〈今夜の自腹飯〉

予算内でおいしいものが食べたい!

食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?

教えてくれる人

門上 武司

1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会副理事長、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「食べる仕事 門上武司」「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)、「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、など。年間外食は1,000食に及ぶ。

現地の味をブラッシュアップ

大阪メトロ本町駅から徒歩5分ほど。イタリア直輸入の外壁用タイルに黒い鉄の門と素敵なステンドグラスの扉が目印のバスク料理店がある。“家に招待した雰囲気”をコンセプトにしたという木の温もり溢れる店内は、欅の一枚板のカウンターがメインで、奥にはテーブル席も。なんといっても目をひくのは、アンティークのレンガを用いたオリジナルの石窯だ。この石窯はアルゼンチンスタイルの焼き台で、シェフがアルゼンチンに3年修行した時に得た技術も活かしたオリジナルのアサドールである。2016年の開店以来、関西のスペイン料理界を牽引し続ける。

落ち着いたビジネス街の中にある
おすすめは8席あるカウンター席

シェフは奈良県出身の山本嘉嗣さん。アルゼンチンで3年、スペイン・バスク「アラメダ」で3年経験を積み、大阪のバスク料理店で5年シェフを務めた人物だ。「バスクで学んできた料理をブラッシュアップさせています。最近では料理イベントでのフェアのために、自分ならではの料理がより増えてきていますね」

シェフの山本嘉嗣さん
 

門上さん

オーナーシェフの山本さんを、以前シェフを務めていた「エチョラ」時代から知っており、独立された際にすぐに出かけました。薪の炉の威力に感動しました。

料理はコース1本。繊細な前菜から、豪快なメインの薪炭焼きまで、すべてを山本さんが一人で取り仕切る。アサドールの前でよどみなく動くシェフの姿を見ながら料理の仕上がりを待つひとときも、この店の魅力なのだ。

山本さんの動きを見たり、話したりするのもごちそう
 

門上さん

迫力あるスペイン料理と、繊細な料理の双方を味わえます。