
〈秘密の自腹寿司〉
高級寿司の価格は3~5万円が当たり前になり、以前にも増してハードルの高いものに。一方で、最近は高級店のカジュアルラインの立ち食い寿司が人気だったり、昔からの町寿司が見直されはじめたりしている。本企画では、食通が行きつけにしている町寿司や普段使いしている立ち食い寿司など、カジュアルな寿司店を紹介してもらう。
稲荷神社の鳥居を目印にしたい、気のいい店構え

大人が通ういい店が多い半蔵門駅から近い、平河町エリア。平河天満宮、稲荷神社の目の前という、何とも気のいい立地に店を構える「鮨 秀とら」が今回の目的地。しゃれたエントランスを入ると、モダンシックな黒壁と白木のカウンターが広がり、寿司への期待を高めてくれる。


山本憲資さん
清潔感があって、大将の接客も気持ちがいい、教えたくないけど教えたくなる、お気に入りのお店です。
2021年にオープンし、6年目を迎える「鮨 秀とら」。屋号は名前ではなく、以前そば店だった店主の秀さんから1文字継承したそう。大将の大石栄さんが握る寿司は、江戸前寿司スタイル。長年「際コーポレーション」で日本料理の料理長を務め、中華料理も経験。京都をはじめ、ホテルの立ち上げや寿司の顧問に携わってきたという、確かな経歴を持つ。長崎に生まれ、出身地である九州の食材も多く使用するため、上質な旬の食材を求めて豊洲まで自転車で行くことも。いい食材が届くとワクワクし、とにかく「仕込みも大好き」と語る、大将の人柄のよさと寿司への熱量が伝わってくる。

大石さんは、15歳から寿司職人として活躍。40年以上やっていても「わからないことだらけ」と、探求心にゴールはない。大将にとっての寿司とは、“寝かしたり、育てたり”まるで子供のような存在。この日届いた、新潟県佐渡産の「やま幸」のまぐろは、1本なんと136.7kg!

山本さん
何かで知って、高すぎないのによさそうなお店だと思って、お財布にもやさしく、クオリティも高いなぁと感心しました。

前菜は季節によって旬の食材が変わる、豪華なプレート。日本料理出身の大将による、細やかな仕込みや仕事が際立つ料理の数々がずらり。写真左上から右に兵庫県産牡蠣、あん肝の奈良漬け、熊本県産ぼたん海老の紹興酒漬け、真ん中から右に、トマトとやりいかのマリネ、あじのなめろう、筍の土佐煮、左下から右に、ほたるいかの酢味噌和えとこしあぶらの山菜添え、さざえ、枝豆(料理は、江戸前鮨コース14,850円から)。


山本さん
9種の酒の肴が豪華です。その中でも「なめろう」がとてもおいしくて! 印象に残っています。

「あじのなめろう」は高知県産の地あじに、ふきのとうの味噌を和えた、春を感じる一品。夏の肴には、青柳などの貝類が登場する予定。