【噂の新店】MY PICNIC

東京メトロ南北線と都営三田線が乗り入れる白金高輪駅を出ると、南北に延びる国道1号線を左右に見渡すことができる。商店街や観光スポットがあるわけでもないので、桜田通りを駆ける自動車の音を除けば静かだ。
白金高輪駅直結の建物内から、松ヶ丘方面へ行くためのエレベーターに乗る。そうすると、5階まで上がってきたのに平地に出る。起伏に富んだ土地のおもしろさを感じつつ「MY PICNIC」のアトリエを目指す。

いわゆる“閑静な住宅街”だ。アトリエを探して歩いていたら、向こうからドーナツを片手に持って、にこにこ笑顔で食べながら歩いてくる2人組がやってきた。
ということは、そっちの方向だな。
すると、今度は袋にたくさんのドーナツを持った人がやってきて、その袋の中からドーナツを取り出し食べはじめた。みんな買ったそばから食べている。すぐに食べずにはいられないドーナツなのだ。
しかし店は見当たらない。

そうしたら、茶色いタイルの建物から3人組のマダムが「こんな素敵なお店があるなんて知らなかった〜!」と、楽しそうに出てきた。
あ、こんなところに「MY PICNIC」!
できたて! 新鮮なドーナツが食べられる

お店に入ると木製のカウンターに、ドーナツや焼き菓子がずらりと並ぶ。ドーナツはいろいろな表情をしていて、まるで小さな子が集まってコソコソおしゃべりしているような、私にはそんな風に見えてかわいい。

店舗を持たず、ドーナツの注文を受けて作って配達するという販売方法が「MY PICNIC」のスタイルだった。これは現在も主な営業スタイルとして継続している。
だんだんと同店のドーナツを食べられるお店も増えた。でもドーナツ好きなら、できたてのドーナツが食べたいでしょ?
白金高輪のアトリエは「MY PICNIC」ファンにとっては待望の実店舗。
オーナーの山田 千佳子さんは「できたてを食べてほしい」という強い思いがあった。ドーナツは揚げ物なので鮮度が大切。できたてがおいしいことは、ドーナツを揚げている人が一番よく知っている。
アトリエは、作ったばかりのドーナツを前にして、みんなが笑顔になる場所となった。山田さんはまるでお母さんのように「早く食べて!」と言いたくなってしまうそうだ。
まずはこれから。定番メニュー「シナモンシュガードーナツ」

「シナモンシュガードーナツ」500円。あぁ、いい香り。表面はカリッカリで香ばしい。ドーナツにはあまり使わない言葉だが、できたてでフレッシュだ。中は黄色く、しっとりとほわほわ、幸せなやわらかさ。ほわっと優しい甘さのドーナツに、サリサリした砂糖とシナモンがよく合う。

山田さんは、南青山にあった人気店「カフェ クレッセント」でドーナツやプリンを作っていた。クレッセントでは、山田さんのドーナツを「宇宙ドーナツ」と呼んでいた。
楽しい仲間が集まるお店で、皆が面白がってつけた名前だとか。クレッセントの頃からの客も多い。
季節限定のドーナツもお見逃しなく

季節限定の「シュガーグレイズドドーナツ」500円は、乳白色のグレイズがたれている様子をしばし楽しく眺めてからパクリと食べる。
グレイズのサクサク感、表面を包み込む甘さに「こういう甘いのが食べたかった」と、“ドーナツはグレイズ派”なら、ほくそ笑むだろう。中身のやわらかさが、より際立つようだ。

こちらも季節限定メニュー。「レモンカルダモンドーナツ」600円は、スパイス好きならグッとくるはず。爽やかなレモンの風味に、エキゾチックな香りが通り過ぎていく。スパイシーで余韻が残るドーナツだ。
