本連載のナビゲーター、肉バカの小池克臣さん

小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店

巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。

教えてくれる人

小池克臣
横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。

自由が丘駅から徒歩30秒ほどの位置にある、ディープスポット

自由が丘らしい洒落た店の隙間に、突如現れる路地“よりみち横丁”。ひらがなで大きく書かれた「もぐら」の看板がエントランスへの目印だ。飲み屋が隣接する、予期せずdeepな雰囲気の小路をしばらく進むと店へと辿り着ける。店名通り、もぐらの寝床感が漂う

今回、小池さんが推す店は、閑静でオシャレなイメージの強い自由が丘エリア。駅から驚くほど近い高架下の路地奥に、目当てのホルモン・焼肉「もぐら」がある。自由が丘には異質な薄暗い小路に潜入する感じに、なんだかワクワク。自由が丘にこんな場所があるんだ!と感じずにはいられない、隠れ家的な店への期待値も上昇。

カウンター7席、4席×2卓の小さめの焼肉店。暗い穴倉のような店内には黒い椅子が並び、清潔感のある厨房が一望できる。店主・結城さんとの距離が近いのも、焼肉好きには堪らない

「確かな質と、こぢんまりしていて落ち着く」と小池さんが称賛する店は、創業40年を誇る芝浦・東京食肉市場内のホルモン問屋「神谷商店」直営のホルモン・焼肉店として、2014年開業。毎朝厳選した鮮度の良い一流のホルモンを中心とした、肉卸の直営店だからできるコスパ最強のハイレベル焼肉を目当てに通う、地元民や焼肉ラバーたちに支持されている名店だ。

 

小池さん

先代と父が友人関係というご縁もあり、昔、焼肉の好みが似た知人と伺い、モノも良くておいしかった記憶があったんです。数年ぶりに思い出して、つい最近「焼肉ここち」の木村さんと再訪したら舌にドンピシャ! もうびっくりでして、どハマリしてしまいました。正直派手さはないけれど、食べたら最高!というような実直な本物の味とクオリティで素晴らしい。こんなにも素材を上手に引き出せるのは、このサイズの店だからこそ真摯に向き合えているのかなと。いい意味で、変態的な仕込みがめちゃくちゃいいんです。

「仕込みが好き」と話す、店主の肉愛とは?

代表・結城里志さん

店主・結城さんは10代でオーナーと知り合い、横浜で焼肉店を任され修業した後に、独立。「神谷商店」から最高の肉を仕入れ、肉のフェイスを見て「今日はコレが来たか!」と、いかにおいしく調理するか、包丁をどう入れるか考えるのがとにかく好きだと語る、自他認める仕込み好き。仕込みには独自のルーティンや順番があり、毎日顔つきの違う肉に黙々と向き合い悩む、そのすべての工程や時間が楽しくてしょうがないらしい。

撮影時も、ずっと満面の笑みで肉を愛でる姿が印象的で、それを見るこちらも思わず笑みが伝染する。

 

小池さん

一切臭みのない上質なホルモンを仕入れており、鮮度も間違いはない。でも問屋の直営店だからといって、必ずしも安くておいしい店とは限らない。でもこちらは別格。結城さんのある種変態的な(笑)愛情溢れる丁寧な仕込みによって、素材の良い肉をさらに最高の状態に持っていくその努力は凄い。仕込みの話を聞いているだけで、まだ食べる前でももうそれだけですでにおいしい! そんなことってなかなかなくて、テンションが上がります。ホルモンの塩の塩梅が素晴らしいし、ツラミもテールも最高。近くに住んでいたらしょっちゅう通いたいくらいです。