片道約2時間の小旅行で得られる未体験の効用

小旅行にお薦めのシウマイ弁当

ゴールデンウィークも後半、少しは遠出したくなる方も多いのではないだろうか。せっかくの大型連休、家にずっと閉じこもっていてはもったいない。やはり気分転換するには、移動するのが一番だ。よく「アイデアと移動距離は比例する」と言われるように、日常と異なる場所に行くと、確かに新たな発見や刺激があって、脳みそが活性化されるような気になってくる。いつも見ている風景とは違う風景を見て、いつもと違う食事をすれば、必ずリフレッシュされて、また仕事をがんばろうと気持ちを奮い立たせることができるはずだ。

出典:いが餅さん

私も先日、京都へ行ってきた。新幹線で2時間ちょっとの小旅行。東京駅から出かけるとき、まず楽しいのが駅弁選びだ。私の場合、駅の売店ほか、大丸東京店の食品売り場も回ることにしている。寿司、天ぷら、とんかつ、焼肉・ステーキ、中華など食べたいものは何でもあって、本当に悩んでしまう。でも、現地についたときにお腹一杯になっていては、本番の食事が楽しめなくなる。

 

いろいろな駅弁を吟味するのだが、結局いつもたどり着くのが、皆さんもご存じの崎陽軒のシウマイ弁当だ。シュウマイではなくシウマイと書くところがいい。おかずもごはんの量もちょうどよく、ムダなものはまったくなし。値段も830円とリーズナブル。最近は1000円を超える駅弁が多い中、コストパフォーマンス的にも申し分ない。

ふらりと立ち寄りたい京都だが

新幹線に乗車後は、駅弁は早めに食べて、今度は京都のガイド本を見ながら、どこへ行こうかあれこれ考える。そうこうしているうちに京都まであっという間。出張時とは異なる気分でいると、時間感覚も変わってくるから不思議だ。

 

京都駅から地下鉄を利用し、京都の中心地である四条へ。私は予約可能なかぎりダイワロイネットホテルをいつも利用している。ビジネスホテルだが設備もきれいなうえ、アクセスもいい。京都には京都駅前、八条口、四条烏丸と3つの系列ホテルがあるが、今回は四条烏丸を選んだ。ホテルにチェックインした後、早速京都散策へ出かけた。

 

まずは四条河原町のほうまで歩いていくと、外国人旅行者の多さに驚く。年々その多さは増しているように感じる。前回の京都旅行では、予約せずに先斗町のすき焼き店に入店したのだが、「2名なのですが、入れますか?」と仲居さんに聞くと、私と妻の顔をじっと凝視した後、店の奥へ向かって突然「日本人の方どす!」とよく通る声で叫んだ。こちらも驚いて、後で聞いてみると、最近は中国人旅行者が多く、比較的日本人が少ない平日ともなると100%中国人の客になるときがあるという。仲居さんにとって、私たちは久々の日本人だったというわけだ。

 

先斗町や祇園は夕方から、海外からの旅行者と国内の旅行者で大渋滞する。先斗町の細い路地は思うように歩けず、祭りのような状態。祇園も舞妓さん狙いのカメラを持った外国人たちで一杯になっている。当然ながら、飲食店も大混雑している。人気のあるところはとくにそうで、ふらりと立ち寄るのは容易いことではない。

祇園の中華「竹香」はいかが?

でも、せっかく京都に来たのだから、人が多くても、やはり賑わっている祇園周辺で食事をしたいということになる。これまで私はせっかく京都へ来たのだからと、いつもおばんざいを始めとした和食にしていたのだが、今回は趣向を変えて、中華料理を試すことにした。実は京都の中華料理は、京中華と言われるほど独自のテイストを持っている。

 

そこでお薦めしたいのが、祇園四条から歩いて数分。祇園新橋のたもとにある広東料理店の名店「竹香(たけか)」だ。いかにも京都らしく上品な店で、早い時間には舞妓さんや芸妓さんが訪れ、雰囲気は抜群。予約をしなくても、意外とすんなり入店できる。近隣のお茶屋やバーの人たちからも愛されており、竹香で食べてきたといえば、店の人もよく利用しているという声を聞くことが多い。

出典:Mハルさん

竹香でぜひ試してほしいのが、東京ではなかなかお目にかかれない名物の「春巻き」だ。メニューでは「えびかやく巻き揚げ」と書いてある。ここの春巻きは、町の中華でよく見かけるような春巻きとは異なり、一口サイズで独特の食感であるうえ、あっさりとした上品な味付けでいくら食べても飽きない味だ。ほかにも「肉だんご甘酢」「酢豚」「レタス包み」「空心菜のいため」など、いずれも京中華ならではの味付けで、お酒ともよく合う。

 

営業時間は17時~21時までと短く、20時半がラストオーダーだから早めの来店が望ましい。私が訪れたときは、ビジネスマンらしきオジサマと芸妓さんらしき女性が「同伴(京都では、ご飯食べ)」で食事を楽しんでいた。ビジネスで成功すれば、こんな遊び方もできるんだなあと羨望の眼差しで眺めながら、大人の夜の世界の一端を垣間見たような気がして心が弾んだ。