鍋だけではなく串も楽しめる! 13,200円コースをご紹介

串ものは炭火で優しく、丁寧に焼き上げる

コースの内容は季節でも変わるが、前菜や和食の一品、小籠包などの自家製点心、鶏の炙りたたき、季節の野菜、焼き鳥5種、鍋、揚げ物、ラーメン、デザートと盛りだくさんだ。このほか追加でその日の串などもオーダーできる。

信玄どりの「ねぎ間」。香ばしく焼き上げたねぎがいいアクセントに

焼き鳥は肉のしなやかさがいいという「信玄どり」をメインに、「東広島こい地鶏」「阿波尾鶏」、出身地青森の地鶏「青森シャモロック」などを使い分けている。
肉を労わるようにゆっくりと火入れするので、信玄どりのねぎ間はふんわりと空気を含んだように肉が柔らかく、噛みしめるとジューシーだ。

香ばしく、うまみの余韻が長く続く「セセリ」

弾力があるセセリは噛むと歯切れがよく、濃厚な脂がジュワッと染み出る。塩でさっぱりと仕立てているのでうまみをダイレクトに感じさせてくれる。

とろりと口の中に広がる「チョウチン」

きんかんの濃厚な味が特徴のチョウチンはタレで。醤油とみりんでさっぱりと仕込んだこの店のタレが絡むとしつこくない上品な味になる。

ついにお待ちかね!「山椒鍋」の登場!

吟味した昆布と鰹節でとった黄金の出汁を使う

コースの主役である鍋は予約時に3種類から好きなものを選んでオーダーする。オープンからしばらくは「とり鍋」「山椒鍋」「鴨鍋」が用意されているが、中でも人気は「山椒鍋」。和歌山の山椒をたっぷり使った爽やかなスパイシーさが魅力で、ももむね、つくねという3種類の鶏肉に、おかひじきやせりなど個性の強い野菜を組み合わせたここだけのオリジナルだ。

目の前でダイナミックに作る鍋も見どころ

最初に、丹波産のしめじや福島のジャンボなめこなど、きのこ類を投入しおいしいエキスをスープに溶け込ませる。

最後は根っこがおいしいせりをたっぷりと入れてサッと煮る

香り高いせりが食欲をそそる鍋は、出汁に野菜や鶏のうまみが溶けだし、重層的なスープのおいしさと広がる山椒の青い風味がたまらない。

お椀に一人ずつ取り分けて提供する。希望すればお代わりもOKだ
たっぷり具が入った、食べ応えある熱々の「山椒鍋」

〆まで抜かりなし!

スープと相性がいいストレートの細麺を合わせている

選ぶ鍋によって締めは変わる。雑炊にすることなども可能だ。

〆の一例の鶏出汁のラーメンは、小サイズで具のないシンプルなもの。しかしながら雑味がなく、コラーゲンを飲むようなトロリと濃厚なスープが存在感十分だ。このスープは10数羽分の丸鶏のガラや仕込みで出る端肉などを十時間以上煮込んでとっている。

看板は書道家からの贈り物で、出身地青森県の桧葉(ヒバ)の木を使っている

焼き鳥と鍋を軸に中華の点心や和風の逸品など、緩急をつけて繰り出されるおまかせコースで、おいしいもの好きを魅了するこちら。予約は電話のみだが、オープン直後から食通が通うだけに年内はほぼ満席という。どうやら狙い目は来年以降といえそうだ。

文:岡本ジュン、食べログマガジン編集部 撮影:片桐 圭