小池さんおすすめの「オーダー必須」のメニューとは?

食感の良さに驚く「上黒タン」

「上黒タン」1,848円

まずオーダーすべきは、あっさりと食したい「上黒タン」。サクサクの噛み応えと柔らかさ、肉本来の甘みを味わえるタンは、スジも少し付いている1枚で上手く成り立っている部位を使用。普通の人が、わ!となるような厚切りの根元や端の芯だけの部位ではないものの、プロから見たらカットの技術の高さがわかるのだとか。

センターに置いて、“よく焼き”になってしまうともったいない上タン。注意を払いながら、絶妙な加減を調整する火入れを目指して
 

小池さん

王道の上黒タンは唸るうまさ。食感も驚くほど良くて、噛むほどにタンそのものの味がしっかり出てくる。僕はあえてレモンなしで楽しみたい派。素材の味を引き出すセンスが本当に素晴らしくて、さりげなく感じるほどのギリギリの味付けで繊細。仕込みの良さを、特にこのタンで感じられました。フフフと思わず笑っちゃうほどおいしいです。

スジにうまみが詰まった「ツラミ」

「ツラミ」968円

小池さんが「何皿でも食べられる」と豪語しオーダーするのは、牛の頬である「ツラミ」。そのままだと硬い部位に包丁入れを施しており、薄すぎず厚すぎない、丁寧な仕込み技が光る。

センターで火入れし、肉が縮み始めたらひっくり返す。サッと炙る感覚で
 

小池さん

このツラミはスジが真っ白で凄い! 見ているだけでキレイ! このスジまわりがおいしいんですよ。本当にモノがいいし包丁入れが美しく、実にいい仕事をしている。派手さはないけれど、塩気もバランスが考えられていて、地味だけどうまい!みたいな部位で、好きだな~。

超希少部位「牛ぼんじり」

「牛ぼんじり」968円

肉通の小池さんでも遭遇しないというかなりレアな「牛ぼんじり」。1人前約80g(写真)で牛1~2頭分という、なかなか市場に流通しない希少性の高い部位。テールとは異なる尻尾の付け根の肉は、尻尾を支えよく動かすパーツゆえ硬すぎずほどよい噛み応えが味わえる。

遠火でややじっくり焼いていく
 

小池さん

僕ですらなかなか見かけないぼんじりに出会えて驚きました。頭数がないと手に入らないから知らない人も多いはず。センターでややじっくり裏表焼きますが、この肉の最大の良さは、食感! 嫌な硬さではなく噛み応えがあって、じわっと中から本物の肉汁が出てきて、和牛じゃないと出ない深い味わいが堪能できます。味が濃いんですよ。奥歯でしっかり噛んで欲しい肉のひとつです。

脂の甘みが絶妙な「ミノサンド」

「ミノサンド」968円

一瞬、これ何?感のある長い「ミノサンド」。小池さんも「大判サイズは珍しい」と語るほど、この大きいサイズ感はレア。第一の胃であるミノは、ぽってりとしたカットが主流だが、ほどよく薄く大きく仕上げる結城さんのカット技術が冴えわたる。

タレが絡んでいるので焦げないよう注意が必要。火力の強い端は焦げやすいのでセンターに置き、炎の真ん中で脂に火入れするように焼くのがポイント。じゅくじゅくしたら食べごろの合図だ
 

小池さん

こんな大判サイズのミノってほとんど見かけないから、それだけで興奮しますね。サクサクの食感と甘みのある脂が絶妙なバランスで、りんごベースのフルーティな生ダレがうまくまとめていて一体感がある。焼いている時に立ち昇るタレの香りだけでやられますね。この厚さならではの食感と絡んだタレと脂の甘さで、白米バウンドが止まりません!

オリジナルオーダーの「ライス」も注文必須!

「ライス大」418円

焼肉のうまさをさらにアシストするご飯にもこだわりあり。オーナーの同級生が新潟県村上市の米生産者で、個性的なタレ焼肉にも合うようにオリジナルオーダーした、新米、古米のブレンド「ゆきん子舞」を使用する。「基本ご飯屋さんだから、白米にも妥協できない。熱く何度も語って追求して生まれた自信作です」と、結城さん。

何度も「うーーーん」と唸り、目を静かに閉じて集中する小池さん。本当においしい時に言葉は不要
 

小池さん

やっぱり焼肉に合う米にこだわっているお店って信用できます。タレ焼肉を食べても、決して邪魔せずにしっかりと米の味も感じられる、その塩梅が本当に上手。肉も米もいくらでも進んでしまって困ります(笑)。

リレーの「アンカー」としての責任を全うする

肉への愛と探求心が深すぎるのが二人の共通項。最高の笑みにあふれる、リラックスした表情がすべてを物語る

肉の卸問屋直営の焼肉店は数あれど、必ずしも安くておいしいとは限らない昨今、こちらは本物の店だと太鼓判を押す小池さん。塩が続くと胃にも負担がかかり疲れるが、まったく疲れないのも称賛に値するという。肉を見つめ笑顔で楽しそうに仕込みに真摯に向き合う結城さんと、深く語り合うのも楽しい過ごし方。

「肉業者、米や野菜農家のみんながいないと成り立たない仕事で、おいしい最高の素材をどう自分が仕上げるか、リレーのアンカー。ーとして責任を持ってお客様に届けたい。最高の食材を毎日触っていたらそういう気持ちになる」と話す結城さんの言葉が小池さんに響き、その食材へのリスペクトや実直さに惚れ、また通ってしまう。

外観

自由が丘の秘境「もぐら」は「焼肉好きのわかる人と一緒に訪問して、おいしさをひもときながら語り合いたい店」と小池さんは推す。直営店ならではの素材の良さ、ハイクオリティの結城さんの仕込みの高さとセンスを理解しつつ、驚くほどのプライスを叶えている凄さを体感しに、予約困難になる前に訪れてみてほしい。

※価格は税込

文:濱口眞夕子(SEASTARS Inc.) 撮影:八木竜馬