スパークリングワイン。ガツンと強いインパクトの四川料理に、キリッと冷えたシャルドネのスパークリングは間違いのないコンビネーションだ。

宮廷料理風のプルコギ×ブルゴーニュ産シャルドネの安定感

「プルコギ」2,500円、白ワイン「ジョセフ・ドルーアン・ブルゴーニュ・シャルドネ」グラス800円

 

韓国の宮廷料理をイメージしたプルコギは、彩り豊かな生野菜が主役級の一品。大根、パプリカ、キュウリ、タマネギ、千切りレタスのさまざまな味・香り・食感を、上品な甘辛さの自家製醤油ダレに漬けてグリルした牛肉に絡めて味わおう。

 

合わせるワインは、フランス・ブルゴーニュ産のシャルドネ。「酸味と穏やかな果実味が、プルコギの甘辛いタレにも、生野菜のそれぞれの味にも合います。正統派のフランスワインは味が安定しているのも魅力ですね」

ソーヴィニヨン・ブランの泡でボッサムギョプサルをさっぱり味わう

「SMT Tokyoスタイル ボッサムギョプサル」2,500円、白ワイン「インヴィーヴォ・スパークリング・ブリュット・ソーヴィニヨン・ブラン」グラス800円
※「SMT Tokyoスタイル ボッサムギョプサル」はタパスもあり。お試しプレート600円

 

豚バラ肉を焼くのがサムギョプサル。でも、これは茹で豚肉のポッサムにも近いような……。「SMT Tokyo」のオリジナル、ポッサムギョプサルの味と食感の秘密は低温調理。柔らかくて食べやすく、しかもローストポークのようなジューシーさを味わえる。ヤンニョムを和えただけのコッチョリキムチ、大根の千切り、酸味の強いミョンイナムル(行者ニンニクのナムル)、セウジョッ(アミの塩辛)と、個性あふれる付け合わせが添えられ、好みの組み合わせを探すのも楽しい。

 

ポッサムギョプサルに合うワインは、ニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランのスパークリング。「ポッサムギョプサルのジューシー感と、付け合わせの特徴的な味わい。それぞれを意識して、まとめ上げてくれるスパークリング。キレのある酸味に華やかさが加わり、かつアタックもしっかりしています」。爽やかな香りと口当たりが、夏にもぴったりのワインだ。

 

※ボトルワインは、5,200円〜
※表示価格はすべて税別

モダンかつスタイリッシュな空間で楽しむ、韓国料理とワインのマリアージュ

1階はカジュアルダイニング、2階はゆったりと食事ができるファインダイニング。エンターテインメントの要素が強いレストランながら、本格的な韓国料理を提供している。スターターには韓国料理を小さなポーションで味わえるタパスが約15種、メインにはサムギョプサル、春川タッカルビ、梨泰院プデチゲなど、定番人気の韓国料理が揃う。ドリンクは韓国料理に合うワインを中心に、韓国ビール、マッコリ、韓国焼酎、日本酒などバラエティが豊富。

 

2階には、カウンター(写真上)、テーブル(写真下)、個室がある。上品なスモーキーピンクを基調に、ポップなインテリアでまとめられている。週末は予約でいっぱいになることもあるので、事前に確認を。来日中の所属アーティストもプライベートで訪問することがあるそう。

 

1階にはテラス席も用意。通りに面した外壁はガラス張りで明るい。

 

PROFILE

藤崎聡子(ふじさき・さとこ)

ワインスタイリスト。2009年、ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。

写真:安彦幸枝

取材・文:根本聡子