何もつけずにしばらく食べ進めてしまうほど、甘みが際立ったそばに感動

何もつけなくてもおいしすぎて、しばらく鴨汁なしで食べ進めてしまったほど!

最初に何もつけずにそばを味わってみたところ、甘い!

芯のデンプン質もそのまま含むためわずかに糖分も感じられ、かつ、そば本来の雑穀の香りも際立っています。極細だからこそこれらの繊細な風味が舌にダイレクトに伝わるのかもしれません。

こんなに細いのにコシがあり、ぶつぶつと切れず、清涼な喉越しがあるのにもビックリしました。

いよいよ鴨汁にダイブ。つゆには鴨油がたっぷり溶け込んでいて、良い意味でオイリー。細麺につゆがよく絡みます。

鴨肉は3枚ほど入っており、大きくて食べ応えがあります

程よく弾力のある鴨肉と、節が立ったつゆ。ネギを合わせてそばを啜れば、もうこれ以上の組み合わせはこの世にないような気さえします(笑)。

これを目当てに食べに行っても良い「鴨汁のそば湯」

つゆが足りなければ追いつゆ(150円)も可能です

そうそう、そば屋では定番の「そば湯」。茹でた後のそば粉が溶け込んだあの湯のことですが、「おがわ」ではそば湯がこんなに濃いんです!

乾麺を茹でてもこうはなりませんので、さすが手打ちそば店。とろりと灰色に濁っているのもそば粉の含有率が高い証拠です。

 

笹岡さん

鴨汁は優しい味わい。最後に、そば湯でいただくのも楽しみの一つ。

そば猪口で5~6杯は楽しめる、満足の締め!

つゆに鴨油がたっぷり残っているから、この一杯でも「鴨スープ」といった味わいで、満足感があります。このために鴨せいろを頼んでも良いというほど、最高の締めです。

ご主人はちょっとシャイな方ですが、自身の“そば道”をストイックに追求され「まだまだこれが正解ではない」と研究を重ねているご様子。そばの生産者にも敬意を持ち、季節によって変わるそばの魅力を最大限引き出すことに腐心されています。

奥様の丁寧なもてなしも心地よく、店内も堅苦しくない雰囲気。1人でじっくりそばに向き合いたい時にもおすすめです。

※価格は税込。

撮影:橋本正樹
文:猫田しげる