生き残りをかけた焼肉の味付け合戦

味付けは塩オンリー

8月26日、五反田にオープンした「塩焼肉あぐら」は店名通り、味付けは塩一択という潔いお店です。もちろん飽きないように、部位ごとにニンニクやソースなどをブレンドしてアクセントをつけています。付け合わせでガリが出てくるのですが、この相性も抜群。そして基本のコンセプトが“ビールとご飯に合う焼肉”なので、濃いめの味付けになっています。カウンターのみなので、ひとり焼肉もいいかもしれません。

ビールはぜひサッポロの瓶を。凍るギリギリ、-5℃で冷やしているので最初の一口は目の覚めるような冷たさ。そこから徐々に落ち着いてきて、温度変化でビールのうまさを実感できます。

五反田タロウ
「塩タン」   出典:五反田タロウさん

あふれるオリジナリティで早くも人気店に

渋谷には7月10日、「京焼肉 京之介」がオープンしました。おすすめの「出汁ロース」は、表裏5秒ずつ焼いたロースに温めた出汁をかけて食べるというもの。他にもとろろ入りの出汁にからめて食べる「京之介焼き」や「上ミノアヒージョ」など、工夫を凝らしたメニューが並びます。席は全て個室、もしくは半個室。

渋谷はカジュアルな焼肉の激戦区でもあるので、ニーズを満足させつつ、オリジナリティを突き詰めなくてはならないので大変です。こちらはそのポイントを押さえているからか、女性を中心に賑わっていました。

「京之介焼き」
「京之介焼き」   写真:お店から

気軽にお酒と楽しめる本格スペイン料理&中華

さながらサンセバスチャンのバルのよう

7月25日、恵比寿のビール坂にオープンしたのはスペイン料理店「LA BRETXA(ラブレチャ)」です。美食の街として有名なスペイン・サンセバスチャンをイメージしていて、まさに雰囲気はスペインのバル。

オーナーがスペイン・パエリア協会公認の「パエリア師」で、中目黒「スペイン料理Pablo」などを経営する由利拓也さんだけに、パエリアは必食でしょう。「窯で軽く炙った赤海老のパエリア」をいただきましたが、レア気味の海老とのコントラストが絶妙で納得のおいしさ。個人的にはフライドポテトと生ハム、目玉焼きをガシッと絡めて食べる「エストレジャードス」がたまりませんでした。

おさけとぐるめ
「窯で軽く炙った赤海老のパエリア」   出典:おさけとぐるめさん

麻婆好きは注目!

8月28日、 明大前にオープンした中華「麻婆STAND明大前」は、高井戸の人気店「高井戸麻婆Table」の姉妹店です。線路沿いの人通りの少なそうな小道にあり、手作り感満載の店内は簡素。一瞬心配になりますが、スタンドと名乗るだけあって、テイクアウトは単品からお弁当まで充実。ランチで訪れて汁なしの麻婆麺をいただきましたが、追い飯も付いてきて大満足でした。

そして恐らくこちら、夜も楽しいのではと。お酒のメニューがたっぷりあり、メンマ辣油、水餃子、麻辣フライドポテトなどおつまみもおいしそう。最近いい店が増えてきた明大前ですが、新たな注目店が加わりました。

「麻婆麺」と追い飯 撮影:大木淳夫

渋谷には今月も注目のビストロとバルがオープン

使い勝手の良いビストロがまた一つ渋谷に

9月1日 、渋谷・百軒店商店街の奥にはビストロ「道玄坂 バンバン」がオープンしました。人気の「かしわビストロバンバン」「リゾットカレースタンダード」の姉妹店だけに、魅力的な店造りはお手のもの。場所からして隠れ家っぽいのですが、今までの店より少しターゲットの年齢層を上げて、照明を抑えた店内は落ち着いた雰囲気が漂います。

メニューは「名物」と書かれた「北海道産炙りホタテとたっぷりいくらの海の幸リゾット」やアンチョビトマトソースを敷いて、チーズをたっぷりすりかけた手羽先餃子など、なじみの料理にひと工夫を加えたものが多く、締めにはおなじみ「リゾットカレー」も。ニーズが高そうです。

「北海道産炙りホタテとたっぷりいくらの海の幸リゾット」
「北海道産炙りホタテとたっぷりいくらの海の幸リゾット」   写真:お店から

気の利いた料理を、カジュアルなワインとともに

8月17日、渋谷のさらに奥、駅としては神泉の方が近い路地には、イタリアンワインバル「ANDs.」がオープンしました。カウンター10席と4人掛けテーブルが2卓。入口付近では立ち飲みもできます。こちらはメンバーが面白い。税理士のオーナー、シェフ、モデルとしても活躍するサービスの3人は、かつて原宿にあった有名店で共に働いた仲。8年の時を経て再び集結しました。いい話です。

黒板のおすすめ料理は魅力的で、山のようにシラスがかかったペペロンチーノや、なかやま牛のグラタンバーグ、鹿肉と猪のソーセージなどお酒を呼ぶメニューが並びます。あえてナチュラルにはこだわらず、カジュアルな値段を心がけたワインが揃っているので、安心してがぶ飲みしてください。

「しらすと香味野菜のペペロンチーノ」 撮影:大木淳夫

相変わらず元気なおにぎりと韓国料理

あの「峠の釜めし」がおにぎりに!?

8月8日、笹塚駅直結の「京王クラウン街笹塚」にオープンした「おこめ茶屋 米米-めめ-」は、駅弁「峠の釜めし」で有名な「荻野屋」の新業態のおにぎり屋さんです。特徴はなんといっても、あの茶めしをおにぎりにしていること。これでおいしくないわけがありません。

“駅弁おむすび”の「めめセット」は茶めしと信州味噌のおにぎりに唐揚げ、たくあん、卵焼き、杏がついて食べ応え十分。「秘伝だしの昆布」「炙り鮭」なども具がたっぷりで、激戦のおにぎりジャンルを勝ち抜けそうな味でした。早くも人気で18時ごろには売り切れてしまうようです。イートインでは「峠の釜皿定食」という、これまたそそられるメニューが用意されています。

「めめセット」「秘伝だしの昆布」「炙り鮭」 撮影:大木淳夫

韓国の人気食ブランドは、家の食卓も豊かに

9月3日、新橋に韓国料理「bibigo Market(ビビゴ マーケット)」がオープンしました。韓国の人気食ブランドbibigoのお店ということでうかがったのですが、残念ながらランチとディナーの間のカフェタイムでフードはオーダーできず。とはいえ店内にはテイクアウトできる商品が大量に並んでいて、思わず買い込んでしまいました。

各種マンドゥ、キムチ、韓国海苔、冷麺、ユッケジャンといった定番から、人気のハットク、ヤンニョムチキン、さらに調味料のダシダまで多彩で、眺めているだけでも楽しくなります。イートインの席はWi-Fiとコンセント完備。覚えておくといいお店でしょう。

店内には冷凍、冷蔵食品からレトルト、調味料まで数十種が並ぶ 撮影:大木淳夫

文:大木淳夫