余韻と記憶が創りだす料理の世界

本田:レミニセンスで表現したい料理の方向性とかさ、そういうのはどういう?

葛原:店名が「追憶」という意味なんですけど、思い出とかそういうものが店のコンセプト。料理のコンセプトは余韻と記憶なんです。このテーマに思いっきりフォーカスして、料理を作っています。第1章が余韻、第2章が創造、第3章が記憶、第4章が安堵という構成。そのテーマに合わせて、第1章が余韻なので、余韻を重視した料理。第2章の創造は今まで食べたことのないような味わいで、第3章の記憶はストレートに鰻や肉の食材がわかるように記憶。第4章のデザートは、斬新なことをせず、フルーツと甘いものでホッと安堵するという流れです。

本田:何でそういうふうにしている? どういうところからそのテーマが出てきた?

葛原:最初にそのアイデアが浮かんだのは「カンテサンス」の時です。「ポワロー、ウニ」という料理があるんですけど、それをある時味見したんです。そうすると、1時間、2時間経っても、さっきの料理の余韻が消えない。これはすごいなと思って。将来、余韻をテーマにしたレストランを作ろうと思ったんです。それから、その当時、少量多皿の料理を出すレストランが増えていたんですね。そういったレストランで食事をすると、結局何を食べたのかよくわからなかったという人が多い。そこで、余韻に記憶を入れようと思って。それで始まったのが余韻と記憶。

本田:なるほどね。「カンテサンス」で働きながら、そういうのができてきたと。

葛原:以前、米田さんがこんな話をしてくれたんです。岸田さんは1本の美しい黄色い花で、米田さんは集合した100種類の美しい黄色い花。いろんな黄色い花があって、どちらも美しい。それを聞いて、僕もそういう料理を作ろうと思ったんです。岸田さんの1本の花と、米田さんの100本の花。どちらに行っても、米田さん、岸田さんと比べられてしまう。ならば、比べられないように、僕は両方をイメージして、こちらにもあちらにも行って、真ん中を突き抜けようって思っています。

本田:それ正しいよね。よく言ってるんだけど、何か自分でやる時にさ、人の土俵で勝負したら勝てないよ。そうじゃなくて、自分の土俵をつくればいい。自分の土俵でナンバーワンになればいい。その土俵をどうつくりますかというのが、多分ビジネスやる上ではすごい大事になる。まさにそれをやっているね。