【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#201】「putiysani (プチシャニ)」

浅草と言えば浅草寺周辺が世界的な観光地として有名で人気の飲食店も多いのですが、その人気店の方々や地元の通の間では観音裏と呼ばれるエリアの方が、レベルが高い飲食店が多いと言われ、僕自身もその観音裏と、そこからもう少し範囲を広げた奥浅草エリアに数年前から注目しています。

2024年11月10日に田町から移転オープン

今回ご紹介する「putiysani(プチシャニ)」は、その奥浅草エリアで2024年11月10日に田町から移転オープンしたお店。

落ち着いた雰囲気の店内

観光地の喧騒を離れた住宅街のただなかにあり、落ち着いた雰囲気の店内は陽光も差し込んでほっこりとくつろげる空間。カレーのみならずタコスもあって気になり、まずは「タコス」450円を。具材は日替わりで黒板メニューから牛すねを選んでオーダーしました。

「タコス」

手のひらサイズのタコスはトルティーヤの上に牛すねとたっぷりの野菜。牛すね肉の重厚感と野菜の爽やかさが融合して、お酒のおつまみとしてもカレーの前菜としても機能するようなメニューです。

この日のカレーは2種類。バターチキンとポークビンダルーでした。あいがけも可能ということで「本日のカレー合いがけ」1,600円をご飯少なめでオーダー。

ご飯少なめでオーダーした「本日のカレー合いがけ」

まずバターチキンを食べてみるとインドネパール系やカフェなどの甘みあるバターチキンとは一線を画した仕上がり。甘さは抑えられ、バターのコクを程よく感じるグレイビーがジューシーなチキンに絡み、個性あるおいしさです。

バターチキン

続いてポークビンダルーを食べてみるとこれにさらなる個性を感じました。酸味が一般的なポークビンダルーと違い、ほのかな甘みと苦みも感じ、塩味とうまみも含めた五味を酸味がつないでいるような調和の取れ方。聞いてみると沖縄のもろみ酢を使い、隠し味に奄美の黒糖焼酎を使用しているそうで、だからこその個性あるおいしさなのかと納得しました。

ポークビンダルー

デザートに「キャロットケーキ」450円を「ジブラルタル」500円と合わせて。しっかりしたテクスチャの中にナッツも入り食感の楽しいシンプルなキャロットケーキ。

「キャロットケーキ」

ジブラルタルとはジブラルタルグラスを使用したミルクコーヒーなのですが、ミルクの甘みが活きる温度となっていてケーキもコーヒーもどちらも優しく自然な甘みだからこその一体感がありました。

「ジブラルタル」

何を食べても飲んでもおいしいお店ですがシェフは代々木のハンバーガー専門店で11年間働いていた中、マンネリ化したまかないの気分を変えようと近くのお店に食べに行くようになり「ライオンシェア」と「スパイスポスト」に出合ってカレーの魅力にハマり、そこから独学でカレー作りを始めて遂にはカレー屋で独立したとのこと。

自由な発想は、カレーではない飲食店出身だからこそであり、10年を超える経験があるからこそのレベルの高さ。そして何よりセンスが良いのでしょう。センスの良さは店名にも表れており、どこの国の言葉でもない造語なのですが、独立前にポップアップ出店をした際に流れていた曲名から連想し、感覚で名付けたというその名も他にない個性を感じます。

取材日のメニュー

メニューは日替わりですがカレーに関してはしばらくバターチキン、ポークビンダルー、キーマの中から2種、タコスはカルニタスと海老を中心に数種用意するつもりとのこと。

このお店を目掛けて行かないと気づかないような場所にありますが、わざわざ行く価値のあるお店です。特にスパイスカレーが広まり、ある意味でマンネリ化も感じる昨今のカレー業界において、確固たる個性を持ったプチシャニの料理にはこの状況を打破してくれる可能性も感じます。

飲食店レベルの高い奥浅草において、そのレベルをさらに高めていってくれそうな新店です。

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部

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