【第4週のカレーとスパイス】注目の民家カレー店が誕生! 流浪の料理人が都立大学に待望の新店をオープン「OI 思惟 C Tokyo」

2024年7月25日に東京・都立大学の地で隠れ家ビーチハウスレストランというコンセプトを掲げて開店した「OI 思惟 C Tokyo」。オイシーシートーキョーと読みます。

「OI 思惟 C Tokyo」。読み方の正解は、オイシーシートーキョー。

こちらのマスターと出会ったのはもう20年以上も前。御徒町で会員制のダイニングバーを切り盛りしていた頃でした。そのバーの看板メニュー的存在だったドライカレーと、何よりマスターの気さくで飄々としつつも優しくて楽しい人柄に惹かれて通うようになりました。そのバーを閉めた後に千駄木で「スパイスミックスドアップ」という古民家カフェバーを開店。その後駒込に移転したものの閉店し、しばらくは流浪の料理人としてご自身のお店を構えていなかったのですが、この度本当に久しぶりの再スタートを切った形になります。

待望の新店舗は民家!

最寄りは都立大学駅ですが大岡山駅からも徒歩圏内。ただどちらからも10分以上歩いた場所にあることと、見た目が完全に民家なこともあり、文字通り隠れ家的なお店となっています。

グリーンが基調の店内
靴を脱ぎ、お家気分で本格的なカレーを味わえる

店内に入れば緑が印象的なリゾート感ある雰囲気。靴を脱いで上がることもあり、友達の家に遊びに来たような感覚にもなります。

メニューは3種のカレーと前菜が色々とあるのですが、その全部のせ的な「カレー3種と前菜のリトルパーティーセット」2,900円をいただきました。

「カレー3種と前菜のリトルパーティーセット」

カレーは御徒町時代から人気のドライカレーが名を変えた「トロピカーナフルーティカレー」に加え「豚と大根の八角花山椒カレー」「牛マッシュルームカレー」の3種。これがそれぞれ小さな器にご飯と一緒に盛り付けられています。

筆者のイチオシ「トロピカーナフルーティカレー」

トロピカーナフルーティカレーは以前よりジューシーになりフルーツの甘味と優しい酸味が印象的。レーズンが良いアクセントになっています。

コロッとした豚肉と大根の存在感が印象的な「豚と大根の八角花山椒カレー」

豚と大根のカレーは八角と花山椒を使用しているのですがスパイスの刺激よりも豚や大根の素材の味わいがしっかりと感じられる着地点。魯肉的な雰囲気も感じられる創作アジアンカレーと言えるでしょう。

シャバッとしたスパイスカレー風の「牛マッシュルームカレー」

牛マッシュルームカレーも同様で、こちらはシャバっとしたテクスチャで、スパイスカレー的な味わいでした。

食べやすくカットされたローストビーフ

前菜も色々とのっています。中華的な海老の蒸しクレープ、細かく角切りにしたローストビーフは爽やかなテイスト、ししゃものコンフィは苦みがおいしさにつながっていて、それぞれ個性ある仕上がりです。

ししゃもの苦みがカレーの良いアクセントに

カレーも前菜も単品で注文可能。お腹の空き具合に応じて頼むのが良いでしょう。どれか1つカレーを選ぶなら、やはりトロピカーナフルーティカレーをおすすめします。僕自身、御徒町時代から今も好きなカレーですから。

そしてこちらのお店の魅力はなんと言ってもシェフの人柄です。本当に楽しい方なのですが、今回はウクライナ出身の奥様もお店にいらしてお二人のかけあいが漫才のように楽しく、終始笑いっぱなしでした。店名の「OI思惟C」というのも奥様が本当においしいと感じた時に「オイシーシー!」と言うことにちなんでつけたのだとか。

一人で寂しい時に行けば確実に元気をもらえるお店です。そして何かに悩んだ時に行ってマスターと話せば、不思議と何とかなりそうな気持ちになれるのです。元気が無い方は是非行ってみてください。マスターの楽しいお話とトロピカーナフルーティカレーでポジティブな気持ちになれますよ。

【第5週のカレーとスパイス】シャバシャバ系カレー好き必食! 間借りカレー「ドンカリ」が独立店舗をオープン

矢口渡で間借り営業をしていた「ドンカリ」が2024年6月1日、西蒲田の地で「spice curry & BAR ドンカリ」として独立店舗をオープンしました。

2024年6月1日にオープンを迎えた「spice curry & BAR ドンカリ」

昼はスパイスカレー、夜はスパイス料理と〆カレーのバー営業ということで夜に訪問。

店内のカウンター席

カウンター席ですが狭苦しくなく、ゆっくりと料理とお酒を楽しめる雰囲気の店内。

店内の壁のシェルフにはお酒がずらり

お酒はイタリア系のものが色々とそろっているのですが、マスターは元々イタリアや台湾などから食材や食品機械、その他コーヒー商品の委託加工製造請負などの会社の経営されていた方だからこそ。

「ジンプリモ アフリカ」

「ジンプリモ アフリカ」1,100円はイタリアのジンですが、アフリカをイメージさせるようなスパイスジンであり、香り高い逸品。

お通しの軟骨のスパイス焼き

お通しは軟骨のスパイス焼きで、焼き具合も程よく、肉付きの良い軟骨の食感が楽しいです。お通しがおいしいお店はだいたい当たりなのですが、こちらもまさにそれ。

「パニプリ ドンカリ風」

続いて「パニプリ ドンカリ風」660円を。パニプリとはインドの軽食ですがこちらはオーセンティックなソースではなくプリの中に具材も入り、そこにトマトソースを入れて食べるオリジナル。

トマトソースをかけて味わうのが楽しい

やはりイタリアの風を感じるテイストで初心者にも食べやすく楽しい仕上がりです。

「マグロのタルタル ドンカリ風」

「マグロのタルタル ドンカリ風」880円はバゲットにのせていただきます。タルタルのまろやかさに加えてしっかりと後がけされたチリを中心としたスパイスが程よい刺激でお酒のすすむ味。

「長ネギのグリル&食べラー」

「長ネギのグリル&食べラー」660円は中華風の食べる辣油を長ネギとともにいただくのですが、このネギが実に甘みがあっておいしいのでネギ好きなら必食です。

「〆のカレー」

「〆のカレー」660円はランチのカレーの具無しバージョン。だしのうまみとスパイスの香りのバランスが良く、サラサラとお茶漬け感覚で食べることができます。

〆のカレーは、サラサラと胃袋に流し込めるタイプのカレー

どれも楽しくてわかりやすいおいしさの料理だと言えます。マスターは若い頃からシャバシャバのカレーが好きで、今はなき蒲田の「タージマハール」でカレーにハマったと聞いて色々と納得。タージマハールといえば虎ノ門の名店「カレーの店 ガン爺」のルーツですから。

つまりはオールドカレーファンにも刺さるテイストでありつつ、ポップでキャッチーな雰囲気のスパイス料理は若い世代のカレーファンにも楽しめるという全世代対応型。メニューも季節ごとの旬を取り入れて少しずつ変えていく予定だそうで、通い甲斐のあるお店となりそうです。

蒲田と言えばインド料理やネパール料理など現地系料理の名店が多いエリアですが、そんな中で誕生した創作系の新名店。

既にお店も人気となっていて地元の常連客が増えているので、行く際には予約することを推奨します。

※価格はすべて税込です。

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部